沖縄本島の南端近く、平和祈念公園にやって来ました。
広大な敷地です。
戦争犠牲者の名が刻まれた石碑群、県ごとの慰霊塔が並ぶエリア、
などを回っていると心が苦しくなります。
圧倒されるほど巨大な、平和祈念資料館も見学したかったのですが、
2、30分の残り時間では見切れそうに無いので、今回は断念。
断崖の続く海岸線は絶景ですが、その血塗られた歴史を思うと、素直に景色を愛でるだけではいられません。
旅の最後に、祈念公園の所在地、糸満市の図書館へ。
街の南外れ、国道331号線からは数百mの所ですが、
南国の樹木に囲まれた、狭い坂道を登って行った先というロケーションは、なかなかワイルド。
周囲には、図書館以外何もありません。
ワンフロアですが、かなり広め。
コロナ対策で、滞在は15〜30分にしてください、との掲示がされています。
明るい館内には、「青春群舞」という琉球舞踊を描いた大きな絵が飾られていました。
大きな郷土資料のコーナーが、勿論あります。
平敷政夫文庫、平敷令治文庫、牧田文庫など、寄贈者の名を掲げた棚が多数。
当地で活躍した学者のようです。
窓から市街地と、その先の海が一望できました。
換気のため少し開いていましたが、しっかり網戸が付いていました。
亜熱帯の森の中という環境が環境だけに、虫も多いのでしょう。
郷土CD、カセット、ビデオも充実。
ビデオ、DVDは映画も豊富です。
恩納村に続いて、ここにも水戸黄門のDVDが。
入って10分も経たないのに、あと5分で閉館します、のアナウンスが流れてきました。
コロナ対策で、閉館時間が2時間前倒しの17時になっていたようです。
館内には何も書いていませんが、入口の扉には書かれていたようで、見落としていました。
蔵書数は約23万冊。
2017年に開館20周年、との情報が見つかったので、1997年開館でしょうか。
もっと新しそうに見えましたが。
旅の出発前に読んだ本には、糸満の草臥れた公設市場のことが紹介されていたので、
覗いてみたかったのですが、時間が無いので泣く泣く断念。
しかし後で調べたら、今年7月、観光客を意識した真新しい施設に生まれ変わっていたようで。
既に過去の存在になっていたのでした。
今回の沖縄旅行では、4日間で実に10の図書館を訪問。
観光スポットになり得るような、お洒落で個性的な図書館が近年増えている様子は、本土と一緒ですが、
何と言っても特徴的だったのは、どこも郷土資料が充実していること。
これは、沖縄県民の郷土愛の強さ、といった単純な話では無いでしょう。
元々が日本とは別の国であり、郷土即ち祖国であること、
文化、風土、歴史等の背景がそもそも異なること、
地理的に隔絶され、流通に障壁があるため、地場出版社が多いこと、
これらを考えれば必然の結果と思われます。
コロナ対策については各館各様ですが、アルコール消毒液の設置、開館時間や滞在時間の短縮、
本の消毒、など基本的には本土と同様に行われていました。
たまたまかもしれませんが、本土の図書館では結構な確率で見かける、リサイクル本のコーナーは
全く見かけませんでした。
最後は那覇空港から、夜のフライトで帰るだけ、、
だったのですが、機体トラブルにより大幅遅延。
電車の無くなった羽田から埼玉まで、タクシーで帰るという、初体験の贅沢を味わいました。