茨城県の山奥、旧緒川村の辺りから旧御前山村(いずれも現常陸大宮市)を通って笠間市に抜ける、県道39号線は、
立派な幹線道路になったり、舗装ボロボロの1車線の林道になったり、なかなか変化に富んだ、
しかし一言で言えば過酷な道でした。
疲労困憊の末、何とか関東平野に出るとそこは、笠間焼の里。
体育館、公民館などが集まる、やや町外れの広々とした一角に、市立図書館があります。
入口脇には、初代市長と名誉市民の洋画家氏の銅像が並んでいました。
入館時には、コロナ対策で名前と連絡先を書かされました。
まだ新しそうな図書館で、館内はとても明るく綺麗。
見上げると、高い天井は斜めになっており、ボンボリのような四角い照明が付いています。
まず目に入ったのは、CDコーナーの充実ぶり。
アーティスト名を書いた仕切り板で区切られています。
ボブ・ディラン、ビリー・ジョエルなど、大ベテランが目立ちますが、よく見ると、
アヴリル・ラヴィーン、カニエ・ウェスト、邦楽ならRADWIMPSなど、今時の人もしっかりありました。
文芸の単行本でなら珍しくないですが、CDでこんな仕切り板を使っているのは、あまり見たことがありません。
もちろんCDショップでなら普通のことですが、図書館でこれができるのは、それだけ数が揃っている証拠でしょう。
映像資料の方も、なかなか充実しています。
DVDは、映画だけでなく、テレビドラマ、アニメが豊富に置かれています。
アルプスの少女ハイジ、あらいぐまラスカル、母をたずねて三千里、まんが日本昔ばなし、
など、懐かしのテレビアニメが揃っています。
海外ドラマでは、「24」の全シーズンが揃っているのは圧巻。
これまた懐かしの「刑事コロンボ」も。
海外ドラマ自体、図書館で置いているのは珍しい。
古い映画は、VHSでも置いています。
漫画の品揃えも、目を見張ります。
ジョジョの奇妙な冒険、頭文字D、などこれまた図書館らしくないチョイス。
ここにも仕切り板が使われていましたが、作家名ではなく、野球、サッカー、ホラー、少女、など分野別。
こんなのは、他の図書館はおろか、書店でも見たことがありません。。
ジャンルの表示はありませんでしたが、とりわけグルメ漫画の数が凄い。
それだけで棚1つ使っています。
コロナ対策で、ソファーは一つおきで使用できるようになっています。
座る所は豊富にあるので、半分になっても窮屈な感じは全くありませんでした。
語学のコーナーを見ると、
英検、TOEICといった、資格試験対策の問題集が豊富にあります。
仏検公式ガイドブックも全級、置いてありました。
お隣には、漢検の問題集も。
この手の本を図書館で見るのは、かなり珍しいです。
文芸書にも、もちろん作家名の仕切り板。
単行本だけでなく、文庫本の棚にも同様に仕切り板がありました。
洋書も充実しています。
ペーパーバックからブリタニカ百科事典、ミシュランガイドまで。
ドラえもんの英語版に、天才バカボンのバイリンガル版もありました。
コンピュータ関係を見ると、ここにもWINDOWS、EXCEL、JAVA等の仕切り板。
郷土資料も、茨城県の市町村ごとの仕切り板。
ここは相当、仕切り板が好きなようです。
本業とも言うべき、陶芸、美術関係ももちろん充実していました。
同じく陶芸の里の、信楽の図書館を思い出しました。
中央の一角には、机1つ分の小ささながら、笠間焼ギャラリーが設けられていました。
月替りで地元作家の作品を展示しているようです。
室外に出ると、エントランスもちょっとしたギャラリーになっていて、
花などの絵で文字を描く、福寿花文字の作品が飾られていました。
「芸術の街」の面目躍如です。
二階に続く階段もあったので上ってみると、コロナ対策で利用禁止になっている学習室でした。
蔵書数は約20万冊。
笠間市は、人口あたりの貸出数は7年連続日本一、とのこと。
よく見ると、人口8万人未満の市区で、という微妙な条件付きでしたが、それでも日本一は大したもの。
貸出冊数は無制限。貸出できる人も、近隣市町の住民などの条件は無く、誰でもOKとのことです。
あいにく旅人の身としては、返しに来る当てがないので、借りるわけにもいきませんでしたが。
漫画と視聴覚資料の充実ぶりが、この記録に寄与しているのも間違いないでしょう。
図書館を出て、再びバイクで走り出します。
斜めの屋根は、外から見るとこんな感じ。
中から見上げた時は気づきませんでしたが、どうやら陶芸の登り窯をイメージしたデザインだったようです。
さすが、芸術の街!陶芸の街!徹底しています。
それにしても、いい意味でクセが強いというか、個性的かつ魅力的な図書館でした。
立地は町外れと書きましたが、笠間のシンボル、笠間稲荷神社からは500mほどの近さ。
この日、実に4社目ですが、この町に来た以上、お参りしないわけにもいきません。
更に、県立陶芸美術館もある、笠間芸術の森公園へ。
美術館の無料展示だけ見たり、売店を覗いたり、と過ごしていると、時刻は4時半。
本当は茨城県随一のアジサイの名所、雨引観音にも行きたかったのですが、
GoogleMapの情報によると午後5時までとのこと。
急いでも30分はかかりそうなので、もう時間切れ。
ここの公園内にもアジサイの咲き誇る一角があったので、もう満足。雨引観音はきっぱり諦めた!
。。。のつもりでしたが、公式サイトには営業時間のことは書いていないし、
今年はコロナ自粛かもしれませんが、例年はライトアップもしているみたいだし、
もしかしたらまだ行けるのでは!?、という思いが抑えられなくなってきました。
どうせ通り道だし、一か八か、行ってみる決意をしました。