鳥取から県境を越え、兵庫県の浜坂駅に到着。
駅前から続く古い家並みを抜けると、
日本海の海岸まで来ました。
小川に沿って町の方に戻っていくと、その先に見えるのは、、
着きました。加藤文太郎記念図書館。
ここには昔、大雨の中を駅から歩いてやって来たのですが、休館だったという憂き目を見たことがあります。以来いつかまた来なくては、と思っていたのですが、ようやく思いを果たせました。
加藤文太郎とは、ここ浜坂の出身、新田次郎「孤高の人」で主人公に取り上げられた登山家。単独行を得意とすることで知られました。私が彼を知ったのも、もちろん「孤高の人」から。
館内に入ると、どことなく「山」の雰囲気に溢れています。
本棚の上にある分野名の板は、山の形。
郷土資料は豊富。
兵庫県に関するものは、県内市町村史、隣には鳥取県に関するものも。
裏は旧浜坂町、温泉町、新温泉町に関するもの、但馬に関するもの、と分けられています。
懐かしいカラーブックスの回転棚もありました。
周りには文庫本、ノベルズ、大型本などの本があります。
文庫はかなり少なく、7割が佐伯泰英。
奥に、山田風太郎コーナーがありました。近くの養父市生まれ。
図書館設計者の藤田皓一や、浜坂出身の作家、小山龍太郎の紹介もありました。
児童書も含め、本棚は高め。
四角い館内の各辺には、東西南北が記されています。
これまた、山上の展望台のような感じを演出。
コンピュータの本は、普通。
旅行書も普通。山の本がやや多い気がします。
CD、DVD、 ビデオのコーナーもありました。
全部で千点くらい。子供向けが多めでしょうか。
視聴席1つに、ヘッドホンが4つも付いています。隅には予備のものまで置かれています。
雑誌は50誌ほど。
二階への階段も、どことなく山に登る前の高揚感を掻き立てます。
二階は左に記念図書閲覧室、右に記念資料室。
まず右へ。
自身が撮った写真と共に、加藤文太郎の紹介。
彼の名を広く知らしめた新田次郎も、文章を寄せています。
スキー、カメラなど、加藤の愛用品も展示されていました。
続いて左の図書閲覧室へ。
山岳に関する本、雑誌が集められています。
雑誌「山と渓谷」は戦前のものから、
「アルプ」「岳人」「岩と雪」のバックナンバーも揃っています。
ガラスケースには、貴重な本が。二人の人からの寄贈のようです。
開架の書棚にも、古い本が多数。
「山岳講座」6巻は1954年刊。
背表紙が判読不能の本は「山日」「アメリカの山旅」。昭和21年。
「信濃の旅」は昭和16年。これらの本も貸出可能
加藤の著作「単独行」はもちろん、山岳について多くの文章を残した深田久彌、小島鳥水、大島亮吉の全集も。
「孤高の人」は漫画版もありました。
図書の充実には、ふるさと納税の収入も使われているそうです。
入口には、なぜか相撲特集がありました。
4月2日に大相撲浜坂場所が開かれるので、そのためのようです。
開館は1994年。一般の方から寄贈された山岳関係の図書が、この町立図書館の始まりとか。
蔵書数は約9.8万冊。
博物館も兼ね、加藤文太郎の世界にどっぷり浸れる、期待に違わぬユニークな図書館でした。
趣きある小川に沿って、浜坂駅の方に戻ります。
先ほどの岩美駅と同じく、待合室には、ここにも本が置いていました。
少し早めにホームに入ると、そこに現れたのは何と、瑞風!超豪華列車です。
こんな所で間近に遭遇するとは、思いがけない幸運でした。
短い時間でしたが、大満足の浜坂観光でした。