図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

国立ハンセン病資料館図書室(東京都 東村山市)

近くまで来たついでに、二年前に入れなかった、国立ハンセン病資料館にやって来ました。

当時は予約制になっていて、閉館間際にひょっこり来ても入ることが叶わなかったのですが、現在は予約無しで普通に入ることが出来ます。
玄関脇には、松本清張砂の器」をイメージしたと思われる、放浪する親子の像。

中に入ると、コロナ対策で、健康状態のアンケートを記入させられます。
しかも、記入に使った鉛筆は持ち帰らせるという徹底ぶり。

二階の展示室に入っていきます。
ハンセン病とその差別の歴史、療養者の生活や患者達が残した文学作品、権利回復に向けた戦い、全国にあった(今もある)ハンセン病療養所の紹介、と重い内容でした。
先ほどの鉛筆は、映像をスタートさせるボタンを押すのに使ってくれとのこと。徹底したコロナ対策と共に、なかなか考えられています。

展示室から入口の方に戻っていく所に、図書室があります。
大きいとは言えませんが、置かれている資料、書籍は、ハンセン病に関連するものばかりです。

全国の診療所の広報誌、入所者の文芸誌がズラリと揃っています。
関連記事の新聞スクラップも大量にあります。
資料館で紹介されていた、療養所に暮らした塔和子、村越化石、北條民雄、明石海人といった文学者の本も揃っていました。
文学については「砂の器」はもちろん、ハンセン病にまつわる話が収録されている「ブラックジャック」6巻も。
患者達の俳句、短歌、小説といった作品を集めた「ハンセン病文学全集」も揃います。

医学書や、「INTERNATIONAL JOURNAL OF LEPROSY」なるハンセン病に関する海外の雑誌も。
療養所のある県史、市町史なども置かれています。

ハンセン病に限らず、差別問題に関する本も集められており、漫画「カムイ伝」などもありました。
養護院を建てるなど、福祉にも尽力したという渋沢栄一に関する本も多数。
こどもむけの本、DVDもありました。

ハンセン病関連に特化した蔵書は独特で、かなり貴重な存在と言えます。
蔵書数は約3.6万冊との情報もありました。

高松宮記念ハンセン病資料館として、1993年に設立されたというこの施設。
庭には、高松宮が植樹したという木がありました。

資料館の横は広大な公園のように見えますが、現役の療養施設、多磨全生園です。
通常は自由に見学できるようですが、今はコロナ対策で出入りを自粛するよう看板が立てられていました。

どこからが全生園なのかはっきりしないのですが、看板から先は入るな、ということでしょう。
やはりまだ完全な正常化には至っていなかったようで、またいつの日か訪れなくてはなりません。

図書室|国立ハンセン病資料館