図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

練馬区立大泉図書館(東京都)

新座市の福祉の里から、大泉学園方面に向かう道は、商店街になっていました。
南に進んでいくと、突然「練馬区」の標識が出現。

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分かりにくいですが、中央に「練馬区」の標識が

商店街の途中でいきなり、埼玉県から東京都に変わりました。
出発前、再び新型コロナの感染拡大する中、東京都に行って良いものかと多少の逡巡があったのですが、
こういう所を見ると、県境にこだわることの虚しさを感じずにはおれません。
県を跨ぐ移動の自粛を、などと言われても、この辺りの住人にはちゃんちゃら可笑しな話でしょう。

東京都に入ると、街路樹が増え、街並みも心なしか美しくなってきます。

更に進むと「風致地区」という交差点が。
確かに街並みは綺麗ですが、そこまで特別な所とも思えませんでしたが。

更に進むと、「住宅前」なる交差点。
ここを右折すると間もなく、次なる目的地があります。
それにしても「住宅前」って。。練馬区内の交差点の95%は住宅前なのではないかと。

住宅街の狭い道を抜けると、家々と農地のビニールハウスに囲まれた中に、大きな図書館が見えてきました。

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緑溢れる、大きな図書館

思えば、東京23区内の図書館に来たのは、京橋図書館に行って以来、実に半年ぶり。
と言っても先ほどの新座市の図書館からは、僅か1.5㎞ほどの所です。

駐車場は障害者、妊婦など向けに数台分があるのみですが、
駐輪場はたっぷりと確保されています。

入ってみると、中も広々としています。

少し進むと、まず目に入ったのはCDコーナー。
落語、民族音楽なども含め、かなり充実しています。
しかしDVDなどの映像資料は見当たりませんでした。

中央の辺りに、浜中文庫なるコーナーがありました。
浜中氏は、1980年開設の当図書館の初代館長。
開設準備に奔走しながら、開館直前に亡くなったそうで、
遺族からの寄附金で買った外国語の絵本コレクションが、浜中文庫です。
40年近く時が経っているので、背表紙はどれも色褪せていました。

その横には、松本零士関連書籍の棚が。
松本氏は地元在住とのことで、大泉学園駅は「銀河鉄道999」が発車メロディになっているとか。
「999」の漫画の他、キャプテンハーロックの映画をコミック化したものなど、懐かしい本が並んでいます。
メーテルのイラスト入りの、サイン色紙も飾ってありました。

その向かいには藤沢周平コーナー。
藤沢氏は晩年の二十数年を大泉学園町で過ごしたそうで、このコーナーは遺族からの寄付によるもの。

その傍には、大きな字で目立たせた、アニメーションコーナーがありました。
東映のスタジオが造られたことに端を発し、日本アニメ発祥の地とも呼ばれるここ、大泉。
しかし置かれている本は200冊足らずで、圧巻のコレクションというほどではありません。

アニメの原点とも言うべき、漫画本はどうかと言うと、
青少年コーナーに少々置いてあるだけで、並みの図書館にも勝てないレベルでした。

二階もあるようなので、階段を上ってみると、児童書と読書室でした。
児童書室の奥には、屋上庭園への出口がありました。
おお、これは是非出てみたい、と思いましたが、本日は悪天候のため利用できません、との貼紙が。
曇り空とは言え、雨はとうに上がっているし、悪天候は大袈裟だろ、とも思いましたが、
今にも降り出しそうな空の下で本を読まれては困る、というのも理解できるので、仕方ありません。
眺望は無さそうですが、晴れていれば、緑に囲まれたベンチで読書を楽しめそうな空間です。
と言っても児童書室からしか入れないので、一人で来た中年男はお呼びでないかもしれませんが。

再び一階に戻ってみると、レースのカーテンに隠れて気付きにくいですが、こちらにも庭園への出口がありました。
こちらは利用禁止とは書かれていないので、ちょっと出てみました。
外に踏み出すと、、地面がつるつるに滑る!
煉瓦のタイルが敷かれていたのですが、苔なのか、泥なのか、雨の名残のせいなのか、、これはかなり危険です。
他に庭に出ている人はいないので、転んで頭を打って失神しても、しばらく気付いてもらえなかったかも。

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一階の庭園から、二階の空中庭園を望む

前述の通り、開館は1980年。
蔵書数は、一般書が約15万冊。児童書等合わせて約22万冊。
視聴覚資料は約9千点。気付きませんでしたが、映像資料も少しは所蔵していたようです。
なかなか個性溢れる、それでいて箍を外すことのできない真面目さ。好感の持てる図書館でした。

せっかくなので、先ほどの街路樹美しい「大泉学園通り」に戻り、更に1㎞ほど南の
西武池袋線大泉学園駅まで行ってみました。
道路は混んでいて遅々として進まず、その判断を後悔しかけましたが、
ようやく着いた駅前は思いの外大都会。東武東上線にはなかなか無いレベル。
駅前には、アニメキャラの銅像が並ぶスポットもあったそうですが、
バイクで通っただけだったので見逃してしまいました。
その後通った東映通りには、今も東映の撮影所が。
ここには東映アニメーションミュージアムもあったりして、アニメの町、大泉を少しは実感することができました。
しかし当ミュージアムは未だにコロナ対策で休館中とのことで、またいつか、落ち着いて訪れてみたい町でした。

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