図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

姶良市立加治木図書館(鹿児島県)

慌ただしく鹿児島神宮を見学し、隼人駅に戻りました。
当初は隼人、国分と寄って宮崎に戻るつもりでしたが、ここまで乗ってきた吉都線肥薩線と違い、隼人から西は電車の本数がそこそこ多いことに気付きました。
他にも選択肢があることが分かり、急遽計画を変更。
旧い建物を活用している図書館があるという、西隣の加治木に行ってみることにしました。

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JR加治木駅

加治木駅で下車し、徒歩10分足らずの所にある図書館へ。
駅から図書館に向かう途中のラーメン店で昼食を、、と思ったら、店の前に並んでいる人がいます。
見ると、待ち時間40分以上との掲示が。
エイティングリストに名前を書いておき、図書館を見て戻ってくることにしました。

図書館への途中の道は学校が幾つもあり、立派な石垣が残る一角もあります。
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島津義弘の屋敷跡とのこと。

程なく、情報通り、今時の図書館らしからぬ古風な建物がありました。

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門も立派

左には研修室、右には郷土館が建っています。

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正面が図書館

スリッパに履き替え、中へ。
広くはない館内は、床、壁、天井とも板張りです。

本もさほど多いとは言えません。
ヤングアダルト、児童書の比率が高めでしょうか。
私がよくチェックする、旅行書、コンピュータ関係ともかなり少なめ。

ここは鹿児島県。ご多分に漏れず、郷土資料は充実しています。
先ほどの隼人図書館にあった「かごしま文庫」はここにもありました。
西郷、奄美屋久島、島津家、などに加え、児童文学者の椋鳩十の本がたくさんあります。
彼は、長野は伊那の奥地の出身というのを阿智村で学んだので、どういうことかと思ったら、
鹿児島で長い間教員をやっていたそうで、その縁のようです。

漫画もあります。
手塚治虫や「はだしのゲン」などの定番物に混じって、
「島津戦記」「せごどん」といったご当地ものも置いていました。

研修室へは中から繋がっていますが、用の無い人は入れない模様。和室もありますが閉まっていました。

時間があるので、お隣の郷土館も見学。入場無料です。

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郷土館

一階は、島津義弘に関する展示。
利休とも交流したという風流人でもある、戦国武将。
明の貨幣に倣い、加治木銭なる私鋳を行っていたとか。
その貨幣もありました。
職員の人に話を聞くと、この周囲一帯は全部島津の屋敷だったとのこと。
何気無く通り過ぎた屋敷跡も、話を聞いた後では見る目が変わってきます。
二階は石器、土器から農具、兜や刀、爆弾の破片、蓄音機、ワープロ、テレビなど、何でもあり状態でした。

郷土館でもらった資料によると、図書館は隣の研修室共々、昭和12年の建築。共に国の登録有形文化財です。
裏には石造倉庫もあったそうですが、これは見逃してしまいました。

加治木町立図書館の開設は何と、大正6年。
現在の敷地に移ったのは、昭和12年
ただし今の図書館は元郷土館で、ここが図書館になったのは現郷土館が出来た昭和47年とのこと。
少々ややこしい話ですが、並々ならぬ歴史があるのは間違いありません。
蔵書数は約5.3万冊。

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歴史を感じさせる、図書館への道

ちょうど40分ほど経ったので、ラーメン屋へ。
中に入ってからも少々待たされましたが、独特のクリーミーなラーメンは、待った甲斐のあるものでした。

少し時間があるので、街を見物。
観光スポットはあまりありませんが、海を見たくて線路の南側へ。
海岸までは行けませんでしたが、大きな川の縁から海を拝むことは出来ました。
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その日の朝まで来る予定は無かった、ここ加治木。
大隅国の中心として太古から栄えたという、この街の歴史を知ることが出来たのは、思わぬ収穫でした。

アクセス – 姶良市立図書館