図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

中央区立京橋図書館(東京都)

月島図書館を後にして、 中央区立図書館の3つの内のもう1つ、

京橋図書館を目指します。

 

京橋と言っても京橋駅の近くではなく、最寄りは月島のお隣の新富町駅

いつの間にか築地駅と乗り換え可能になっていた新富町で降り、徒歩数分。

中央区役所と同じ敷地、というか同じビル内にあります。

 

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地下鉄駅から行くと、裏口のようなものがありましたが、

「図書館は裏に回ってください」との表示があるので、

中央区役所の玄関を眺めつつ、裏に回ります。

既に夜7時を回っているので、区役所の玄関は閉められており、その向かいは半地下を走る首都高速

周囲には人の気配がありません。

図書館は本当に開いているのか、やや不安になりますが、無事開いていました。

 

道路から数段の階段を下りた、やや低い所に入口があります。

大雨が降ったら水没しそうな構造ですが、近くの首都高速の方が低いので、恐らく大丈夫でしょう。

 

入口を入ると、右にカウンター。

図書室はさらにその先ですが、旅行ガイドとAV資料だけはカウンター前の室外にあります。

月島には無かったDVDも、少量ながら置いています。

室内にスペースが無くなって締め出されたのでしょうか。

 

下に降りる階段があり、先には地域資料室と学習室があるようですが、そこは午後5時まで、

ということで閉められていました。

奥には児童図書室もありますが、こちらは夜でも開いています。

 

図書室に入ると一見して、古い、というのが分かります。

本棚は、なんとも不愛想なスチール棚。

机と椅子も、昭和の会議室、といった感じの事務的なものです。

 

中央のカウンター横に、ガラス張りのテーブルのようなものがあります。

何かと思ったら、階下の書庫に行くための階段があり、その天井を透明のアクリル板で塞いでいるようでした。

あいにく利用者が入れるところではありません。

 

ここは未訪問だと思っていたのですが、古い机を見ていると何か既視感が。。

どうやら何年か前に、一度来たことがあったようです。

ここに入るまで気付かなかった、自分の記憶力の衰えぶりがちょっと怖くなりました。

 

並んでいる本は必ずしも古いわけではないですが、新書のコーナーを見ると、かなり古そうな背表紙の黄ばんだものが多くあります。

そういう本を手に取ってめくってみると、昔懐かしい紙の貸出カードが。。

正しくは何と呼ぶのか分かりませんが、

背表紙の裏に小さいポケット、その中に署名を記した厚紙でできたカードが入っていて、借り出す際にそれを置いていく、というあれです。

平成生まれの人には、何を言っているのか分からないかもしれませんが。。

そこで見つけた一番古い本は、昭和51年発行。思ったほど古くはなかったようで。

書庫にはもっと古い本がいっぱいあるのでしょう。

 

ちなみに、月島で8冊並んでいた「火花」は、1冊だけでした。

少量ながら、外国語の本も置いています。
珍しいことに、外国語の絵本コーナーも。

英語だけでなく、中国語、韓国語、スペイン語などの絵本もありました。

 

部屋の片隅にも、わずかに学習スペースがありましたが、

地域柄なのか、遅い時間帯のせいなのか、学生風の人はおらず、

仕事帰りの中高年ばかりでした。

 

閉館の夜8時が迫り、それを告げるアナウンスが流れ始めました。

そのBGMは蛍の光ではなく、カーペンターズ

しかもインストゥルメンタルではなく、本物のボーカルの入った曲。

とことん昭和を感じさせる演出に、感じ入りました。

 

入る際には気付きませんでしたが、

出口脇にリサイクル本の棚がありました。

これまた古くて活字の小さい、島崎藤村の文庫本があったので、もらっていきました。

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区役所全景

このあたりで夕食を取ろうと、薄暗い路地を歩いて回ります。

この一帯の住所は築地なので、よく見るとそこかしこに寿司屋があります。

寿司屋は少々敷居が高いので、これまた昭和を感じさせる小さな定食屋さんに入りました。

千円のカキチリ定食を頼むと、これはなかなか豪華!

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孤独のグルメ」の井之頭五郎になった気分で味わいました。

雰囲気に似合わず、食後には珈琲のサービス。

これまた意外にも、支払いにはカードの使用も可能でした。

外国人観光客の多い場所柄でしょうか。

 

家に帰ってから調べてみると、この京橋図書館、なんと、開館は明治時代とのこと。

今の場所に移転したのは昭和4年。

都内でも屈指の歴史と伝統を誇る、名館だったようです。

中央区日本橋区京橋区の2つが合併してできたそうで、

京橋区域にあったのでこの名前になったのでしょう。

 

今回は入れなかった地域資料室には、貴重な資料が多数置いてあったようで、

更に貴重な書物でいっぱいと思われる閉架書庫は、一般向けに見学ツアーを行うこともあるようです。

今回は軽い気持ちで寄ったのですが、この聖地にはまたいつか、

心して再訪しなくては、と思いを新たにしました。

 

中央区立京橋図書館