図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

日野市立中央図書館(東京都)

日野の街で見ておきたい所として、残るは土方歳三記念館と中央図書館。
いずれも午後5時までですが、時刻は既に3時半。
どちらも少々遠いので、バイクを停めた市役所に一旦戻り、バイクを出します。
両方は回れないかもしれないので、どちらを優先するか迷いましたが、
土方歳三記念館は今秋閉鎖されてしまうという話なので、そちらに行くことにしました。
想像以上に遠く、本陣のある辺りとは別の街です。
普通の住宅地の中の、普通の住宅でした。しかし、入場待ちの人で大行列。。

聞くと、2時半にはもう入場を締め切ったとのこと。今並んでいる人は、1時間半も並んでいるということ。。
この日の入場は諦めざるを得ず。またいつか来なくては。。開館日も限られているので、この様子だと、閉館までに入れる日が来るか分かりませんが。

せっかくここまで来たので、近くの石田寺に行ってみました。

歳三の墓にお参り。

その後は、訪問を諦めかけていた中央図書館へ向かいました。

日野は、図書館好きにとって、或いは図書館関係者にとって聖地とも言うべき街。私が前々から日野に来たかった最大の理由は、新選組ではなくこれでした。
滋賀県立図書館に行った後、近所の図書館で見つけた本で、図書館界のカリスマとも言うべき前川恒雄なる人物を知り、更に彼の著作「移動図書館ひまわり号」を読んで、図書館業界で日野市が果たした功績の大きさを知りました。
簡単に言えば、館長として迎えられた前川によって、資料を置いているだけのつまらない所から、人の集まる面白い所への転換が図られた、ということでしょうか。
映画やアニメにもなった小説「図書館戦争」でも、「日野の悪夢」なる歴史的事件の舞台として描かれています。
作者も、日本の図書館史に於ける日野の重要性を知っていたのでしょう。

場所は、日野駅の隣の豊田駅の近く。石田寺からは4㎞ほども離れています。
案内看板もなく、大きな施設など無さそうな住宅街の中を進んで行きます。
道を間違えたかと不安になった頃、唐突に出現しました。煉瓦造り風の、貫禄ある建物。
この日は土曜日。閉館の5時まで、残り30分ほど(平日は7時まで)。急いで入ります。

木製の本棚は、下部が斜めの三角フラスコ型。
やはり木製のタイルの床は、かなりくたびれています。
窓側半分は二階まで吹き抜けになっており、大きな窓には、バードセーバーと称する鳥の絵が貼られています。
鳥がガラスに気付かずぶつかるのを防ぐもののようです。
ガラスの向こうは緑の庭。気持ちよく読書ができます。

壁際の本棚は、天井まで届く高さ。
上部には、手に取る人の少なそうな、古い文学全集が置かれています。

コンピュータの本は、総記ではなく電気工学の所にありました。
WordやExcelの本は、簿記のコーナーにもありました。

二階のレファレンス室は、圧巻の広さ。
辞書、辞典類が大量にあります。
満州、朝鮮の巨大な地図帳も置いています。
教科書も置いており、明治時代の尋常小学校、高等小学校のものもありました。五倫文庫と違い、複製のようですが。

市政資料、郷土資料はカウンターの裏の部屋でした。バックヤードのようですが、自由に出入り可。
図書館界」「図書館雑誌」「専門図書館」「現代の図書館」「学校図書館」「みんなの図書館」「ず・ぼん」など、図書館に関する見慣れぬ雑誌が多数。
さすが、図書館の聖地、日野!

カウンターには「日野と新選組」の小コーナーが設けられていました。
「全隊士徹底ガイド」なる本も。

開館は1973年。中は少々くたびれていましたが、威厳ある外観は古さを感じさせません。
出来た当時は、さぞかしモダンな存在だったことでしょう。
蔵書数は32.9万冊と、その歴史に恥じぬ立派な数字。

庭に出る扉が開いていたので、出てみました。

庭から

庭の片隅には、社があります。

庭の向こうは崖になっていて、町が見下ろせます。

階段を下りると、「八幡宮」と書かれた鳥居がありました。
気付けば5時を過ぎて、図書館は閉まってしまいましたが、神社へのお参りは時間に関係なく出来るようです。

鳥居の脇には、東京の名湧水57選にも選ばれたという、湧水が。
その名もズバリ「中央図書館下湧水」。

名水でありながら、「飲料としての使用はお止めください」とのこと。。
水質の保証が無いだけで、決して害があるわけでは無いと思いますが。

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