図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

大津町立おおづ図書館(熊本県)

宮地駅から乗った電車は、肥後大津行き。
車窓からは、北も南も、阿蘇雄大な山並みが拝めます。

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これまでは電車の本数が少ないので、乗り遅れたら大変でしたが、
肥後大津から西は途端に本数が増えるので、気が楽です。
図書館訪問と昼食のため、ここでも途中下車。

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肥後大津駅北口

駅の周りはマンションやスーパーが建ち、熊本都市圏に入った感があります。
図書館は、駅から徒歩5分ほどの近さ。
竹田市阿蘇市一の宮に次いで、この日3館目ですが、これまたデザイナーズ物件というべき、お洒落なデザイン。
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館内もお洒落。
弧を描く天井に、片側は大きな窓、反対側は上部に採光窓。
床、棚は木製。白基調で明るいです。

郷土資料には、熊本地震関連情報が多数。
行政資料や関連本、地元紙発行の写真集など。
他にも阿蘇、石橋、天草のキリシタン、川辺川ダム、コミックくまモン等々、熊本に関する色んな本が揃っています。
水俣病の本はかなりの数です。

雑誌はかなり多く、百数十誌。
文庫も豊富です。

CD、DVDもあります。
DVDは映画は少なく、国内、海外ドラマ、NHKの番組などが中心でした。

洋書もあります。
源氏物語や、吉川英治宮本武蔵」の英語版などがありました。

コンピュータの本も、専門的な本は少ないですが、数は多いです。

蔵書数は本、雑誌が約18万冊、AV資料が5千点。
人口3万ほどの町の図書館としては、かなり立派な部類でしょう。
開館は2003年とのことで、思ったよりは時が経っていました。

表と違い、裏は体育館のような地味な装いでした。
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駅への帰り道、昼食を摂ろうと考えながら歩いていると、、
お店は結構あるのですが、午後2時を過ぎてしまい、ほとんど閉まっています。

観光案内所の軒先には、「まちなか図書館」なる本棚がありました。
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図書館と呼ぶには少々無理がありますが。

駅の反対側にある、イオンの中なら何かあるかと思ったら、飲食店は無し。
結局、イオンで饅頭を買ってテイクアウトという、貧しい昼食になりました。
図書館より昼食を先にすべきだったか。。

南口には、北口には無かった「阿蘇くまもと空港駅」の表記が。
大津町は、空港への玄関口の町でもあったようです。

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肥後大津駅南口

図書館案内 | 大津町立 おおづ図書館

阿蘇市立一の宮図書館(熊本県)

豊後竹田から乗った電車は、宮地行き。
宮地では、次の電車まで1時間20分あるので、ここでも少し観光。

阿蘇の山々を背景にした宮地駅

宮地駅から徒歩5分ほどの所に、図書館があります。

ハローワーク、就業改善センター、体育館など古い施設が並ぶ通り。
GoogleMapによるとこの辺りのはずですが、見当たらない。
もしかして古くなって潰したのか?と思ったら、周囲の建物とは一線を画す、ピカピカの図書館が現れました。

館内は絨毯敷きで、靴を脱いで入りますが、スリッパはありません。
内装はコンクリート打ちっぱなし、側板は白の、黒いスチールの本棚。
天井は石綿、なわけは無いですが石綿風の黒い素材。
まるで都会のカフェバーのような、洒落たインテリアです。

特集コーナーが幾つか設けられています。
まずは、この時期らしく「年末年始の家しごと」。
コンマリさんの本などがあります。

続いて「芸人が書いた本」。
芥川賞作家となった又吉直樹はもちろん、
劇団ひとり「青天の霹靂」、若林正恭「ナナメの夕暮れ」、矢部太郎「大家さんと僕」等々、評価の高い本も多数。
北野武、欽ちゃんこと萩本欽一太田光などの大物も。

最近多くの図書館で見かける、瀬戸内寂聴の追悼コーナーもありました。

郷土資料には、阿蘇、熊本の本が多数。
オウム事件についての本もありました。
宮地の一つ前の駅は、波野。どこかで聞いた名前だと思ったら、当時オウムが拠点を作ったことで有名になった所でした。

コンピュータ、旅行の本は少なめ。
DVDは回転棚に並んでいます。最近の映画が中心。
CDは見当たりません。

壁の本棚の上は、分野名を書いた扉があり、開けてみたら中にも本が入っていました。

時代小説の文庫の棚の上には、熊本城の模型がありました。

雑誌は20誌ほど。
失礼ながら、田舎町には不似合いなお洒落空間ですが、
「現代農業」が置いてあるのが、この地域らしさを表しています。

蔵書数は約5.6万冊。
かなり新しそうですが、いつ開館したのかは分かりませんでした。

阿蘇神社までは、徒歩10分ほど。
まだ時間があるので、行ってみます。
熊本地震で倒壊したというニュースが記憶にありますが、果たして今の状況はというと、、
修復が進んでおり、新しい社と古い社が混在していました。

平日でしたが、参拝客もそれなりに多く、賑わっています。
楼門については後2年かかるそうで、保護壁に囲まれています。

右が楼門の囲い

宮地駅の中には、豊肥本線災害復旧資料館がありました。

2016年の熊本地震の話かと思ったら、それ以前からあるようで、幾度も洪水被害に遭っては復旧を繰り返しているという歴史が紹介されていました。
そして、熊本地震の被害から復旧したのは、まだ昨年のこと。
さほど収益性の高い路線でもないでしょうが、幾度もの苦難を乗り越え、歴史を紡いできた人々の努力に、頭が下がります。

施設案内 | 阿蘇市立図書館

竹田市立図書館(大分県)

この日は、熊本経由で博多まで行く予定。
大分駅を朝6時半に出発し、8時に豊後竹田に到着。
すぐ背後に滝があるという、稀有なシチュエーションの駅です。

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豊後竹田駅

次の電車までの時間で、この街を観光します。
レンタサイクルを借りたかったのですが、貸出を行う観光案内所は8時半から。
歩いて街に出てみました。

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竹田のレトロな街並み

駅からほど近くにあったのが、竹田キリシタン研究所・資料室。
開館時間前ですが、鍵はかかっておらず、扉が開いてしまいました。
快く見学させてもらえました。
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重要文化財の鐘が置いてあり、自由に鳴らして良いというのは驚き。

ここでもらった、市内のキリシタン史跡の案内地図に載っていたのが、キリシタン洞窟礼拝堂
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8時半を過ぎたので、自転車を借りに戻ろうか迷いましたが、戻るのも面倒なのでそのまま岡城址まで歩くことにします。

街の端にあるのが、「坂の上の雲」にも登場する日露戦争の英雄、広瀬武夫を祀った広瀬神社。
鳥居の下がゴミ集積場になっていたのは少々興醒めでしたが。。写真には入らないよう配慮。
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階段の上からは、町が一望。
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ここまで来ると、「荒城の月」のモデル、岡城址へもあと一息。

思いの外早く着いたので、自転車を借りる必要は全くありませんでした。
ここには20年くらい前にも来たことがあるのですが、GWにも関わらず人が全然いなくて、まさに”荒城”というその雰囲気に圧倒されました。
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建築美を誇る姫路城などと比較するのは難しいですが、個人的には日本で一、ニを争う名城ではないかと思っています。
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間もなく、図書館の開く、朝10時。
5分ほど早く着いてしまったので、近くに見えたお寺に行ってみました。
廃寺かと思う荒れっぷりでしたが、大分県らしく、石仏が並んでいます。

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瑞泉寺からの眺め

10時になったので、改めて図書館へ。見るからに、デザイナーズ物件、という感じです。
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外から見ても綺麗でしたが、中も綺麗。
白が基調で、棚は円弧を描くように配置されています。
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カウンター傍にはエッセイ漫画家、益田ミリさんのコーナーがありました。
特に出身者というわけではなく、司書さんの趣味のようです。

カウンター横の奥まった所には、リサイクルコーナーがありました。
割に新しい本が多く、蔵書と見分けが付かないものも。

読書テラスもあります。少々狭いですが。
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椅子も、デザイン性の高いスツール。
低反発の玉状のものだったり、
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木製のカラフルな布張りだったり。
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太田市美術館・図書館を思い出させました。

まるごと大分コーナーには、
広瀬武夫滝廉太郎の他、児童文学の佐藤義美などの本があります。
郷土資料がこれだけだと少々寂しいかなと思っていたら、本体は後で登場します。

コンピュータの本は数十冊と、かなり寂しめ。
文庫本は豊富でした。

館内は瓢箪型で、西館と東館に一応分かれており、二階もそれぞれにあります。

まず西館の方。
上は展望学習室とのこと。
展望と言っても、一階が見渡せるだけでした。

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二階からの眺め

階段の脇にも本棚がありました。
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東館の一階は児童書で、
こちらの二階はティーンズ、郷土資料という両極端なものを置いている模様。
佐伯の図書館にあった「大分先哲叢書」はここにもありました。
郷土資料というより参考資料と言うべきものが多く、大分には関係無さそうな「鎌倉遺文」「世界の名画」なども。

ちなみに写真撮影は、申込書を書くと、首から下げる許可証をもらえました。
そろそろ帰ろうという時にダメ元で聞いてみたら、そういうことだったので、もっと早く聞けば良かった。

このお洒落な図書館、開館は2017年。
蔵書数は開館時の情報で、約13万冊。

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こちらが正面かも

豊後竹田の滞在時間は、電車の乗り継ぎの合間の僅か2時間46分でしたが、実に濃密なひと時でした。
駅では、間もなく電車が来ます、の案内と共に「荒城の月」がコーラス付きで流れました。

施設案内 | 図書館WEBサービス

大分県立図書館(大分県 大分市)

大分駅に着きました。
駅前では、無料の抗原検査をやっています。
駅近くのホテルに荷物を置いてから、日のある内に大分城でも見ておこう、と行ってみました。

中に入ろうとすると、、封鎖。

理由は、PCR用検体採取場設置のため、とのこと。
九州はコロナ感染者がかなり低レベルに落ち着いていますが、逆にか、かなり神経質になっているようにも思えます。

平日は夜7時までやっている、県立図書館に行ってみます。
最寄り駅は西大分なので、青春18きっぷを駆使して、大分から一駅乗車。

大分駅

近代的な大分駅とは対照的な、レトロな無人駅でした。

西大分駅

スマホを頼りに住宅地の寂しげな道を10分ほど歩き、到着。

さすが県立と思わせる、なかなか豪勢な建物。
気圧されそうな威厳のある階段で、ニ階に上がります。

入ってすぐの所には、子育て支援コーナー。
向かいには児童書の部屋があります。
続いて雑誌コーナー。400誌くらいはありそう。

館内撮影は、見学申込みという扱いでOKになりました。
見学可能な箇所について、丁寧に説明してくださいました。

階下の公開書庫への階段が、何箇所かあります。

沖縄の名護の図書館とそっくりな構図。
しかし公開は17時までということで、見学できず。それもまた、名護の時と同じ。。

着いた時には既に日が暮れていたので、外観の良い写真が撮れませんでしたが、模型がありました。

全体像はこんな感じです。

奥に行くと、慶應3年から昭和23年までの法令全書、500冊ほどがずらりと並んでいました。
隣の国勢調査報告も、数百冊。これでも、平成に入ってからのたった3回分です。

コンピュータの本も豊富。
新しい本もありますが、今時役に立たない古い本も多く見られました。

外国語資料は、中国考古集成20巻がありましたが、それ以外は全て英語。
仮に他言語の本が混ざっていても、言語別になっていないので、見つけるのは難しそう。

昭和2から5年にかけての、76巻+別巻1からなる、「日本児童文庫」も目を引きました。
非売品で、発行所はアルスとのこと。素性がよく分かりませんが、年代の割に状態は良好。

郷土情報室は広大。

郷土資料室

ここだけで、並みの図書館レベルの広さです。
県内の広報誌・雑誌が百以上。大分に関する膨大な本、資料。
大分の出身者の作品だけでなく、大分が舞台の本もあります。

文庫本は、出版社別になっています。
かなりの数で、1万冊はありそう。

ちょっと気になったのは、窓際に置いているわけでもないのに、全体的に色褪せた本が多いこと。以前は違う配置だったのでしょうか。

視聴覚資料は館内のみ。
LD、DVD、カセットもあるように書いていますが、
CDしか見当たりません。ほとんどクラシックで、千枚ほどでした。

当図書館、ルーツは120年ほど前に遡るようですが、現在の地に開館したのは1995年とのこと。
蔵書数は、堂々の約120万冊。
AV資料は約4700と、あまり多くはありません。

その後は青春18きっぷを更に活用し、別府へ。温泉地別府には、格安の公衆浴場が多数あります。
せっかくなので、別府駅より更に2つ先の亀川駅まで乗り、駅から近い浜田温泉で汗を流しました。

現在の浜田温泉

現在の温泉も結構古風ですが、向かいには更にレトロな浜田温泉資料館が。嘗てはこちらが使われていたのでしょう。

大分県立図書館

三浦造船佐伯図書館(大分県)

1日2本しかない普通列車で、佐伯へ向かうため、朝6時に延岡駅へ。二階を仰ぐと、本棚らしきものが見えます。
まさか図書館?と調べてみると、エンクロスなる、本が自由に読める閲覧スペースと蔦屋書店、スターバックスが入った施設。
貸出はしないので図書館では無いということか、事前調査には引っかかりませんでした。
知っていたら、何とか開館中に来られるよう予定を組んだのですが。。
早朝6時なので当然開いていませんが、待合室にも本が少し置いています。
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この日は、昔から気になっていた津久見市保戸島に行こうと思っていたのですが、船も電車も本数が少なく効率的な旅程が組めない、この日は月曜日で津久見市の図書館は休み、というで今回は見送り、前日に急遽予定を変更。
佐伯で降り、大入島(おおにゅうじま)に行くことにしました。
佐伯駅のホームには、富永一朗の絵が飾られていました。
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2ヶ月前に行った、福島の磐城塙駅に彼のギャラリーがありましたが、出身地はここだったようです。

駅から徒歩10分足らずの港から、僅か150円の船賃で来られる大入島。

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大入島へ向かうフェリー

レンタサイクルを借りて、島を反時計回りに一周します。
大正天皇駐蹕記念碑の案内標識を見つけ、自転車を下り、行ってみました。
ほとんど人が来ることは無いようで、ロープを目印に荒れた道を登っていくハードなコース。

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記念碑

木が生い茂っていて視界が開けず、苦労の割には、眺めは今ひとつでした。

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ここから軍艦を眺めたとか

島の反対側では、「空の展望所」の案内標識が出ていたので、山道を登ってみます。
しばらく登っていくと分岐があり、左は天向山、との文字。
観光地図に載っていない地名が出てきました。
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しばらく右に行ってみるも、何か違う気がして引き返し、左に行くもこちらも何か違うような。。
市の観光課に電話してみるも、空の展望所は大入島ではない、とか天向山は地図に無い、とかで要領を得ず、たらい回しに。
最後に出た人が天向山と展望所は同じ、と言ったので信じて進むも、、
まるで眺望の利かない頂上に着いてお終い。。

時間も無いので、諦めて下山しました。1時間のロス。
空の展望所、果たしてどこにあったのでしょう。
観光課の人が知らないのは我慢するにしても、あの役に立たない標識は遭難者が出る前に何とかしてもらいたい。

島唯一の食堂で佐伯名物ごまだしうどんを食べ、港に駆け込んで12時半の船で街に戻りました。
駅前で再びレンタサイクルを利用し、市内観光。

街の中心は、駅から1kmほど先。
ほとんどのお店が閉まっているアーケード街。哀愁を誘います。
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一本隣の道は、一転して夜は活気のありそうな歓楽街。
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向かったのは、更に1kmほど離れた所にある、図書館。
レンガ造り調に、三角屋根の建物でした。
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企業名を冠している、珍しい図書館。
その三浦造船から、創業50周年記念に寄贈されたという、「ふるさと文庫」コーナーがありました。
「ふるさと文学館」「大乗仏典」、冨山房「漢文大系」など、渋い全集類が多数。

児童書は半独立した部屋になっています。
郷土資料も半独立のスペース。
県の偉人を紹介する「大分県先哲叢書」なるシリーズがずらりと揃っています。
一時ここに住んだという国木田独歩の本も多数。
独歩に佐伯を紹介したという政治家、著作家矢野龍渓の本も多数。
臼杵出身の小説家野上弥生子大友宗麟村山富市などの本も。

視聴覚資料は少なめで、CDはほとんどクラシック。
DVDはマイナーな映画が多いです。

二階への階段には、ステンドグラスが。
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どうやら教会をイメージした建築だったようです。
二階の大きな学習室は誰もいません。
奥には郷土資料室がありますが、鍵がかかっていました。

若手芸術家の作品展示する「美術館がやってきた」なる企画もやっていました。この時は巨大なウサギが置かれていました。

館内には、三浦造船の紹介はなく、造船の本も特別多くはありません。
地元の老舗名門企業かと思いきや、調べると1960年創業の会社。この業界では新興企業と言っても良さそう。
恵那市の図書館のように、企業家が私財を投じて建てたのかと思いましたが、今流行りのネーミングライツによって名を冠しているだけのようです。
しかし図書購入費に一千万円寄付したこともあるそうで、地元に貢献したい思いは強いのでしょう。

蔵書数は14.6万冊。
開館は1981年のようで、今年で40周年。
休館は火曜日で、月曜日に開いている有難い図書館。

図書館の次は、佐伯城跡へ。
同県内の岡城址にも匹敵する、本格的な山城で、上からの眺めは絶品。

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城から見た佐伯の街

歴史と文学の道には、独歩記念館など博物館が幾つかあるのですが、月曜日なのでことごとくお休みでした。
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海あり山あり、佐伯の魅力をたっぷり堪能した8時間でした。
ちなみに、佐伯駅待合室のテレビも、三浦造船の寄贈でした。

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宮崎県立図書館(宮崎県 宮崎市)

加治木から宮崎に戻りました。
明日は大分に抜けるので、宮崎の最後に、県立図書館に行ってみます。
最寄り駅は宮崎神宮駅
門が鳥居になっているという、ただならぬ駅。
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神宮の敷地内に入ると、県立博物館の案内が出ていました。
何と入場無料!
入場は4時半まで。ということは、あと数分!
全く予定外でしたが、急いで向かうと、ぎりぎり入れました。

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宮崎県総合博物館

無料にしては広くてコンテンツ豊富、神楽の紹介、クジラの骨格、海底の模型など、短時間でしたが楽しめました。

続いて宮崎神宮にお参り。

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参道

夕暮れなので人も少なく、荘厳な雰囲気が一段と増しています。
そう言えば、この日の午前には鹿児島神宮にもお参りしていたのでした。
同じ日に隣県の神宮をハシゴするとは。。

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本殿

そのすぐ隣が、県立図書館。
何とか、日が沈む前に来られました。
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県立に相応しく、巨大です。

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玄関

まずは、新聞コーナー。
昨日日南線の車内で取材、というかインタビューを受けた宮崎日日新聞
当然、ありました。
一面と社会面にしっかり、日南線運転再開の記事が載っています。
熊本、大分、鹿児島という隣県の他、福島の地方紙も置いています。

県立図書館だけに、大きな郷土資料室があります。
郷土の偉人として、小村寿太郎若山牧水などが紹介されていました。
そんな中で、上杉鷹山の本も多数。
鷹山には米沢藩のイメージしか無いのですが、なぜ?
調べてみると、父親は高鍋藩主。
しかし生まれたのは江戸の藩邸で、10歳で米沢に養子に出されたということなので、宮崎に来たことは一度も無いのではないかと。

郷土の作家として何人かの、本が集められていましたが、
私が知っているのは銀色夏生くらい。
宮崎出身とは知りませんでしたが。

紙ファイルも大量に並んでいます。何かと思えば、中身は新聞の切り抜きでした。

一般書の方に戻ります。
雑誌は2、300誌と豊富。これも、さすが県立と思わせます。
近くには、洋書コーナーもありました。
英語中心ですが、ベトナム語、ロシア語などもあります。
ぐりとぐら」「100万回生きたねこ」の中国語版もありました。

コンピュータの本もズラリと揃っていますが、やや古めの本が多い印象。

小説の品揃えは、並みの図書館以下に見えます。
並みの図書館にあるものは、そちらに任せているのでしょうか。
文庫本は、青少年文庫しか見当たりません。
新書も、これだけ?という程度。
郷土資料は別として、全体的には、ちょっと大きめの市立図書館、というレベルに思えてきました。

「こどもしつ」は5時までということで、既に閉まっており、
奥の視聴覚ライブラリーは、関係者以外立入禁止。
二階は学習室、視聴覚室、と書いていますが、暗くて使われている様子はありませんでした。

蔵書数は81.5万冊。ただし書庫のものが多いようで、閲覧室に限ると12.8万冊。
内、視聴覚資料が1.4万とのこと。
開架のみを見た感じだと、ちょっと大きめの並みの図書館、という印象は正しかったよう。

現在の施設は昭和63年(1988)からですが、最初の開館は明治35年とのこと。
宮崎市は、47の都道府県庁所在地の中で、県庁設置以前の歴史が無い唯一の街、と聞いたことがありますが、その後は着実に歴史を刻んでいるようです。

外に出ると、もうすっかり夜。
広い緑地を挟んで、向かいにある県立美術館は、美しくライトアップされていました。
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延岡から北は、普通列車が早朝と夜しかないという、時刻表を見た目を疑うようなダイヤなので、この日の内に延岡入り。
夜の延岡は、スナック系飲み屋は山ほどあるのに、普通の飲食店がほとんど無いという、困った街でした。
何とか入りやすそうな居酒屋を見つけて入ったら、地元のオヤジがカラオケ大熱唱中。。結構上手かったのが救いでした。

交通アクセス - 宮崎県立図書館

姶良市立加治木図書館(鹿児島県)

慌ただしく鹿児島神宮を見学し、隼人駅に戻りました。
当初は隼人、国分と寄って宮崎に戻るつもりでしたが、ここまで乗ってきた吉都線肥薩線と違い、隼人から西は電車の本数がそこそこ多いことに気付きました。
他にも選択肢があることが分かり、急遽計画を変更。
旧い建物を活用している図書館があるという、西隣の加治木に行ってみることにしました。

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JR加治木駅

加治木駅で下車し、徒歩10分足らずの所にある図書館へ。
駅から図書館に向かう途中のラーメン店で昼食を、、と思ったら、店の前に並んでいる人がいます。
見ると、待ち時間40分以上との掲示が。
エイティングリストに名前を書いておき、図書館を見て戻ってくることにしました。

図書館への途中の道は学校が幾つもあり、立派な石垣が残る一角もあります。
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島津義弘の屋敷跡とのこと。

程なく、情報通り、今時の図書館らしからぬ古風な建物がありました。

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門も立派

左には研修室、右には郷土館が建っています。

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正面が図書館

スリッパに履き替え、中へ。
広くはない館内は、床、壁、天井とも板張りです。

本もさほど多いとは言えません。
ヤングアダルト、児童書の比率が高めでしょうか。
私がよくチェックする、旅行書、コンピュータ関係ともかなり少なめ。

ここは鹿児島県。ご多分に漏れず、郷土資料は充実しています。
先ほどの隼人図書館にあった「かごしま文庫」はここにもありました。
西郷、奄美屋久島、島津家、などに加え、児童文学者の椋鳩十の本がたくさんあります。
彼は、長野は伊那の奥地の出身というのを阿智村で学んだので、どういうことかと思ったら、
鹿児島で長い間教員をやっていたそうで、その縁のようです。

漫画もあります。
手塚治虫や「はだしのゲン」などの定番物に混じって、
「島津戦記」「せごどん」といったご当地ものも置いていました。

研修室へは中から繋がっていますが、用の無い人は入れない模様。和室もありますが閉まっていました。

時間があるので、お隣の郷土館も見学。入場無料です。

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郷土館

一階は、島津義弘に関する展示。
利休とも交流したという風流人でもある、戦国武将。
明の貨幣に倣い、加治木銭なる私鋳を行っていたとか。
その貨幣もありました。
職員の人に話を聞くと、この周囲一帯は全部島津の屋敷だったとのこと。
何気無く通り過ぎた屋敷跡も、話を聞いた後では見る目が変わってきます。
二階は石器、土器から農具、兜や刀、爆弾の破片、蓄音機、ワープロ、テレビなど、何でもあり状態でした。

郷土館でもらった資料によると、図書館は隣の研修室共々、昭和12年の建築。共に国の登録有形文化財です。
裏には石造倉庫もあったそうですが、これは見逃してしまいました。

加治木町立図書館の開設は何と、大正6年。
現在の敷地に移ったのは、昭和12年
ただし今の図書館は元郷土館で、ここが図書館になったのは現郷土館が出来た昭和47年とのこと。
少々ややこしい話ですが、並々ならぬ歴史があるのは間違いありません。
蔵書数は約5.3万冊。

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歴史を感じさせる、図書館への道

ちょうど40分ほど経ったので、ラーメン屋へ。
中に入ってからも少々待たされましたが、独特のクリーミーなラーメンは、待った甲斐のあるものでした。

少し時間があるので、街を見物。
観光スポットはあまりありませんが、海を見たくて線路の南側へ。
海岸までは行けませんでしたが、大きな川の縁から海を拝むことは出来ました。
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その日の朝まで来る予定は無かった、ここ加治木。
大隅国の中心として太古から栄えたという、この街の歴史を知ることが出来たのは、思わぬ収穫でした。

アクセス – 姶良市立図書館