図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

五倫文庫(千葉県 御宿町)

御宿での朝が明けました。
バイクで、丘の上に建つ、メキシコ記念塔へ。
f:id:n344sj:20220322202227j:plain
江戸時代、フィリピンからメキシコに向け航行中の船が御宿沖で座礁、地元民が救助したことが縁。
支倉常長の訪欧も、この一件に端を発しているとか。
串本とトルコの話に似ていますが、あまり知られていないのではないでしょうか。
朝からサーファーで賑わう海岸と、町が一望できます。
f:id:n344sj:20220322202444j:plain

9時を過ぎたので、昨日行きそびれた御宿町歴史民俗資料館へ。
入口左の壁には「図書館」の文字が刻まれています。
f:id:n344sj:20220322202514j:plain
入館は無料。漁具、農具などの展示の他、昨日行った春日神社の神輿もありました。
f:id:n344sj:20220322203205j:plain

併設されているのが、五倫文庫、世界初等教育教科書文庫。
江戸時代の教科書が、ガラスケースの中に展示されています。
f:id:n344sj:20220322202539j:plain
そのタイトルは「庭訓往来」「女大学」「女今川」「百人一首」など。意外に女性教育も盛んだったようです。
向かいの本棚には、明治のものから新しいものでも昭和末期まで。こちらは手に取ることも可能。

海外のものもあります。
満州のものはほぼ中国語(満州語)ですが、旧朝鮮は日本語。朝鮮語読本もありました。旧南洋諸島も日本語。
満州の教科書が現地語なのは、一応独立国だったからでしょうか。

他にも、アメリカ、メキシコ、ブラジル、エクアドル、ドミニカ、エジプト、ジンバブエパプアニューギニアルーマニアスウェーデン等々、色んな国のものがあります。
日本のもの同様、古いものが多く、百年ほど前のものもあります。
ソビエトチェコスロバキアなど、今は無い国のものも。

フランクフルトのボウボウアタマ博物館と姉妹提携しているとのこと。
ボウボウアタマとは童話の本の主人公で、その絵本や、戦前、東西分割後のドイツの教科書などが飾られていました。
f:id:n344sj:20220322202651j:plain

五倫文庫の由来も紹介されていました。
明治の末期、暴風雨で倒壊した学校を時の校長、村長が村民から五厘ずつの日掛け貯金を集め再建、
たまたま訪れた黒田善治少将がその話を聞き、朋友の五倫に通じると感服、「五倫黌」と名付けたとか。

奥には収蔵庫の扉もあるので、展示しきれていない資料がまだあるのでしょう。
廊下には民俗、歴史等の本が並ぶ棚もありました。これは博物館の一部でしょうか。

なぜかBGMに、場違いなポップな洋楽が流れています。
隣で姉妹都市である野沢温泉村の紹介展示をしており、そこで流しているビデオの音でした。

知名度は低いと思いますが、なかなかユニークで貴重な施設。
御宿の知られざる多彩な魅力を知ることができました。

五倫文庫とは - gorinlibrary ページ!