図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

ゆいの森あらかわ(東京都 荒川区)

三ノ輪から町屋へ、都電と同じ経路を歩いて向かいます。
この先に「ゆいの森あらかわ」なる、荒川区立の図書館があるはず。
図書館で検索したら出てきたのですが、本当に図書館だっただろうかという心配になる名前です。

やがて、その名もずばり「ゆいの杜あらかわ」という交差点が現れ、その少し先に大きな施設が現れました。
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一階には、カフェ・ド・クリエがあります。

中に入ってみます。
広いロビーの奥では、
吉村昭記念文学館・福井県ふるさと文学館 おしどり文学館協定締結」の記念展示をしていました。
吉村氏がここの出身、その妻の津村節子氏が福井出身且つ文学館の館長という縁だそうで、
藤田宜永殊能将之水上勉など、両地ゆかりの作家の本が並んでいました。

あらかわゆかりの人として、人形アニメーション作家の村田朋泰氏も紹介されています。
作品がVTRで流されていました。

吉村昭記念文学館は、ここの二、三階に入っているそう。
結構好きな作家なので、これは楽しみ。
図書館と同じく、夜8時半まで開いてくれているようです。

エレベータで最上階の五階へ。
五階は学習室、ガーデンてらす。
テラスからは、スカイツリーが真正面に!
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子供たちを集めて、星の観察会をやっているようでした。

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ガーデンてらす

四階からは本がいっぱい。
何かの施設の一部が図書館なのかと思ったら、ほぼ全体が図書館のようです。
これは時間がかかると見て、ひとまず一階に戻り、カフェでしばし休息。

珈琲と菓子で英気を養った後、一階から再び探索。
奥は、「やなぎだくにお えほん館」となっています。
それまで気付いていませんでしたか、中央は劇場型のホールになっていました。
講演会などをやるのでしょう。

「幸せリーグ」なるコーナーもありました。
「住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合」に加盟する自治体の資料が置かれています。
このブログに書いた所だと、
つくば市村上市潮来市秩父市が入っています。

二階は、ティーンコーナー。
「世界を旅する」「世界考える」「世界を組み立てる」など独特の分類がされています。

吉村昭文学館の入口もここです。平成29年オープン。
東日暮里生まれという、氏の歩みが紹介されています。
室蘭で知って以来少しハマっていた、八木義徳に師事していたというのは、初めて知りました。
妻と同時に芥川賞候補になり、受賞したのは妻の方、という少々苦い経験もしています。

ちなみに、一階で紹介されていた藤田宜永氏も、妻と共に直木賞候補になり、妻が受賞するという
そっくりな経験をしています。
この日電車内で読んでいた本にちょうどその話が載っていたので、不思議な因縁を感じました。

書斎の再現セットもあります。
各地の市町村史など、取材資料がぎっしり。

氏の作品の舞台となった場所を示す日本地図も。
北海道から沖縄まで、全国至る所にマークがされていて、その幅広い活躍ぶりが分かります。

資料館の中で三階に上がります。
東日本大震災吉村昭、という企画展をしていました。
震災の2011年には氏は既に亡くなっていましたが、著作の「三陸海岸津波」が予言の書のような扱いになり、
当時話題になりました。

記念館を出て図書館に戻ると、そこは吉村昭著書の棚でした。
同じ本が数冊ずつ置かれていて、圧巻の数。
「SIEBOLD'S DAUGHTER」「BATTLESHIP MUSASHI」など、英訳された本もあります。
仏訳、独訳の本もありました。

芸術書の部屋が分かれていて、なかなかの蔵書量。
太田市の図書館を思い出します。
本棚の上には、荒川区出身の極彩色木彫家、平野千里の作品が置かれています。
アートのてらす、なるテラスもあります。

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アートのてらす

荒川区は俳句のまち宣言をしているそうで、
荒川俳句センターなるコーナーには、俳句の本がズラリ。
一見古い本ばかりに見えて、実はそうでも無い。
この業界は、地味な装丁が好きなのでしょうか。
EU初代大統領の直筆俳句も飾られています。(英語)

元東大総長、有馬朗人の寄贈蔵書からなる有馬文庫もありました。
原子核物理学が専門だったそうですが、俳人でもあったようで、俳句の本ばかりです。

CDも豊富。今時の流行りのものは、ほとんど無さそうですが。
DVDは、文化資料的なものが多く、映画は少量。

雑誌も200誌くらいはあります。まさに県立図書館レベル。

漫画もそれなりに多いですが、
他の本の充実ぶりに比べると、さほど多いとは言えません。

四階に上がります。
荒川区ゆかりの人」のコーナーが大きい!
人名ごとの仕切り板が挟まっていますが、百人はいる。。
芸能界から野沢雅子橋幸夫、球界から森本稀哲鈴木誠也、文学界から町屋良平、南條竹則など、
紹介パネルも掲げられています。
鉄道写真家、中井精也は、ジョイフル三ノ輪にギャラリーを開いたとのこと。
そう言えば先ほど見かけたような。
個人的には、荒川と聞いて真っ先に思いつくのは、水泳の北島康介ですが、彼の本も10冊くらいありました。

地域行政資料ももちろん大量にあります。

外国語資料も豊富。
最近読んだ韓国のベストセラー小説、「アーモンド」の韓国語版がありました。
やはり前に読んだ、「13・67」の中国語(繁体字)版も。
ネパール語ベトナム語の本もあります。

理工書も、大学教科書のような本がしっかり揃っています。
コンピュータの本もなかなか。オライリー・ジャパンの本もそこそこありました。

ビジネス仕事支援の部屋の外には、空のてらす。
スカイツリーが一段と近くなったような。
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他にもテラスがあり、風のてらす、香のてらすの2つは繋がっています。
香のてらすは、香りに特徴のある植物を配植しているとのこと

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香のてらす

開館は2017年とまだ新しく、蔵書数は圧巻の約60万冊。
私の知っている東京の図書館の中では、最高クラスの施設です。
丸一日いても楽しめそう。
ここをこの日の最後に持ってきた慧眼も、我ながら大したもの。まあ、たまたまですが。

地下には、有料ですが駐車場もありました。

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夜の様子

都電の荒川二丁目電停が一番近いようですが、町屋駅までも徒歩5分ほど。
あまりそういうイメージはありませんでしたが、
町屋駅は京成、都電、メトロが三層で連結する、一大ターミナル。交通も至便です。

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町屋駅

ゆいの森あらかわ(中央図書館) - 荒川区立図書館