図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

三浦造船佐伯図書館(大分県)

1日2本しかない普通列車で、佐伯へ向かうため、朝6時に延岡駅へ。二階を仰ぐと、本棚らしきものが見えます。
まさか図書館?と調べてみると、エンクロスなる、本が自由に読める閲覧スペースと蔦屋書店、スターバックスが入った施設。
貸出はしないので図書館では無いということか、事前調査には引っかかりませんでした。
知っていたら、何とか開館中に来られるよう予定を組んだのですが。。
早朝6時なので当然開いていませんが、待合室にも本が少し置いています。
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この日は、昔から気になっていた津久見市保戸島に行こうと思っていたのですが、船も電車も本数が少なく効率的な旅程が組めない、この日は月曜日で津久見市の図書館は休み、というで今回は見送り、前日に急遽予定を変更。
佐伯で降り、大入島(おおにゅうじま)に行くことにしました。
佐伯駅のホームには、富永一朗の絵が飾られていました。
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2ヶ月前に行った、福島の磐城塙駅に彼のギャラリーがありましたが、出身地はここだったようです。

駅から徒歩10分足らずの港から、僅か150円の船賃で来られる大入島。

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大入島へ向かうフェリー

レンタサイクルを借りて、島を反時計回りに一周します。
大正天皇駐蹕記念碑の案内標識を見つけ、自転車を下り、行ってみました。
ほとんど人が来ることは無いようで、ロープを目印に荒れた道を登っていくハードなコース。

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記念碑

木が生い茂っていて視界が開けず、苦労の割には、眺めは今ひとつでした。

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ここから軍艦を眺めたとか

島の反対側では、「空の展望所」の案内標識が出ていたので、山道を登ってみます。
しばらく登っていくと分岐があり、左は天向山、との文字。
観光地図に載っていない地名が出てきました。
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しばらく右に行ってみるも、何か違う気がして引き返し、左に行くもこちらも何か違うような。。
市の観光課に電話してみるも、空の展望所は大入島ではない、とか天向山は地図に無い、とかで要領を得ず、たらい回しに。
最後に出た人が天向山と展望所は同じ、と言ったので信じて進むも、、
まるで眺望の利かない頂上に着いてお終い。。

時間も無いので、諦めて下山しました。1時間のロス。
空の展望所、果たしてどこにあったのでしょう。
観光課の人が知らないのは我慢するにしても、あの役に立たない標識は遭難者が出る前に何とかしてもらいたい。

島唯一の食堂で佐伯名物ごまだしうどんを食べ、港に駆け込んで12時半の船で街に戻りました。
駅前で再びレンタサイクルを利用し、市内観光。

街の中心は、駅から1kmほど先。
ほとんどのお店が閉まっているアーケード街。哀愁を誘います。
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一本隣の道は、一転して夜は活気のありそうな歓楽街。
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向かったのは、更に1kmほど離れた所にある、図書館。
レンガ造り調に、三角屋根の建物でした。
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企業名を冠している、珍しい図書館。
その三浦造船から、創業50周年記念に寄贈されたという、「ふるさと文庫」コーナーがありました。
「ふるさと文学館」「大乗仏典」、冨山房「漢文大系」など、渋い全集類が多数。

児童書は半独立した部屋になっています。
郷土資料も半独立のスペース。
県の偉人を紹介する「大分県先哲叢書」なるシリーズがずらりと揃っています。
一時ここに住んだという国木田独歩の本も多数。
独歩に佐伯を紹介したという政治家、著作家矢野龍渓の本も多数。
臼杵出身の小説家野上弥生子大友宗麟村山富市などの本も。

視聴覚資料は少なめで、CDはほとんどクラシック。
DVDはマイナーな映画が多いです。

二階への階段には、ステンドグラスが。
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どうやら教会をイメージした建築だったようです。
二階の大きな学習室は誰もいません。
奥には郷土資料室がありますが、鍵がかかっていました。

若手芸術家の作品展示する「美術館がやってきた」なる企画もやっていました。この時は巨大なウサギが置かれていました。

館内には、三浦造船の紹介はなく、造船の本も特別多くはありません。
地元の老舗名門企業かと思いきや、調べると1960年創業の会社。この業界では新興企業と言っても良さそう。
恵那市の図書館のように、企業家が私財を投じて建てたのかと思いましたが、今流行りのネーミングライツによって名を冠しているだけのようです。
しかし図書購入費に一千万円寄付したこともあるそうで、地元に貢献したい思いは強いのでしょう。

蔵書数は14.6万冊。
開館は1981年のようで、今年で40周年。
休館は火曜日で、月曜日に開いている有難い図書館。

図書館の次は、佐伯城跡へ。
同県内の岡城址にも匹敵する、本格的な山城で、上からの眺めは絶品。

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城から見た佐伯の街

歴史と文学の道には、独歩記念館など博物館が幾つかあるのですが、月曜日なのでことごとくお休みでした。
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海あり山あり、佐伯の魅力をたっぷり堪能した8時間でした。
ちなみに、佐伯駅待合室のテレビも、三浦造船の寄贈でした。

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