好天に恵まれた晩秋の日曜日、栃木県までドライブ。
佐野PAで東北道を下り、山を越えて葛生の町に入って来ました。
関東平野の最果て、といった趣き。
東武鉄道佐野線の終着駅があります。
なぜ片田舎の小さな町に鉄道が来ているのか不思議ですが、嘗ては石灰などの貨物輸送で栄えたようです。
この町の図書館に行ってみます。
周囲には色々な文化施設が集まっています。
まずは、葛生伝承館。入館は無料。
側壁にはフレスコ画。石灰の町ならではの、名物となっているようです。
館内では、土鈴を展示していました。
よほど撮って欲しいのか、館内随所に撮影OKの文字が。
裏に回ると、銀杏をバックに、鉱山鉄道も展示されています。
続いて、葛生化石館。
中に剥製の展示室があったので、まずはそちらを覗いてみます。
鹿、猿、熊、狐、と日本を代表する鳥獣たちが。
規模は小さいものの、上野の国立科学博物館を思い出させます。
化石館の方は、当地に限らず、世界中で出土した色んな化石が展示されています。レプリカも多いですが。
ナウマン象などの骨格模型も。
多種多様な展示を存分に堪能しましたが、ここまで全て無料。
特に化石館は、とは思えない充実ぶりでした。
そして、ようやく図書館へ。
化石館に連なるように建っています。左手にはさざれ石が。
もちろん、ここも無料。
佐野市のマスコット、「さのまる」がお出迎え。
行政センター併設で、栃木県産材を使用、とアピールしています。
図書館内に入ると、中央にクリスマスツリーが鎮座。
もうそんな季節か、と思いそうになりましたが、少々気が早いような。
特にこの日は暖かかったので、違和感もひとしお。
左に新着コーナーがあり、その向かいには雑誌コーナー。40誌ほどと少なめです。
続いて、えほんコーナー。
カウンター横にCDがありますが、百枚ほどとこれもかなり少なめ。
その先に、DVD、VHSがありました。こちらは映画など、そこそこの数。
片側が大きな全面ガラスで、まるで館内全体がテラスのよう。
陽当り良好なのは良いのですが、本の日焼けも進んでいます。
まだ出来たてのようでピカピカの施設ですが、壁際には古びた文学全集が並んでいます。
とりわけ古く見えた三島由紀夫全集は、50年前の刊行。
郷土資料はなかなか充実しています。
足尾鉱毒事件で名高い、田中正造の本が多数。彼の演説集、自叙傅書簡集などを集めた「義人全集」はなんと、大正14年の刊行。
石灰、セメントなどの本も何冊かあります。
その後も棚を見て回っていると、「日本の民話」「古寺巡礼」「日本史探訪」「人物叢書」など、半世紀前刊行のシリーズ本が、普通に棚に混ざっています。
情報科学の本は、高度なものはありませんが、数はそこそこ。
児童書コーナーには、宮沢賢治没後90年の特集コーナーがありました、一一般の本棚に紛れて、化石の特集コーナーも
続編が出たことで話題の、「窓ぎわのトットちゃん」コーナーも。黒柳徹子の本が9冊ほど置かれていました。
2016年に移転オープンしたというこの図書館、最初の開館はなんと、大正13年とか。かなりの歴史です。
蔵書数は約7万冊。
地元の名家吉澤家が建造、市に寄贈したという美術館も近くにあり、気になりましたが、ここは流石に無料とはいかず。
車を出して北へ。山の中へ入っていきます。
採石場のハゲ山が見えたかと思うと、石灰の採掘会社が軒を連ねる、不思議な空間に入りました。まさに石灰街道。
美術館と同じ、吉澤の名を冠した会社もありました。やはり石灰で財を成したのでしょうか。
路上含め、目に入るもの全てがうっすらと白く染まっています。
ちょっとした異世界体験でした。