図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

深谷市立図書館(埼玉県)

年末に飛鳥山大河ドラマ館を訪れたのに続き、深谷大河ドラマ館を訪問。
自宅と同じ埼玉県内ですが、家は南の端の方で深谷は北の端。車で2時間ほどかかりました。
まずはJR深谷駅。東京駅を模した、煉瓦造り風の堂々たる建築。
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渋沢栄一も関わった、深谷の煉瓦工場製の煉瓦が東京駅に使われた、という縁とか。
階段下では、人気ゆるキャラとして、少し前までは渋沢より有名だったかもしれない、深谷市のマスコット「ふっかちゃん」が回っています。
そしてもちろん、駅前には渋沢栄一像が立っています。
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大河ドラマ館は、駅から北へ1.5kmほどの所。公民館の中に造られたようです。
渋沢から札束を渡されて小躍りするふっかちゃんの図が、何ともシュール。
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横のトイレには、一万円札に渋沢の肖像が使用されることを祝う、巨大な看板が。
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館内には衣装や小道具の他、渋沢の生家やパリ万博会場のエレベータのセット等があり、飛鳥山のそれよりは充実していました。

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生家のセット
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エレベータのセット

飛鳥山のドラマ館の入場料800円は正直高いなと思いましたが、2館のセット券で1200円なら妥当なところでしょうか。
売店には、渋沢にあやかった菓子や、名産の深谷ネギを使った食品に、ネギそのものも売っていました。

そして、駐車場のすぐ南には、市立図書館があります。
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中に入ってみると、「渋沢栄一記念財団 渋沢資料館 関連の本」がガラスケースの中に展示されていました。

更に進むと、「新しく図書館に入った本」の棚があり、その左には「English book」、右には「以前の人気本」なる棚が。
少々作家さんには失礼な気もしますが、各作家の最新刊では無いので良いのでしょうか。
置かれているのは村上春樹1Q84 」、池井戸潤下町ロケット」などで、納得と言えば納得。

カウンターの前を左に行くと、郷土資料コーナー。
棚に「深谷市に関する本」「渋沢栄一に関する本」と書かれていますが、渋沢の本が優勢で、200冊超はあります。
中でも凄いのが「澁澤栄一傳記資料」。全五十九巻に別巻が十という、膨大なボリューム。昭和30〜46年に刊行されたもののようです。
別巻の最終巻は写真集で、あまり見たことのなかった、若き日の渋沢栄一の写真も載っていました。
やはり、よく知られている老年期の顔に通じるものはあり、吉沢亮には似ても似つきません。
大河ドラマにあやかって作られたと思われる「榮一翁かるた」も、本と一緒に並んでいました。貸出も可能。

そして、メインのエリアは、見事な円形。外観からはそうは見えませんでしたが。
水戸市西部図書館を思い出しますが、あちらよりは小ぶりで、ワンフロアのみ。
中央部分はガラスで囲われた中庭のようになっており、女性の彫刻が置かれています。
その周囲には、内向き、外向きに閲覧用の椅子が並んでいます。

館内随所に「祝 渋沢栄一翁 一万円札に」のポスターが貼っています。

視聴覚資料は、CD、DVD、VHSがあります。
CDはクラシック、落語が多く、DVDはNHK番組が多め。

漫画は、絵画の本の中に少し置いていました。子供はおろか、大人でも手が届かない高い所に。
館内は絨毯敷きですが、児童書コーナーには、靴を脱いで上がるエリアもあります。
コンピュータの本もまあまあの品揃え。

少々気になったのは、本の背表紙がどれも色褪せていて、しかも青っぽく変色していること。
中庭から、曲面ガラスを通じて日光が当たり続けるのでしょうか。。?

二階は一般閲覧室。
三階には郷土資料展示室があるのですが、イベントのある時だけ開くのか、この時は閉まっていました。

蔵書数は約25万冊。
開館は1990年とのこと。水戸の図書館と同じく、やはりバブル期の建築でした。

正面からは分かりませんでしたが、横に回ると、奥が円形であることが分かりました。さながら前方後円墳
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図書館の向かいには、深谷城址公園があります。
低い石垣が残るだけで、往時を想像するのはちょっと困難。
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この後は、深谷の名所巡りに入ります。
二層楼は、県内唯一、大正期の木造校舎を残すものとか。
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深谷工業高校の敷地内なので、門の外から撮影するのみ。

日本煉瓦資料館は、あいにくまだ年末年始休み中と見え、閉館していました。
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煉瓦工場への鉄道線が通っていたという備前渠鉄橋は、国の重要文化財
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近くに大きな煙突があるので、まだ煉瓦工場があるのかと思ったら、ゴミ処理場だったようです。

そして、栄一の故郷、血洗島へ。
何ともおどろおどろしい地名ですが、その由来は諸説あってはっきりしないとか。
ドラマでは養蚕の盛んな農村でしたが、今は宅地化が進んでいます。
それでも農村の雰囲気はまだ残っています。ただし、育てているのは蚕ではなく、深谷ネギ。
ここまで来ると、深谷駅からは5、6㎞離れています。

栄一の従兄で師ともされる富岡製糸場初代場長、尾高惇忠の生家。
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中は少々荒れ気味でしたが、立派な屋敷です。
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渋沢栄一記念館。事前予約制という情報もありましたが、予約無しでも入れてもらえました。
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直筆の手紙などが展示されています。
アンドロイド渋沢栄一による講義も聞けるはずなのですが、この日は時間が遅くて終わっていました。
深谷市域の出身ということで、次の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場するという、畠山重忠の紹介もありました。これはまた、年内に深谷に来ることになりそう。
二階には図書室があり、埼玉県史、児童書、米に関する本などが置かれていました。

渋沢栄一の生家、中の家。
田舎の農家とは言え、蔵が幾つもあるかなり立派なお屋敷です。

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若き渋沢像が見守る、生家

こちらは屋内は見学できませんでした。
ここにもアンドロイド渋沢栄一があったそうですが、やはり時間が遅くて見ることはできず。

諏訪神社は、生家から徒歩数分。

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諏訪神社。背後はやはりネギ畑

栄一は、晩年には毎年の祭の際に訪れ、更には神殿を寄贈したとか。

ネギとふっかちゃんの町から渋沢栄一の町に変節した、深谷をたっぷり堪能しました。
大河ドラマ館以外は全て入場無料、というのが有難いです。

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