図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

甲州市立塩山図書館(山梨県)

この日は、山梨の大菩薩嶺に登るため、車で朝6時半に出発。
ここ最近、月一度のペースで登山に出かけています。
途中、青梅から塩山へ向かう国道411号線の一部通行止めがあったりして、時間をロス。

登山口に着いたのは、10時過ぎ。駐車場は満杯で、少し離れた大菩薩湖近くの第4駐車場を案内されました。
車で10分、徒歩でも10分ほど余計に時間がかかりましたが、登山口に戻り、登山をスタート。
唐松尾根コースを通り、雷岩に到着。眼下に絶景が広がります。

標高2000m超の山上は、暑くもなく、寒くもなく、快適です。
日光白根山に続き、ここにも鹿が出現。登山客の視線を集めていました。

大菩薩嶺の山頂は2057m。一応この周辺の最高峰なのですが、眺望は利かず、あまり頂上っぽくはありません。

尾根を伝い、大菩薩峠へ。
大河小説「大菩薩峠」の作者、中里介山の文学碑が立っています。碑というより墓のように見えますが。

峠に建つ茶屋兼山荘の介山荘では、山梨名産の桃も売っていました。
ナイフも貸してくれ、自分で皮を剝いて食べることができます。
1つ300円と意外にリーズナブル。

山梨ならではの、取れたてのやや硬めの桃でした。

4時間ほどの登山を終え、
駐車場に戻る途中、案内の出ていた展望広場へ。
立派な木道を1㎞ほど歩いて着いたのですが、、大した展望ではありませんでした。

案内の写真によると、富士山と大菩薩湖が拝めるはずなのですが、
富士山が見えないのは天候の問題でしょうがないとして、湖もほとんど見えないのは一体どうしたことか。

帰りはそのまま青梅の方に戻るか、甲斐大和の方に抜けるか、塩山の街に下るか、迷う所でしたが、ガソリンも少なくなっていたので、塩山に向かうことにしました。
沿道には、桃の売店が幾つも出ています。

温泉町としても知られる塩山ですが、JR塩山駅の付近にはそんな雰囲気はありません。温泉街は少し離れた所だった模様。

目的地は、駅から西に1kmほどの所にある、市立図書館。
嘗ての塩山市は、勝沼などの周辺の町と合併し、現在は甲州市

着いたのは、文化会館と一体になった、かなり立派な施設でした。

駐車場から東を眺めると、山々が連なっています。
先ほど登った山も見えているのでしょうが、どれかは分かりません。

図書館の入口は左側。
コロナ対策の検温、消毒を経て中に入ると、同意書と称して名前や連絡も書かされました。
正面に雑誌棚。50誌ほどの内、1/5は行政の広報含むローカル誌。

中央に、郷土資料コーナーがあります。
10mはあろうかという長い棚にびっしりと本が並びます。
これはなかなかの充実ぶり、と思ったら、その裏も郷土資料。
「甲斐國志」「甲斐志料集成」「甲州文庫史料」「甲陽軍鑑」など、製本された古い史料がズラリ。「史」を「志」の字で表現するのは甲斐国の文化なのでしょうか。
安倍元首相の事件に絡み、狙撃されたことのある政治家としてニュース番組でよく取り上げられていた金丸信氏は、山梨の人。「人間金丸信」始め、氏に関する本が多数。
小林一三の本も何冊もあります。阪急電鉄宝塚歌劇団の創設者として知られる人物なので、当然関西のイメージでしたが、なんと生まれは甲州とのこと。

大菩薩峠関連資料もあります。
蔵王町でも見かけた全編全一巻の横には、全十巻のものも。
棚の上には、ウクライナコーナーが作られていました。
ウクライナチェルノブイリ、戦争についての本、絵本が置かれています。

そう言えば、甲斐と言えば、の武田信玄の本が無いなと思ったら、
武田信玄コーナーは別途、その横に設けられていました。
関連本が3、400冊はあります。やはり、山梨県民の誇り。別格です。

と思ったら、その奥にもまだ武田信玄コーナーの続きが!
甲陽軍鑑」「武田三代」などの本が。
海の無い甲斐で軍艦とは?と思ったら、「人は城…」などのフレーズで知られる武田家の軍学書だった模様。

窓の方には、漫画コーナーがあり、なかなか豊富。
棚3つ分と、文庫本と同じスペースを占めています。
図書館らしく、手塚治虫などが目立ちますが、
石ノ森章太郎「日本の歴史」、「花の慶次」、横山光輝の「織田信長」「伊達政宗」など、歴史ものも多め。
もちろん「武田信玄」も、ついでに「武田勝頼」もありました。

窓の下の棚にあるDVDは、子供向けが多め。
よく見るとVHSも混ざっていました。DVDサイズのケースに「ビデオ」と書かれたラベルが貼られています。実物は別置きのよう。「めぞん一刻」「ふしぎの海のナディア」など昔のアニメが多数。
CDは見当たりませんでした。

その奥は、じどうコーナー。三畳の畳が敷かれた空間もあります。
なお、図書館全体は絨毯敷。

奥には閲覧席を囲む、参考図書コーナー。
PC関係の本もここに。マニュアル本が中心で、あまり難しい本はありません。
その横には樋口一葉コーナー。関連本が数百冊はあります。
一葉って山梨出身だっけ?と思ってしまいましたが、そのからくりは、実は山梨市立図書館で既に学んでいました。
樋口家のルーツがここ塩山、ということで取り上げられているのですが、
東京に生まれ育って早逝した一葉本人は、恐らく一度も山梨を訪れたことは無いのではないかと。

その裏には「LGBTQ+」特集コーナーが。
歴史を重視しつつも、時流も取り入れています。

この、蔵書に妙に風格のある図書館。
その歴史を見ると、1955年に県立図書館の分館として開館、1982年に新築、1996年に市立図書館になったとのこと。
貴重な郷土資料の豊富さが頷けます。
しかし蔵書数は11万冊ほどのようで、さほど多いとは言えません。

閉館の午後5時になってしまったので、外に出ます。隣の文化会館はまだ入れるようだったので、覗いてみました。
歴史民俗資料室には、昔の教科書や、「わだつみ平和文庫」として、戦争記録、学徒兵の手記などが展示されていました。

玄関脇には、剣士のレリーフがありました。

武田信玄には見えないので、恐らく大菩薩峠の登場人物でしょう。正直、どういう話かは全然知らないのですが。

行きに通った道は、通行止めの迂回区間が結構過酷だったので、帰りは中央道か国道20号で帰るつもりだったのですが、日曜夕方は毎度お馴染みの大渋滞。
結局同じ道を引き返す方がましと判断、3時間かけて埼玉に帰りました。
それにしても日没後の国道411号は、怖いほどの交通量の少なさでした。

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