図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

磐田市立中央図書館(静岡県)

今週末は、郷里の奈良に帰ることにしました。
さて手段は新幹線か、夜行バスか、青春18きっぷかと考えましたが、
新型コロナの話題一色の今、感染リスク最小化ということで、マイカーで行くことにしました。
主に一般道でのんびり向かいます。

途中、どこか図書館に寄ろうと思いますが、
やはりコロナの影響で休館中の所が多い今、事前確認が不可欠です。
静岡県内については、静岡県立図書館のサイトが、開館状況をまとめてくれていました。
伊東市下田市掛川市などが休館していたものの、
私の地元の埼玉南西部に比べると、開いている率はかなり高そうです。

経路から外れずに、大都市に入り込んで時間を浪費せずに行ける所、ということで、
磐田市の図書館に行くことにしました。
カーナビを頼りに行くと、立派な図書館が見えてきました。
駐車場も結構埋まっています。

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中に入ると、広々とした空間が広がっていました。
二階もありますがごく一部なので、天井が二階分の高さ。
天井には、プロペラの様な扇風機がゆっくりと回っています。

右手の展示室では、地元の絵画クラブか何かの作品展をしていました。

図書館の方に入ると、中央には洋書のブース。
ヤマハ発動機の工場もあり、外国人労働者が多いためかなと思いましたが、
多読の本が並んでいたりして、どちらかと言うと、英語を勉強したい人向けの品揃えでした。

館内の空気は、埼玉の図書館のようなピリピリしたものは無く、ごく平穏。
利用客も多く、
新聞、雑誌の閲覧席やDVD視聴コーナーも封鎖されるでなく、普通に使われていました。
コロナに対する警戒感にも、地域による温度差がかなりあるようです。

書棚を見て回っていると、
昭和初期の雑誌「新青年」の合本、朝鮮考古資料集成など、結構古い、渋い本が目立ちます。

奥は参考図書のコーナー。ここも古めかしい資料が大量に並んでいます。
その中の最奥には、赤松文庫なるコーナーがありました。
磐田原台地に茶園を開拓した赤松則良と、その息子範一の蔵書とのこと。
ガラス扉付きの棚に、古文書のような古い本が並んでいます。
江戸時代から大正にかけての書物だそうで、扉には鍵がかかっており、手には取れませんでした。

参考図書の横には、磐田市の著名人コーナー。
磐田と言えばサッカーの街というイメージでしたが、
卓球の伊藤美誠水谷隼両選手も出身者とのことで、関連本が並んでいます。
父親がジュビロ磐田の監督だったという、長澤まさみの本もありました。

二階は視聴覚ホールなどですが、廊下のスペースで「鉄道と磐田」という企画展をしていました。
つい先週、東海道本線に御厨という新駅が誕生したそうで、それをきっかけにしているようです。
写真の他、昔のダイヤグラム、駅の模型などが展示されていました。

磐田と言えばサッカーと思っていたので、
サッカーの本が大量に置かれているかと思っていたのですが、それほどでもなく、
他所よりはちょっと充実しているかな、という程度。
磐田にはサッカーだけでなくラグビーチームもあり、こちらもジュビロを名乗っているそうで。
隣にはラグビーの本も並んでいました。

外に出ると、気温は高いのですが吹き付ける強風が冷たいです。
隣には埋蔵文化財センターなる謎の施設が。
気になって行ってみると、あいにくこの日は休館日でした。

ここに来る途中、レンガ作りの古い建物が見えたので、そこに行ってみることにしました。
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5分ほど歩いて来てみると、何とここは、先ほどの文庫の寄贈者、赤松家の屋敷でした。
基本、門と蔵と庭しか残っていませんが、小さな博物館もあり、入場無料にしては充実しています。
この赤松氏、出身は江戸だそうですが、茶園を開いた人というだけでなく、
日本の造船の先駆者で、娘は森鴎外の先妻とのこと。かなりの大人物です。

車を出して街の方に進むと、旧見附学校なる看板が。これも気になったので寄ってみました。
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明治に建立された洋風の学校。
木造ながら何と5階建て!の全フロアが見学でき、こちらも入場無料とは思えない見応えでした。

東海道五十三次には、見附宿というのがあったようで。
磐田市の、サッカーだけでない、歴史ある街としての一面を知ることができたのは収穫でした。

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