図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

小川町立図書館(埼玉県)

今年初めてのツーリングに出掛けました。
実に20年ぶりに買い替えたツーリングマップルをお供に、目指すは東秩父

途中、小川町の道の駅で小休止。
無料になりました、との掲示に惹かれ、併設の埼玉伝統工芸会館に入ってみます。

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埼玉伝統工芸会館

小川町伝統の和紙、細川紙に加え、岩槻の人形、鴻巣雛人形、春日部の桐箪笥などが一堂に。
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切り絵の特別展もやっていました。
今月から無料化されたばかりのようで、ラッキーでした。

駐車場に立つ古びた町内案内図を見ると、少し先の町の中に図書館が。
駅前でもなく、大通り沿いでもない微妙な立地は、古くて小さい図書館を想像させます。
この町で長居する予定では無かったのですが、
既に長居をしてしまっているので、寄ってみることにしました。
国道を進んでいくと、図書館を示す古い案内標識が。
それに従って曲がっていくと、人気の無い狭い道に入ります。

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図書館のある通り

程なく現れたのは、、予想外に綺麗で立派な図書館。
これは期待が持てます。
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コロナ対策で滞在は60分まで、と書かれた玄関をくぐって中に入ります。

ロビーの奥には、小川の偉人・国語学者 佐伯梅友の展示がありました。
その隣には、おがわ仙覚万葉コーナー。
どういうことか、理解するのに少々時間がかかりましたが、
鎌倉時代、仙覚律師がここ小川に来て、万葉集註釈を著した、という話でした。
万葉集の歌がここで詠まれた、というわけでは無さそう。

室内に入ると、木が基調の実に美しい空間が広がっていました。
木の本棚の上には、ジャンルを示すプレートが立っていますが、
背景に細川紙が使われています。

こういう凝ったインテリアの図書館では、聞いてみると撮影OKの所も多いのですが、撮影禁止と大きく掲げられていたので、諦めました。

蔵書は、かなり充実しています。
読みたいと思っていたのに、近所の図書館には置いていない本も発見!
600頁あるので、その場で読むわけにもいきませんでしたが。

館内には本だけでなく、ギャラリーのように色々なものが展示され、博物館、美術館的な側面も。
町内の遺跡から出土した土器、町内の酒蔵が造っている酒の瓶なども展示されていました。

郷土資料のコーナーには、和紙に関する資料は勿論、
作者の名前の付いた和紙のサンプルも提げられていました。

戦時中に作られた風船爆弾には、細川紙が用いられていたという紹介もありました。
負の歴史も隠さずしっかり伝える姿勢には、好感が持てます。

視聴席は封鎖されていましたが、
視聴覚資料はCD、DVD、VHS、カセットとマルチメディアで揃っています。
数もなかなかで、CDは5千枚ほどはありそう。

地下に下りる階段があるので、行ってみます。

新聞縮刷版、雑誌のバックナンバーの他、
文庫、新書も含め古めの本が、狭いピッチで並ぶ棚に収められています。
公開書庫のようです。

更に奥に進むと、このフロアには「石垣の文蔵(ふみくら)」との名前が付いていることが分かりました。
窓際には戸田文庫、品川文庫なる寄贈本の棚がありました。
古文書クラスのかなり古い本もあり、ガラス扉には鍵がかかっていました。
外に出ると、石垣の前にテーブルと椅子の置かれた庭になっています。
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一階にも、屋外読書席が多数。
人はいませんが、ここも60分の時間制限下なのでしょうか。
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絵画の閲覧コーナーまでありました。
スチールのスライド式のラックに、
ミッフィ、いわさきちひろ、広重の五十三次などの絵の複製が。
島津源三なる人の手による、近隣の駅の絵も多数。

二階もあります。こちらは「山の文蔵」。
階段を上ると、まずは漫画コーナー。
旅行ガイドもここでした。
国土地理院の地図に加え、数は少ないながらも各国の地図まであります。
引出しには各県のごとの観光パンフレットの他、諸外国のものまで!
勿論全ての国では無いですが、厳選された44ヶ国には、
ガボンマラウイキプロスミクロネシアなど、マイナーな国も含まれています。
どうやって集めたのでしょうか。
そして、ここにもテラス席。
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二階室内にも学習席があり、子供の姿があります。
入館時はほとんど人がおらず、床掃除をする職員ばかり目立っていましたが、
小一時間経って、気付くとお客さんも増えていました。

それにしても、
小川町どうした!何があった?と言いたくなる位の、見事に期待値を上回る図書館でした。
町立図書館としては、自分が今まで見た中では最高レベル。平成13年即ち2001年オープン。
収蔵能力は閉架移動図書館も含めて、25万冊とのこと。蔵書数もほぼ同じのようです。

小川町の駅までは徒歩数分。
周辺には、酒造所など、古い家並みも残っています。
駅の反対側に行くと、槻川沿いの親水公園がありました。
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昼食後、本来の目的地、東秩父へ。
ほんの数kmでした。
東秩父村の図書館は、コミュニティセンターの中。
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この日はちょうど村議会議員選挙の投票日で、
中を覗こうとすると、完全に投票場モード。
スタッフの人に聞いてみると、選挙なので図書館はお休みとのこと。。
すぐ傍の、最近できたらしい道の駅で一休みしてから、再び出発。

寄居の方に下りてくると、車の多く停まっている緑地が。
鉢形城跡でした。
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建物は何も残っていませんが、遺構は見事な日本百名城の一つ。
もう夕方ですが、散策している人が結構いました。

お城の構内を突っ切る八高線の沿線には、花が咲き乱れています。
これぞ撮り鉄スポットかと思いましたが、この時は誰もいませんでした。
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本当は線路の反対側から見た方が綺麗だったのですが、急に電車が来たので渡れず。

この日、もう1つ目を付けていた図書館は、深谷市の川本図書館。
大河ドラマで盛り上がっているであろう、深谷を本格的に訪ねる前の肩慣らしのつもりで。
GoogleMapに出てくるURLをクリックしても、ページがみつかりません、と出てくるのが気になりますが。。

荒川のすぐ近くの図書館に辿り着きました。
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全く人の気配が無いのですが、
「青天を衝け」の幟がはためいているので、開いているのかなと思って近付くと、、
ここもお休み。。
システム入れ替えのため休館中とのこと。
ホームページが見られなかったのは、そのせいだったようで。

悔しいのでどこか別の所が無いかと探しますが、
日曜日の5時過ぎに開いている図書館は少なく。。
東松山は開いていますが、最近行ったばかりだし。
諦めて家路に就きました。
あの時、東松山より先には小さい町村しか無いので立派な図書館も無い、と書きましたが、認識不足でした。
小川町にあんな超掘り出し物の図書館があったとは。
つくづく、寄っておいて正解でした。

小川町立図書館