図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

港区立麻布図書館(東京都)

美術展のチケットをもらったので、久々に都心へお出掛けしました。
竹芝桟橋羽田空港を利用したのを除くと、東京都心に出て来たのは、実に1年2ヶ月ぶり。
目当ての場所は乃木坂の国立新美術館ですが、麻布十番で地下鉄を下車。
長かった緊急事態宣言の解除を明後日に控え、街は人と車で賑わっていました。
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ここで降りた理由は、もちろん図書館。
それは駅から北に200mほど、商店街から離れて人通りも多くない所に建つ、如何にもデザイナーズ物件という、お洒落なビルでした。
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見るからに只者では無い外観に、期待が高まります。

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ガラス張りの部分が階段、左側が図書室

中に足を踏み入れると、インテリアもやっぱりお洒落。図書館というよりアートギャラリーのよう。
一階は、あっぴい麻布なる、子育て支援施設になっています。
白基調の館内を、カラフルに彩られた階段で上に上ります。
途中、かかしの展示があったりして、やはりここは図書館&児童館であることを思い出させました。
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二階は児童書。
本棚にはふんだんに木材が使われています。
中央にある、おはなしコーナーは絨毯敷。

更に階段を上ると、三階は主に文芸書でした。
本棚はありふれた白いスチール棚ですが、
側板はブルーだったりパープルだったりで、やはりお洒落。

2010年に亡くなった、池部良さんのコーナーがありました。
遺族から寄贈されたという氏の蔵書は、
さすが映画俳優、「小津安二郎全集」「大系黒澤明」など、映画関係の本が多いです。
エッセイストでもあったようで、著書が多数置かれていました。

木製の机が並ぶ閲覧室の前には、「SDGsを考える」のコーナーがあり、
SDGsの17の目標別に本が集められていました。
意識の高さが窺えます。

港区という土地柄か、洋書が豊富。
言語別に仕切られており、大半はEnglishですが、German、French、Spanish、Italian、Chineseと揃っています。

カウンターには、作家の色紙が7枚ほど飾られていました。
穂村弘金原瑞人などの名前が見えましたが、正直大半は知らない人でした。

窓際、壁際にも、木製の読書席が連なっています。
窓にはサンシェードのような物が下がっており、外の景色は拝めませんでした。

文芸書は充実していますが、
文庫、新書も豊富。
なかなか弱点が見つかりません。

新聞は十紙ほどですが、その内二紙は英字新聞。
雑誌にも、中国語含め数誌の海外誌があります。

四階も一般書。
こちらの本棚の側板は、グリーンでした。

入ってすぐの所では、ジョン・レノン生誕80周年と言うことで、
UKロックバンド特集をしていました。

奥にはCD、DVDが。
映画やポピュラー音楽は少なく、お硬めの品揃え。

コンピュータ関係もなかなかの数。そこそこ高度な本が置かれています。

その向かいには、またも洋書。
先ほどは無かった言語、Russian、Koreanに加え、数冊ながらUkurainianがあるのは驚き。
やはり英語の本は多く、Agatha Christie、Jeffery Deaver、Stephen Kingなど、著者別の仕切り板まで。
一般の公共図書館の洋書コーナーで、ここまで冊数があるのは、かなり稀でしょう。
旅行ガイドのLonely Planetも原書で揃っていました。

下階にも洋書があったので、住み分けはどうなっているのかと改めて確認すると、
三階の洋書はヤングアダルトコーナーの一角だったようで、対象年齢がやや低めなのでした。

全体的には新しめの本が多い中、行政資料のコーナーに置かれている「港区史」は、昭和35年刊。
お隣の「麻布區史」はなんと、昭和16年刊でした。
お洒落なだけではありません。

最上階の五階は、視聴覚室。
映画会などに使用されるようですが、この時は無人状態でした。

このお洒落な図書館、リニューアルオープンしたのは平成26年なので7年前ですが、
起源はなんと明治時代とのこと。
蔵書数は約11万冊。
エクステリアからインテリア、コンテンツに至るまで、さすが港区、意識も収入も高い、ハイソなイメージそのままの図書館でした。

ここから乃木坂まで、ゆっくりお散歩。
六本木のさくら坂もお目当ての一つでしたが、桜はまだ二分咲きといったところ。

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六本木さくら坂の桜

やがて新美術館に到着。
トレンドなのか、写真と見紛うような写実的な絵が目立ちました。
ここには美術書を集めたアートギャラリーがあるので、こちらも図書館の一種として紹介しようと思っていたのですが。。
コロナ対策で一週間前までの予約制になっているそうで、入れませんでした。
入口で検温こそあったものの、美術館やカフェ、売店には普通に入れるのに。。
コロナを口実にしたサボタージュではないかと疑いたくなります。
未練がましく目の前まで行ってみると、終業時刻には間があるはずなのに既に閉まっていました。
予約する人が誰もいなかったのでしょうか。

美術館を後に、再び六本木方面へ。
東京ミッドタウンの裏の公園の桜は、なぜかもう満開間近でした。

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ミッドタウンの桜

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