図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

ゆうき図書館(茨城県 結城市)

ついに、国内の移動自粛要請が全面解除!
早速今週末は、埼玉県外に出ることにしました。
と言ってもいきなり遠方に繰り出すのも気が引け、まずは手始めに隣県の栃木、茨城辺りで心と体を慣らすことにします。

当日になって旅の準備をちんたらとしていたら、家を出たのはお昼近く。
バイクに跨り、宿を取った栃木県宇都宮を目指します。
3ヶ月ぶりの県境を跨いだ先は、意外にも茨城県でした。
そして3ヶ月ぶりの県外メシは、古河市内の昔ながらのラーメン屋。味は可もなく不可もなく。。

そして3ヶ月ぶりの県外図書館は、ここ、結城市

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駅の真ん前ですが、人はまばら

JR結城駅の真ん前です。駅舎は立派ですが、周囲の人通りは極めて少なく、怖いほどです。
目の前に大きなショッピングセンターがあるも、潰れてしまったようで、シャッターが閉まっています。
閑散とした駅前に、場違いなまでにお洒落で立派な建物。と言えば、同じ北関東の太田市の図書館を思い出します。
観光案内所や物産展、役所の出張所も入っている模様。

ともあれ、中に入ってみます。

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入口
一階は児童書。お母さん向けの雑誌もあります。

新川和江なる地元出身の詩人の方が、名誉館長を務めているそうで、カウンターの横に
ガラス張りの名誉館長室がありました。
中には彼女の詩を記した書などが飾られていました。
他にも著名な方の書が幾つも飾られていたのですが、メモを取り忘れたので、
誰だったか思い出せません。。

室内の階段で二階に上がります。
そこには、何とも美しく静かな空間が広がっていました。
天井は、四階まで一気に吹き抜けになっています。
天井が高すぎて蛍光灯が付けられないので、本棚の柱の上に、松明のように
蛍光灯が垂直に林立しています。

図書館内は撮影禁止の所が多いので、普段は館内の写真は撮らないのですが、あまりに個性的で面白いので、
これは是非写真に残したい。
職員の方に、撮影しても良いか聞いてみました。
一階のカウンターで、名前や住所を書いて、許可証をもらうと、撮影可とのこと。
やや面倒ですが、申請して許可証をゲットしました。
撮影目的も書く欄があったのですが、これと言ったものは無いので困ってしまいました。

再び二階の紹介です。

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館内の光景。蛍光灯が林立。
カウンターから見て右手には、波を打ったようにうねる形の本棚が。DVD、CDが並んでいます。
また、古い雑誌が何冊かまとめて、緑色の背表紙を付けて製本されていました。
普通なら捨ててしまうような週刊誌、車雑誌なども。
懐かしの「ぴあ」もありました。
しかし何でも取っているわけでも無いようで、どういうわけか2003、2004年のものがやたら多く、
とても偏っています。
他のものは書庫に仕舞われているのでしょうか。

奥には、名誉市民、多田富雄氏の資料室が。
免疫学者にして詩人。東大教授で、ノーベル賞受賞者利根川進本庶佑両氏と共に朝日賞受賞、
との経歴は只者ではありません。

部屋の外、一番奥の壁には、多田不二なる人物の展示。これも地元出身の詩人とのこと。
同姓の富雄氏との関係は、紹介文の中に言及が無いので不明です。
それにしても結城市は、随分多くの詩人を生んでいるようです。

その横のガラス張りの部屋の中は、椅子の山。
コロナ対策で撤去した、館内の椅子をここに仕舞っていたようですが、
まさに今、職員の方が椅子を次々運び出し、元に戻そうと作業しているところでした。
日常が取り戻されつつある光景を目の当たりにし、嬉しい限り。

再び階段で、上の階にのぼります。
窓からは、右手に結城駅。ホームまで見渡せますが、やはり人が少ない。。
そして左手の彼方には、筑波山がそびえています。

三、四階は基本は吹き抜けなので、壁沿いに本棚が並ぶのみ。しかし吹き抜けを挟んだ向こう側には
書庫があるようです。
そこもガラス張りで、中の様子が見える書庫というのは珍しい。
書庫は「自動化書庫」を採用しているとのこと。
指定した本を自動で取り出し、搬出するみたいです。Amazonの倉庫のようなハイテクぶり。。

三階は新川和江コレクション。詩の本ばかりがずらり。
四階は、引き続き新川和江コレクションと、多田富雄コレクション。
新川さんの方は、やはり詩の本がほとんど。何千冊あるのやら。
後で調べたら、全部で約1万冊寄贈されたそうです。
おそらく貴重なものもあるのでしょうが、知識が乏しいのでどれが貴重なのかは分かりません。
多田氏の方は蔵書をそのまま持って来た感じで、ジャンルは様々。
医学関係が多いですが、小説から写真集、昔の旅行ガイドまで。もちろん詩集もあります。

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四階からの眺め。壮観です。

公式サイトで見つけた情報によると、開館は2004年。蔵書冊数は約27万とのことです。

図書館を出て、街を散策。
結城紬の里として知られる結城ですが、寺社が多く、蔵造りの古い家も随所に残る、歴史ある街です。
観光客は少なく、観光客向けのお店も少ない、というよりほぼ無いですが、
関東では川越、佐原、栃木市などに匹敵するポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。

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結城の古い街並み

バイクを停めたままの図書館に戻ると、時刻はもう6時。
入口前の広場では、中学生の集団がダンスの練習をしています。
図書館は7時まで開いているようですが、観光案内所など、他の施設はもう閉まっています。
入口脇には、ドトールコーヒーならぬドイトンコーヒーなる喫茶店があったので、
ちょっと入ってみたかったのですが、ここも既に閉まっていました。

この日はもう一館くらい寄りたかったのですが、ここが予想外にインパクトが強かったので、
お腹いっぱいの感もあり。
しかし調べてみると、宇都宮市の図書館は結構遅くまでやっている所もあるようで、
やっぱりもう一つ寄ってみるか。。?
(続く)

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