図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

北海道立図書館(北海道 江別市)

北海道旅行の最終日に、道立図書館を訪問。
最寄り駅は、札幌駅から20分ほどの大麻駅
ここは道庁所在地の札幌市ではなく、お隣の江別市です。

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大麻駅(図書館とは反対側の出口)

駅からは徒歩数分の距離ですが、
さすが北海道、図書館の前には広大な緑地が広がっています。
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12月には沖縄県立図書館に行ったのですが、その3ヶ月後に対極のこの地に来ることは予想していませんでした。
都会のど真ん中にあった沖縄県立とは、立地も対極。
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アルコール消毒、検温、入館票記入の3点セットを経て、入館。
正面は絵本コーナーでした。

一階からやや下りた所に、図書館学資料室がありました。
これだけで独立した部屋が設けられているのは、見たことがありません。
図書館学に限らず、書誌学、出版図書目録、図書販売などの本が置かれていました。

中二階にはフォトギャラリーがあり、目の前の緑地を舞台にした、
「道立図書館の四季」の写真が飾られていました。

一階を見た時は、意外と規模が小さいのかなと思いましたが、
二階は広々。
個人閲覧室が7つ並んでいます。何とも贅沢。

文庫・新書コーナーは別室。
ラノベ、海外文学、岩波などは多いものの、なぜか日本の一般の小説はほとんどありません。

青森市にもあった、開架書庫の方に行ってみます。
その入口には、社史コーナーが。
全国の名だたる企業の社史が、業界別に並んでいます。千冊くらいはあるかも。
私の勤務先は、、ありませんでした。

その先はスチール棚に、普通の本が並んでいます。
特定のジャンルの本が、大量に行方不明になっているそうで、注意喚起が提げられていました。
具体的には、スピリチュアル、法医学、がん、芸能人、浮世絵、水彩画、鉄道などが標的にされてしまったよう。
入口のコインロッカーに鞄を預けるようになっていたのは、こういう事件が続いたためでしょうか。
しかしこれらのジャンルの棚が空になっているわけではなく、本は潤沢に置かれています。

漫画もそこそこ置いています。
特に「のらくろ」「カラー版鉄人28号」など、古めの作品(本自体は古くありませんが)が多め。
スヌーピーが出てくる「ピーナッツ全集」は、初めて見ました。(最近刊行されたばかりの物と後で知りました)

コンピュータ本も、数はかなり多め。
新しい本だらけの札幌市には見劣りしますが。

一般資料閲覧室に戻ると、こちらは木の棚。
こちらにも一通りの分野の本が置かれています。
こちらは新しい本、開架書庫はやや古い本、という置き分けになっていたようです。
なるほど。。

大河ドラマ放送中の、渋沢栄一の特集コーナーもありました。
埼玉県から来た身としては、ちょっと誇らしい気分。

ソウル市寄贈図書の棚もありました。
数は多くありませんが、ハングルで書かれた本と、韓国について書かれた日本語の本が置かれています。

雑誌の種類はさほど多くありませんが、
道立らしく、業界系、行政系のものが目立ちます。

中は覗けませんが、閉架書庫も別途ありました。
恐らく、開架書庫より更に古い本はここにあるのでしょう。

渡り廊下の先にある、北方資料室、文書館に行ってみます。

「ふるさと動画DVD」がずらり。
1950、60年代の北海道の映像が、市町村ごとの巻に収められてるようです。

新聞コーナーには、道内のローカル紙が多数。
「美幌新聞」「羽幌タイムス」「日刊留萌新聞」など、如何にも発行部数の少なそうなものが揃っています。
裏には「北海道公衆浴場ニュース」「週刊釣り新聞ほっかいどう」「北海道農村新聞」など、
これまたニッチな業界紙が。

道出身作家、道を舞台にした小説文庫本の棚もあり、多数の本が置かれています。
特に佐々木譲桜木紫乃小路幸也などの冊数が目立ちます。

アイヌ文化のコーナーには、
最近話題になっているらしい漫画「ゴールデンカムイ」も置かれています。

しかし郷土資料の量は(少なくとも開架の分は)圧倒されるほどでも無く、
期待値とのキャップという意味では、稚内の図書館の方が上だったかと。

奥の方は文書館になっていますが、ここで開架にされているのは目録だけで、
資料の実体は別置のようです。

蔵書数は、貫禄の110万冊超。
特に古さは感じませんでしたが、当地で開館したのは1967年とのことで、
なかなかの歴史があります。

外に出て、再び図書館前の緑地を散策。
目の前に立っているサイロには、「近代化産業遺産」の表示があるのですが、
解説が全くありません。。
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少し先には、野幌森林公園があるので覗いてみたかったのですが、
空腹が耐え難くなってきたし、
北海道の森林は車窓から散々見てきたのでまあいいか、ということで、スキップ。
いよいよ最後の地、千歳に向かいます。

北海道立図書館

札幌市図書・情報館(北海道)

夜7時前に札幌駅に到着。
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予約しているホテルは大通公園の向こう。
ちょっと遠いですが歩いて向かっていると、ポツポツと雨が降り出しました。
だんだん強くなり、おまけに猛烈な風に。

ほうほうの体でホテルに入りますが、この夜は行かねばならない所があります。
それは、札幌駅の近くにある、図書・情報館。
夜9時まで開いているそうなので、まだ時間があります。
少し休んでからホテルを出ると、もう風雨はすっかり収まっていました。

先月まで雪まつりをしていたとは思えない、ほとんど雪も無い大通公園

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大通公園テレビ塔

昔はビルの谷間で目立たず、がっかり名所と言われた時計台も、今は存在感たっぷり。
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図書・情報館は、時計台のすぐ近く。
芸術文化劇場も入る札幌市民交流センターの中。
ビル内には北海道テレビ放送朝日新聞社も入っているようです。

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このビルの中にあります

東京だったら、意識高い系の人が集う会員制サロンのような、お洒落な空間が現れました。
多額の寄付をしたという実業家の名を冠して、「小竹正剛 情報ライブラリー」の副称が付いています。
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本の貸出、持ち出しは不可で、館内閲覧のみ。
中は色んな形のソファが置かれており、飲み物持ち込みも可。
一階については、食べ物すら持ち込み可。

一階は、主に北海道、札幌についての本。
道内の図書館では、「さっぽろ文庫」という水色ハードカバーのシリーズをよく見かけましたが、
やはりここにも揃っていました。刊行されたのは約20〜40年前。

雑誌もありますが、ファッション系のものが多め。

二階に階段で上がると、デザイン関係の本棚がお出迎え。
一階の部屋は小さかったし、お洒落系の分野特化で、あまり広くは無いのかな、
と思っていたら、その先は広々。
「WORK 」「LIFE 」「ART」の3分野の本を集めているそうですが、そのどれかにこじつけられて、
結構あらゆる分野の本が揃っています。

コンピュータ関係の本は、実に豊富。そして新しい。
AR 、ブロックチェーン、ドローン、AWS、DeepLearning、Unityなどの本が多数。
ROS2、OpenCV3の本まであるとは!
IT系の品揃えでは、さいたま市の図書館が出色と思っていましたが、それを軽く超えました。もはや大型新刊書店並み。

大抵の分野は揃っていると書きましたが、文芸書は無いようです。
館内閲覧のみなので、拾い読みできない文芸書とは相性が悪いのでしょう。
哲学、法律、経済学、歴史などもあまりありません。
理工系は結構ありますが。
漫画、児童書、視聴覚資料も無し。
旅行書はお洒落系中心に、少ないながらもありました。

打ち合わせに使えるグループ席なるものも。
このご時世なので、誰も使っていませんでしたが。

データベース閲覧席も多数あり、
JapanKnowledgeLib、北海道新聞DB、日経テレコン21などが閲覧可能。

二階の雑誌は経済系、新聞は業界紙が多いです。

閉館時間の9時が迫ってきました。(土日祝は6時まで)
流れてくるのは蛍の光ではなく、映画「ディアハンター」のテーマ。
泣けてくる。。
今朝、宗谷線の車窓から見た鹿を思い出しました。

心地よいソファで新しい本が自由に読め、WiFiも電源も使えて、飲み物も持ち込め、長居もし放題。
2018年開設とのことで、まだピカピカ。
カフェよりも快適です。
これは、明日も来てしまうかも。。

夜は札幌名物スープカレーが食べたくなり、
しかしコロナ感染拡大の折、すすきの周辺は避けたく、
せっかくフリーきっぷもあるし、
ということで、スマホで調べて、発寒中央のお店に行ってみることに。

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札幌から3駅の、発寒中央

電車を降りてみると、結構寂しい町。
他に選択肢となる店も無く、これでもし閉まっていたら泣くな、と思いながら歩いていくと、、
閉まっている。。
食材が無くなったので閉めました、とのこと。

もう時刻は10時。開いている店は、すすきの周辺くらいしか無さそう。
札幌駅まで戻るものの、それ以上移動する気力を失い、
結局札幌駅近くのファストフード系チェーン店で妥協しました。

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ネオンは健在ですが、人通りは少なめ

翌日、やっぱりまた来てしまいました。
前日は気付きませんでしたが、東側には、
大通公園の縮小版のような公園、その向こうには時計台の縮小版のような教会が。

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創成川沿いの公園

その南側には、大きなバスセンターがありました。

この日は旅の最終日。
電車の時間を気にしなくていい、予定ゆるゆるの日なので、セイコーマートで買ったココアを持ち込み、
ゆったりと読書。
至福のひと時でした。

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二階のロビー

と言いつつ、まだ行きたい所があるので、腰を上げました。

札幌市図書・情報館 | 札幌市民交流プラザ

市立士別図書館(北海道)

本数の少ない宗谷線
稚内を朝5時発の鈍行で発ちました。

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行きに続いて、帰りも沿線に鹿

この日の予定は、富良野経由で札幌まで。

よく見ると、駅名標の次の駅の部分に、シールを貼って書き換えられているものが目立ちます。
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これは、つい先日のダイヤ改正で、利用客の少ない駅が大量に廃止されてしまったため。
しかし、生き残った駅でも周りに何も無かったりするので、廃止された駅は余程のものだったのでしょう。。

稚内では、朝食を摂る時間も買う時間も無かったので、
最初の乗り継ぎ地、名寄の喫茶店でモーニング。

続いて、士別で途中下車。
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と言うのも、
この日は図書館巡りでは鬼門の月曜日ですが、
ここ士別市の図書館は開いていることを知ったから。
(しかし、4月からは月曜休館に変更。この日が最後の月曜開館日だったようで)

駅から歩いて数分、
生涯学習情報センターの中にありました。
JAも同じビルに入っているようです。
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玄関を入ってすぐ左には、DVDの棚。
裏はVHSでした。
その向こうは試聴コーナー。

館内は、アート作品で溢れています。
巨大な丸い石は、地元出身の東京藝大生の卒業制作。
壁には絵画、本棚の上には人形、本棚の側面にも市民の作品か、切絵などを掲示

アイヌ北方領土の資料はここでも揃っています。

新書の棚には、茶色に変色した古い本が目立ちます。
見ると、昭和30年代の刊行でした。

文庫本は豊富ですが、品揃えにやや癖あり。
昭和50年代の角川文庫の横溝正史がずらり。
山手樹一郎長編時代小説全集も存在感を発揮。
西村京太郎はノベルズ含め300冊くらい。
西村寿行もやたらと多く、他に目立つのは、斎藤栄、島田一男、清水一行など。
要するに、40年くらい流行がずれています。

二階が児童書室。
託児所もあり、子供の集団に囲まれそうになりました。
一階にもありましたが、ここにも漫画が置かれています。
奥には、ふるさと資料室。
ふるさとの文学者として、北村順治郎ら四氏が紹介されていました。
「いいひと。」などで知られる漫画家、高橋しんは、ここ士別の出身とのこと。
箱根駅伝にも出たランナーだったとは知りませんでした。

ボクサー輪島功一も、ここ出身とのこと。
合宿の里、という側面もあり多くのアスリートが訪れているようで、
増田明美荻原健司などのメッセージが飾られていました。

地元文芸誌の他、めん羊図書なるコーナーも。
士別市は羊の飼育が盛んで、羊のまちをアピールしています。
オーストラリアのゴールバーン・マルワリー市と姉妹都市だという紹介が一階にありましたが、
これも羊が縁のようです。

その後は旭川で乗り換え、富良野線を完乗。

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美瑛付近

北の国から」の舞台、富良野に降り立ち、
これで(運休のまま廃線となる日高線を除き、)北海道のJR線は全制覇となりました。

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富良野駅

たった三度の鉄道旅行で制覇してしまうとは、
いい旅チャレンジ20,000kmの時代だったら考えられません。
如何に多くの路線が廃止の憂き目に遭ったか、ということの裏返しでもあり、複雑な心境。

この記事を書いている最中に、「北の国から」の主演俳優、田中邦衛さんの訃報を聞くとは、
思いもよりませんでした。
謹んでご冥福をお祈りします。

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富良野駅の階段には「五郎の石の家」が

図書館の利用案内 | 士別市

稚内市立図書館(北海道)

宗谷線稚内を目指すため、朝6時に旭川駅へ。
旭川のホテル近くのセイコーマートは営業前。
駅の中にセブンイレブンがありましたが、これもやはり営業前。
朝食の調達はできず、空腹のままやむなく乗車。

途中、名寄で長く停車したので、外に出てお店を探しますが、駅周辺に開いている店は無く。
諦めて、自販機で買ったコーンスープ缶を朝食にします。

電車(厳密には気動車)は、雪に埋もれた原野の中をひたすら走ります。
何も無い所で最徐行を始めたと思ったら、線路に鹿がいたり。

鹿を警笛で追い払います

幌延でも20分停車。
何気なくスマホで調べると、駅のすぐそばに図書館が!
最初から狙っていれば訪問可能でしたが、
初動が遅れてしまったので、時間不足と判断し、断念。

6時間乗り続け、12時過ぎに遂に最北の駅、稚内に到着!
ツーリングで来たことはありますが、鉄道では初めて。

駅近くのホテルに荷物を預け、再び駅へ。
10年前にリニューアルされたらしく、とても綺麗。
二階には何と映画館。
しかし、まだ13時だというのに、次の列車として案内されているのは、17時44分発の特急。
普通列車は日にたった3本。
この利便性では、客が減るのもやむを得ないでしょう。
客が少ないから本数が少ないのか、本数が少ないから客が少ないのか、鶏と卵論になってしまいますが。。

元は稚内港駅だっただけに、海はすぐ近く。
利尻、礼文へのフェリーターミナルは、驚くほど立派で綺麗。

向かいには国際航路のターミナルがありますが、この日は便が無いのか閉まっていました。

続いて、駅から徒歩10分という、樺太記念館へ。
副港市場の二階ですが、市場のお店は開いていません。
併設の日帰り温泉施設は、去年廃業した模様。
昔の稚内港駅の再現セットがあり、ここは見学可能ですが、やはり誰もおらずちょっと不気味。

不安が募りますが、二階の樺太記念館には職員の方がおり、普通に開いていました。
やはり客は私だけでしたが。。
嘗ては日本領で鉄道も走り、稚内が航路の玄関として賑わったという樺太
樺太と北海道を舞台にした壮大なアイヌ史の物語「熱源」を、旅の前に読破しておいたのは正解でした。
ソ連軍の侵攻を恐れて自決したという、九人の乙女のエピソードは胸を打ちます。

日露国境に置かれた標石(のレプリカ)

宗谷本線のコーナーもありました。
廃止の噂もある同線を、皆で乗って残そう、という運動で、図書館でもパネル展示をしているとのこと。
何とか残って欲しいですが、あの本数でもっと乗ってくれと言われても市民も困るかと。。

駅の方に戻る途中の、旧瀬戸邸も見学。
地引き網親方の築約70年の家ということで、それほど古くはありません。
職員の方曰く「普通の家」だとか。。

ここも、やはり私以外の客はいません。

稚内駅近くの商店街は、道行く人も無く、見事なまでのシャッター街
一応日曜日なのですが。

丘の上の稚内公園まで行くのはちょっとしんどいので、途中の氷雪の門まで歩くことに。
しかし、入口に差し掛かった所で、通行止め!

どうしようかと思っていたら、歩いて下りてくる人がいたので、車は駄目でも人は大丈夫と判断して、行ってみます。
道はちゃんと除雪されていて、人も結構いました。
上からは、稚内の町が一望。

氷雪の門からは、樺太の島影がぼんやりと見えました。

九人の乙女の碑もここにあります。

約4km先のノシャップ岬まで、片道は歩こうと思っていましたが、時間も体力も無くなり、
一時間に4本と、田舎町にしては異様に高頻度で走っている、バスに乗ることにしました。

着いたのは4時。
寒流水族館からは蛍の光が流れています。

昔来た時は、真夏なのにえらく寒かった記憶があるのですが、今日は比較的暖か。
夕日の名所なので、本日の日没時間が表示されています。
まだ2時間近く先で、そこまでは付き合えないので、
再びバスに乗り、いよいよ最大の目的地、図書館へ。

初乗りは220円。250円の次はいきなり380円と表示されていたので、いつ料金が上がるかヒヤヒヤしながら乗っていましたが、
ノシャップから南稚内駅の更に先までの6kmほどを、250円で来られました。
安くて便利な宗谷バス

大黒4丁目バス停から徒歩6分と案内されていますが、実際は3分くらいでした。
しかし門柱は見えたものの、本体の姿は雪の壁に隠れて、なかなか見えません。

開館日、開館時間をwebで何度も確認していましたが、
この旅だけで、入れなかった図書館が4つもあるので、実際足を踏み入れるまでは不安で不安で。。
しかし大丈夫でした。
遂に、日本最北の図書館に!

入口は、自動の回転ドアになっています。
まるで高級ホテル。
コロナ対策で、マスクをして来るのは勿論、
マスクを外さないでください、としつこく書かれています。

入ってすぐの所には、リサイクル本のコーナーがありました。今回の旅では、見たのは初めて。
図書館の除籍本でなく、利用者の持ち寄りの本のようです。

まずはCD、DVDのコーナー。
DVDは外国映画、ドラマ中心に充実しています。
稚内・サハリンのコーナーもあり、20枚ほどの映像資料がありました。
これだけ揃っていながら、貸出は出来ず館内視聴のみというのは、ちょっと勿体無い気がします。

漫画も新旧揃っており、なかなかの品揃え。

雑誌はソファを囲むように円形に置かれています。
上には花型の灯り。
撮影許可がもらえたので、写真を貼っておきます。

館内は、かなり広め。
中に入っていくと、和室がありましたが、コロナのためか使用不可。

洋書もそこそこあります。
言語まぜこぜに置かれているのは珍しい。
英語が多いですが、よく見るとロシア語も結構あり、地域性が感じられます。

郷土資料も豊富。
稚内資料だけでも相当な数ですが、宗谷資料、南極関係資料も。
振り返れば、樺太資料。これだけで大きな棚を独占。九人の乙女の本もあります。
その裏は、アイヌ資料。
そのまた裏は北海道資料が計四面と、驚嘆の充実ぶり。

豊富な郷土資料

横には道内各市町史の他、青森県史、市史はまだしも、
埼玉の岩槻市伊奈町桶川市蓮田市史まで。
他にも福井市焼津市彦根市下関市竹富町などなど、全国の色んな町のものがあります。
これら全部が姉妹都市とは思えませんが、どういうチョイスなのか。。?
ともあれ、まさに県立図書館レベル。

「色で読む本」という面白い企画もやっていました。

本のカバーの色だけを基準に同色のものを集めて並べ、虹を作っています。本の例としては、
赤 :イベリコ豚を買いに
黄色:ツレがうつになりまして。
水色:小保方晴子日記
黒 :容疑者Xの献身
白 :デトロイト美術館の奇跡
といった具合。

横には、昔の稚内駅の写真が展示されています。
樺太記念館で紹介されていたものでしょう。

コンピュータの本は、あまりレベルの高いものはありませんでした。

蔵書数は約22万冊。
市立図書館としては70年超の歴史があるようですが、現在のものは2003年の開館とのこと。
正直、最北の図書館という称号に興味はありましたが、
中身にはさほど期待していませんでした。
しかし、人口3万の市のそれとは思えない、見事な充実度でした。
日曜日の夕方、利用者も結構多めでした。
そう言えば、沖縄本島の南端、糸満市の図書館も同じように立派だったことを思い出します。

閉館の6時が迫り、外に出ました。
(平日なら、何と8時まで開館!)
図書館の最寄り駅は、南稚内
元はこちらが稚内駅だったくらいなので、周りはそこそこ賑わっています。
近くで夕食を摂ってから、19時44分の下り最終普通列車で、稚内駅近くのホテルに帰ることに。
充実の一日でした。

夜の稚内

稚内市立図書館

美唄市立図書館(北海道)

室蘭を出発し、室蘭線で北上。
函館、室蘭ではほとんど無かった積雪が、だんだん増えていきます。
函館本線への乗り換えの合間に降りた、岩見沢駅の前は雪に埋もれています。
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元の計画では旭川に15時台に着き、美術館と図書館に行く予定でしたが、
電車を遅らせて17時台着になったので、計画練り直し。
18時までの図書館はまだ何とか間に合いますが、17時までの美術館は無理。
旭川には2日後にまた通る予定ですが、その日はどちらも休みの月曜日。
思い切って今回の旅では両方諦め、途中どこか別の所に寄ることにしました。

そこで、こんな時にしか行くことの無さそうな、美唄に目を付けました。
炭鉱の町というイメージでしたが、
夕張や歌志内のような悲惨な衰退ぶりは見えません。それなりに活気はありそう。

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美唄駅前

図書館を目指して歩いていくと、開拓記念碑が。
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雪に埋もれて近付けません。

そのお隣は郷土史料館でした。
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あまり時間も無いのでどうしようかと思いましたが、折角なので入場料300円を払って見学。
羆や鹿の剥製に始まり、炭鉱の中や当時の住宅の再現、
美唄鉄道の60年」の特別展もやっていました。

その隣の中央公園は、完全に雪の塊で使用不可。
市役所も雪の壁の中。勿論アクセス路は除雪されていますが。

やがて巨大な施設が現れましたが、これは市民会館。
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図書館はその横に小さく佇んでいました。
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検温機に入館票の記入と、感染対策がされています。
階段で二階に上がると、図書館。
職員は一人だけで、利用客は他にはいません。

スチールの本棚に、天井は穴の空いた白いボード。
昔の学校の雰囲気です。

中央の通路には、文庫本の入った回転棚が、10個ほど並んでいます。

奥には漫画コーナーが。
最近訪ねた図書館は漫画の無い所が多かったので、久しぶりに見た気がしました。
美唄の郷土資料はかなり少なめ。
一階にあるので職員が案内します、と書かれていました。

岡田春夫氏の寄贈本のコーナーも。昔の衆議院議員のようで、政治関係の本が目立ちます。

児童書は一階の事務所横、カーテンの向こうにあります。
ちょっと覗いてみると、ここにも漫画コーナーがありました。

郷土資料室の扉があるので、職員の方に聞いてみると、
今は利用者は一切立入禁止となっているとのこと。
コロナ対策かと思ったら、それとは関係なく、単に運用が変わったようです。

駅への道を戻り始めると、屋根が見事に崩落した建物を発見。
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この壊れ方は、どう見ても積雪のせいでしょう。
どうやら理容美容専門学校のようですが、現役だったのかは不明です。

空知神社の長い参道は、綺麗に除雪されていました。
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駅に戻り、この日の宿泊地、旭川へ。
函館本線といえども、普通電車の本数は札幌から離れるに連れ、どんどん減るので、
乗り遅れは許されません。

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近代的な美唄

美唄市立図書館【施設概要】

市立室蘭図書館本館(北海道)

東室蘭に到着しました。
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近代的な駅で、人も多いです。
周辺も予想以上に都会的。

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コンコースからの眺め

支線に乗り換えて、室蘭へ。
昔、ツーリングで来たことはありますが、鉄道で来たのは初めて。
特にこの支線は是非一度乗ってみたかったので、感慨もひとしお。
複雑な地形の半島の先に続く街。
この独特さは、国内に類例が思いつきません。
(強いて挙げるなら、北九州市の若松辺りか?)

室蘭には12分ほどで到着。人は少ないですが、この駅も綺麗です。
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宿泊予定のホテルと図書館、どちらも徒歩数分圏内なので、どちらを先に行くか迷いましたが、
閉館の6時まで30分ほどしか無いので、呑気にチェックインしている暇は無いと判断、
荷物を引きずったまま図書館に向かいました。

この図書館、移転が決まっており、3月末で休館、とのこと。
最後の日を数日後に控える、絶妙なタイミングでの初訪問となりました。(訪問日は3月26日)

市役所の向こう、青少年科学館の隣の図書館に到着。
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外から見た感じ、それほど古くは見えません。
が、中に入ると、一階事務室には、
「62年間ありがとうございました」とのメッセージが貼り出されていました。
62年間!なんという長い歴史。
初訪問の身でありながら、図々しくも感慨に浸ってしまいます。

確かに中は草臥れています。
階段の壁には、図書館の歩みを映す写真が掲示されています。
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二階に上ると、図書室入口。
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ネズミ色のスチール棚がぎっちりと並ぶ館内は、やはり古さを隠せません。
撮影はOKをもらえたので、記録の意味も込めて多めに写真を貼っておきます。

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奥に中二階が

室内に、張り出した中二階があるので、ちょっと怖い階段を上ってみます。
古い全集ものが置かれていました。

閲覧室には石油ストーブが。
図書館のような所には御法度では?と思わないでもないですが、寒さ対策の方が優先なのでしょう。
この日はさほど寒くないので、点いていないようでした。
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いかにも元閉架書庫という風情の奥の間は、床がミシミシと音を立てます。
水漏れ対策なのか、窓枠や床に新聞紙が敷かれていたりして、満身創痍の体。
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三階には郷土資料室があるみたいですが、二階より一足先に閉鎖されていました。
二階にも郷土資料は少し置かれています。
芥川賞作家の八木義徳氏が室蘭の出身とのことで、著作が並んでいました。

新聞室は、アコーディオンカーテンで仕切られた先。
少し開いている隙間から覗くだけ。

雑誌コーナーのカレンダーは、閉館までのカウントダウンをしているかのよう。
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まもなく、閉館の6時。
「ありがとう」と職員に声を掛けて去って行くお客さんが多いです。
62年間の感謝というわけではなく、何となくそういう習慣が根付いているだけみたいですが。

蔵書数は、6年前の情報で16.6万冊。
地域に愛される図書館だったのでしょう。

夜は、夜景を見るため測量山へ。
標高199.6mの山頂までは、ホテルから歩いて30分。
歩いていると汗をかいてきますが、山頂に着くと雪山登頂のような寒さ。
工場夜景が売りのはずの室蘭ですが
事業縮小のためか、あまり工場は目立ちません。

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測量山からの夜景

翌日は朝9時台に電車に乗り、旭川に行く予定でしたが、
室蘭に来たら地球岬は行っておきたく。
朝6時に起きて朝飯前に歩いて往復、ということも考えましたが、
さすがに体力が持たないと思い、11時台の電車に出発を延ばすことにしました。

フリーきっぷを活用して、母恋駅まで一駅だけ乗車。

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母恋駅は昔ながらの佇まい

駅前の道をまっすぐ上っていくと、約35分で地球岬に到着します。
地球が丸く見えるという広い視界、素晴らしい眺望。
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帰りは直接室蘭駅方面へ。
時間はかかりますが、下り道なので楽なもの。

街に戻りました。
鯨が街のシンボルになっているようで、随所にイラストやオブジェがあります。
地球岬からも鯨やイルカが観察できることもあるそう。
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SLを横に従える旧室蘭駅は、今は観光案内所。
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貴重な道内最古の木造駅舎を、なぜ引退させてしまったのかとも思いますが、
現駅舎より500mほど先にあり、町の中心から行き過ぎてしまっているので、
今の方が便利なのは確か。

現駅舎の近くには、港の文学館があります。
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入場無料ですが、展示品も内装も、なかなか見応えがありました。
昨日の八木義徳三浦清宏と、二人の芥川賞作家を生んだそうです。
最近の受賞者では、長嶋有も居住歴があるとのこと。
他にも室蘭ゆかりの人はいっぱいいて、漫画家いがらしゆみこも居住歴あり。
ゲージツ家クマさんこと、篠原正之も室蘭出身だそうです。

ちょっと駆け足でしたが、一泊二日で室蘭の街を堪能。
特に図書館62年の歴史の終幕に立ち会えたのは、貴重な経験でした。
またいつか、新しい図書館にも訪れたいものです。

旭川に向かいます。
9時台発だと千歳線経由でしたが、延ばしたおかげで室蘭本線の全線走破になりました。

室蘭市/市立室蘭図書館

長万部町学習文化センター図書館(北海道)

函館から室蘭への鈍行の旅は、森駅で最初の乗り継ぎ。
ここでは1時間以上の待ち時間があるので、図書館訪問の予定。
徒歩10分足らずで、古くて大きな図書館に着きました。が、、
入口のガラス扉の向こうに「きょうは やすみ」の文字が。。
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やられた。。
函館でもやられたばっかりなのに。
定休は月曜日、館内整理日なので、今日は館内整理日なのでしょうか。
まあ、ここで降りたのは鉄道ダイヤの都合で、強い意志あってのことでは無いので、しようがない。

森と言えば、日本一有名な駅弁かもしれない「いかめし」ですが、ラッキーピエロでお腹いっぱいだったので、購入は見送り。
(そもそも今は駅では売っておらず、駅前の売店で販売)
道の駅の展望デッキで眺めを楽しんで、次は長万部へ。

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道の駅の眺望

長万部の図書館は、以前同じような旅をした際にも来たことがあります。
駅で降りると、ここでの持ち時間は僅か30分ほど。
図書館は直線距離では近いのですが、駅の西側。しかし駅には東口しかありません。
GoogleMapで図書館を検索すると、大きく迂回するルートで所要17分!
往復するだけで時間オーバー。諦めそうになりましたが、
いや、そんなに遠くなかったはず、と急いで歩を進めると、Googleには出てこない陸橋が。

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陸橋から

これを渡れば、10分とかからずに到着。
ここも開いているか不安でしたが、無事開いていました。

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学習文化センター。この中に図書館

前回来た時は無人でしたが、今回もほぼ無人。職員さんも奥の事務所にいて、カウンターにはいません。

まっすぐ進んだ突き当たりにある、
長万部ゆかり本コーナーには、地元出身の作家の本が置かれています。
和田芳恵氏は、直木賞受賞者。
紹介文にわざわざ(男性)と書かれていました。
櫻田智也氏は、若手ミステリー作家のようです。

横の、北海道の本のコーナーも規模の割に充実。
北海道の文学コーナーも別にあり、倉本聰などの本が置かれていました。

図書館は新しくて綺麗なのに、妙に背が色褪せた本が多いです。
恐らく別の場所から移転したのでしょうが、
そこがよほど陽当り対策が悪かったのでしょうか。

私がよくチェックする、コンピュータ関連は、僅か数冊。
旅行関係も、かなり少なめでした。

視聴覚資料は、映画やアニメのDVDが置かれています。
視聴席はコロナ対策で封鎖されていました。

平成4年に出来た、蔵書5万5千冊の施設。
学習文化センターの中には、ホールもあります。

再び小走りで、駅へ戻ります。
途中の道は、一応温泉街。
人の気配は無く、消滅寸前といった感じ。
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10年後には新幹線が停まるようになるというのが信じがたい、小さな駅舎に戻り、東室蘭行き電車に滑り込み。
駅前には、昔twitterで物議を醸したまんべくんもいました。

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長万部駅

何とか森町での失敗を返上できて、溜飲を下げました。

ここからは室蘭本線
ひたすら海沿いを走ります。
周りに民家どころか道路も無い日本一の秘境駅小幌駅から4人も乗ってきたのには驚きました。

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もはや観光名所化

もちろん地元民ではなく、秘境駅マニア風の方々。

長万部町役場 - 施設の概要