図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

芦屋市立図書館(兵庫県)

ゴールデンウィークが始まり、帰省を兼ねて車で関西へ。
最初の目的地は神戸。
真夜中に埼玉の家を出て、新東名、新名神を走り、名神の終点、西宮で高速道路を下りました。
ここからは国道43号線で西へ向かいます。

どこか図書館に寄ろうと思いますが、西宮市の中央図書館は駐車場が無いようなので、隣の芦屋市へ。
実は芦屋は、ほんの数年ですが、子供時代に住んだことのある思い出の街です。
当時は無かったであろう図書館は、国道43号線から南へ500mほど。

国道43号線からの道

関西随一の高級住宅街、芦屋らしい立派な邸宅の並ぶ、石畳の道を進むと、右に図書館の駐車場。が見えたのですが、一方通行のため右折できず。ぐるっと回って西側からアプローチ、再挑戦を図るも、駐車場の入口が見当たらず。
南側に回り直して、ようやく入れました。

図書館、美術館、谷崎潤一郎記念館が並び建つ文化エリアです。
利用者は一時間無料の駐車場に車を停めました。

すぐ南に広がるのは、芦屋浜シーサイドタウン。

出来た当時は、日本一の高層マンション群として話題だったと記憶しています。
今も健在のようで何より。
海に突き出す埋立地だったはずが、今はその更に先にも埋立地が広がっているようですが。

いざ、図書館へ。
美術館のようなお洒落な外観です。

向かいにある緑に覆われた謎のトンネルは、自転車置き場でした。

中も美術館のようなお洒落な造形。

ロビー

館内は、とてもゆったりとした空間が広がっていました。
T字型で、左は児童書、右は一般書。
床、棚とも木で、新築の香りがします。
高い天井からは、剣のような電灯が吊り下がっています。
棚の上にも電灯が載っており、とても明るめ。
高い天井には、むき出しの大きなファンがゆっくりと回っており、南国のリゾートホテルのよう。

蔵書の方は、あまり特色は見当たりません。
高級住宅街だからと言って、高そうな本が多いわけでは勿論ありません。
私がよくチェックする、コンピュータ関係、旅行書とも、まあ普通。
隣に谷崎記念館があるくらいなので、谷崎コーナーがあるかと探しますが、見当たりません。と言うか、著作自体があまり見当たらず。
文庫本は結構多いのですが、谷崎の本は「細雪」上巻があるのみでした。

洋書もありました。
Penguin社の水色のペーパーバックが多数あるのが、ちょっと特徴的。

T字の縦棒の辺りが、参考調査室。
見当たらない、と思っていた郷土資料はここにありました。
阪神淡路大震災に関する本がかなり豊富。
百科事典のような「震災調査報告」が20巻ほど、電話帳のような「震災復興誌」が10巻。
他にも関連書籍が多数。
この地に残した傷跡の深さを、改めて思い知らされます。
それ以外の資料は、近隣の市史、県史などがあるのが目立つくらいで、少なめ。
そんな中、1981年開催の神戸ポートアイランド博覧会の公式記録、写真集がありました。
小学生の時に行ったことが懐かしく思い出されます。

芦屋市に関する資料はここではなく、少し離れた棚にありました。
行政資料は豊富ですが、本はあまりありません。

芦屋市立図書館の歴史は、戦後間もない1949年に始まり、現在の施設の開館は、1987年。
35年も経っているとは到底信じられない綺麗さ、と思ったらやはり、3年前にリニューアルされているようでした。
蔵書数は30万冊ほどはあるはずですが、そんなに多いようには見えませんでした。大きな書庫があるのでしょうか。

外には、庭もありました。本当に美術館のよう。

この時は雨上がりで、座れる状態ではなかったですが。

庭を眺めながら西側に抜け、お隣の谷崎潤一郎記念館へ。

「谷崎とおんな 谷崎のおんな」という企画展をやっていて、入館料は500円。少々高いかなと思いつつも、せっかくなので入館。
谷崎が色んな女に送った手紙、ラブレターが展示されていました。
よく集めたものだと、そのことに関心します。
美しい庭園もあります。その向こうには、図書館が。

しかし、阪神間で十数回転居したという谷崎が、芦屋に住んだのはほんの数年のようで、細雪のモデルになった家も隣の神戸市でした。
ちなみに、谷崎が東京から関西に移り住んだのは、関東大震災がきっかけとか。しかしこの地でも、細雪に描かれた大水害に遭い、没後30年の年には件の大震災。
古今東西を問わず、日本で災害の脅威から逃れることの難しさを改めて思い知らされます。

そのまた隣の美術博物館では、
何でも鑑定団のおもちゃ担当でお馴染みの、北原照久コレクション展をやっており、気になったものの先を急ぐので断念。

再び車を西に走らせると、ほどなく芦屋川に行き当たります。

もっと上流まで行って、阪神間モダニズムの空気を味わいたいところですが、時間の都合でこれも断念。
その上を阪神高速が走る国道43号線に戻り、神戸へ。
高速道路の支柱が倒壊した、目を疑いたくなる震災時の映像は、今も鮮明に思い出されます。

各館案内 | 芦屋市立図書館