図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

秩父図書館吉田分館(埼玉県 秩父市)

両神村を出て、旧吉田町へ。
より秩父市に近い小鹿野町が独立を保ったのに、ここは秩父市との合併を選んで、
町の名が消えてしまいました。

沿道に、「秩父事件資料展示」の案内看板を見つけました。
先ほど寄った図書館に資料がたくさん置かれていましたが、あまり詳しいことを知りません。
勉強のため、寄ってみることにします。
距離が書いていなかったので、矢印のすぐ先にあるのかと思ったら、3㎞ほど走った先でした。
資料館は、廃校になった元小学校を利用した、石間交流学習館の中。
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校庭を掃除しているおばちゃんが受付係でした。
1台も車の停まっていない、広々した校庭駐車場にバイクを停め、入場料300円を払って、校舎の中へ。
10分くらいのビデオがありますよ、と言われたので、これを鑑賞して基礎学習。
しかし実際には30分ほどあり、見ている間に閉館時間の4時を過ぎてしまいましたが、
気にせずゆっくり見ていって、と言われました。何とも大らかな対応。
生糸の相場急落による収入減と、突然の税金値上げの二重苦に追い詰められた農民たちが、
世直し、世均しを謳って蜂起、秩父困民党を結成し、
宮郷さいたま市の大宮でなく、今の秩父市街)の高利貸を襲うという、秩父事件
認知度は今一つ低めですが、
国軍の出動を招いたという点に於いて、西南戦争二・二六事件に比肩する歴史的事件だそうです。
刀痕の残る高利貸の柱や、事件を描いた絵画などが展示されていました。
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ここまでの道の先は行き止まりのようですが、行ける所まで行ってみました。
石間川に沿って遡った終点にあるのは、断崖に形成された沢戸集落。山の向こうは群馬県
秘境中の秘境です。

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沢戸集落

ここ吉田町にも図書館があるので、寄ってみます。
旧町庁舎の裏、公民館も入る生涯学習センターの中でした。
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図書館のある二階に上がります。

まず目に入ったのは、郷土資料。
ここもやはり、秩父事件の本が多数置かれています。
他には、合併前の吉田町史、埼玉県史、秩父市など近隣の市町村史が並びます。
ひと際目を引く「武蔵國郡村誌」は昭和30年頃の刊でした。

その周りは、ほとんど児童書。
紙芝居、絵本の並んだ、板敷きのコーナーもあります。

もしかして児童書専門か?と思いましたが、奥に進むと一般書がありました。

文芸書の棚にも、ハリーポッター山田悠介など、
子供からヤングアダルト向けのものが混ざっています。

雑誌は20誌ほどで、地元文芸誌の他は主婦向けのものが大半。

私がよくチェックするコンピュータの本は、EXCELのガイドなどが数冊あるのみ。
旅行ガイドもごく少量。
語学の本については、全然見つかりませんでした。

文庫本も茅田砂胡小野不由美など、ラノベ系の人が目立ちます。
駒崎優、雪乃紗衣など、私の知らない人の本も多数ありましたが、やはりラノベ作家のようです。

漫画も少し置いていました。
CDは主にクラシックですが、
DVDはちびまる子ちゃんなどのアニメ、ハリーポッターなど、やはり子供向けのものが大部分。

それにしても、かなり児童、少年少女向けに偏向した図書館でした。
去年の統計データを見ると、一般書が2925冊に対し、児童書が3441冊。視聴覚資料は445点。
どうも秩父市の図書館は、全体的に児童書に重心を置いている模様。
まだ新しそうなこの図書館は、いつ出来たのかは分かりませんでしたが、
少なくとも2005年の合併より前にはあったようです。

閉館の5時になったので図書館を出て、道の駅龍勢会館へ。
ここももう閉まっているかと思ったら、着いたのは、
17時15分という中途半端な閉館時間の数分前。ぎりぎり買い物が出来ました。

その横には、秩父事件の中心人物、井上伝蔵の邸宅が。
と言っても復元された物で、映画「草の乱」の撮影に使われたようです。
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図書館と道の駅の間にある椋神社は、困民党が結集した地。
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図らずも、秩父事件の足跡をなぞる旅になりました。

各館案内 吉田分館 | 秩父市立図書館