図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

由利本荘市中央図書館(秋田県)

すっかり日も暮れましたが、羽後本荘駅で途中下車。
ここが始点の由利高原鉄道の電車が停まっていました。
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この街には夜8時までやっている図書館があるはず。
駅は工事中で、プレハブのような駅舎になっていました。
駅前にはホテルと居酒屋があるものの、真っ暗。
駅前通りを西に進むも、ポツリポツリとお店はあるものの、やはり人も車も少なく。。
本当に図書館があるのだろうかと不安を感じ始めたころ、忽然と奇抜な建造物が出現。
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カダーレと名付けられた複合文化施設
ここの中にあるようです。

中に入って進むと、ガラス窓の向こうに並ぶブラウンの本棚が見えてきました。

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中の様子

実に美しい。。
ツタヤ運営の図書館を思い出させます。

館内撮影について聞いてみると、ネックストラップ付きの許可証を貸してもらえました。
これで堂々と写真が撮れます。
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CD、DVD視聴席は、大画面テレビに三人掛けのソファという豪華版。
ああ、時間があればここでゆっくり映画鑑賞でもしたい。。
DVDは、総理Jrの接待問題で今話題の、東北新社の創業者の寄贈だそうな。
地元の出身のようで、社名の由来も何となく分かりました。
陳列されているものは少ないですが、別に目録がありました。

奥にはサッカーチーム、ブラウブリッツ秋田の特集コーナーが。
正直名前も知りませんでしたが、最近J2に昇格したそうで、意気軒昂。

中央で弧を描く階段で、二階に上ります。
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白い石壁風の回廊が複雑に入り組み、
クロアチアドブロブニクの城壁を思い出させる、、と言っては言い過ぎでしょうか。
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平日の夜ということもあり、人は少ないのですが、
ガラガラ過ぎて心配になるほどでは無い、という
程よい閑散ぶりが実に心地よい。
本棚にも余裕があり、陳列もゆったり。

郷土資料室は時間外なのか、ご利用できませんと書かれて閉められていました。
小島誰彼なる人の企画展をしているようでしたが。

しかし普通の開架スペースにも郷土資料コーナーがあり、棚4列分も費やしていました。

企画展示「書庫に眠る図書 ザ・文豪」として、古い文学全集類を並べている棚も。
中でも一際目を引いた「明治大正文学全集」は何と、昭和5〜6年の刊行。

佐藤憲一文庫なる棚もあります。
存じ上げませんが、哲学者でしょうか。
古いものは昭和15年刊という、哲学書が並んでいます。

再び一階へ。
コンピュータの本は専門的な本も少しあり、まあまあ。

洋書は、英語、中国語、韓国語が揃っています。
村上春樹1Q84中韓の二言語が置いていました。

この図書館、カダーレと共に2011年の開業。
蔵書数は分かりませんでしたが、収容冊数は22万冊とのこと。

人口減少も激しいであろう田舎町で、こんな立派な図書館が維持できるのかという疑念も少々ありましたが、
余計なお世話でしょう。
まちづくりの新しい核となり得る、素晴らしい財産と捕えるべきかと。

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西からの眺め

閉館時間近くまで居座ってしまったので、外に出ます。
少し歩くと、本物の本荘城趾が。
公園になっていますが、灯り一つ無く真っ暗なので、見学は断念。

この街で夕食を取ろうと思って歩いてみますが、スナック系の店は少々あるものの、選択肢は多くありません。
その割に学習塾は結構あったりして、彼の図書館も秋田県の教育、文化水準の高さの表れなのかもしれません。
結局、駅近くのラーメン屋さんで、この日最初で最後のまともな食事にありつきました。

この日は秋田で泊まり。
旅の初日は、3県で3つの図書館を訪問。
満足の一日でした。

由利本荘市図書館