図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

福井県立図書館(福井県 福井市)

県都福井市に滞在しているので、県立図書館に行ってみます。
福井駅から南東に3kmほど、足羽川の近く。
カーナビを頼りに車を走らせると、田園地帯の中に巨大な施設が見えて来ました。
道路から入口までの道は、早くも秋の気配を仄かに漂わせる紅葉の並木。

こちらが玄関。

玄関を入ると、右手にはレストラン、左手には文書館、奥に県立図書館があります。
レストランの前は人工池。文書館と図書館の間には、ベンチの置かれた庭があります。

図書館というより、美術館のような雰囲気。

奥に進み、図書館に入ると早速、正面に大きな郷土資料コーナー。
福井に関するあらゆる分野の本、資料が揃っています。
「ふくい往来」なるローカル文庫も。
「郷土の人物」コーナーには、松平春嶽橋本左内朝倉義景新田義貞お市の方など、歴史上の人物がズラリ。
岡倉天心佐々木小次郎が福井の出身とは、知りませんでした。(小次郎の出生ははっきりしないようですが)

漫画「ちはやふる」も揃っています。
ぱらぱらっと見たところ、舞台は東京のようなので、何の関係かと思えば、
福井は競技かるたが盛んで、主要キャラが福井県あわら市に住む設定とか。

奥には明治、大正の福井の市街地図も置かれていました。

更に中へ。
こども室は、ガラス張りの空間になっています。
更にその中にある、おはなしのへやは防音壁になっていました。

雑誌コーナーもさすが県立、色々揃っています。
経験上、県立図書館には一般的でないお堅めの雑誌が多いのですが、ここは比較的普通の雑誌が多め。
「マレーシア」「人民中国」など、外国の雑誌もあります。

雑誌コーナーの向こうは、ふるさと文学館になっています。
水上勉高見順津村節子、多田裕計に、近世以前なら近松門左衛門杉田玄白、最近なら俵万智など、福井に縁のある作家が多数紹介されています。
津村氏の名前を見て、東京荒川区吉村昭記念文学館と姉妹協定を結んでいたのがここであることを思い出しました。

企画展として、「魔女の宅急便」で知られる児童文学者、角野栄子展をやっていました。
館内でここだけは撮影可。

宮崎駿の映画以外はほとんど知りませんでしたが、何十年も書き続けられ、最後にはキキとトンボくんとの間には双子の子供もできていたとか。
なかなか見応えのある展示でした。

展示室から出ると、長い廊下には福井の文学雑誌、ゆかりの作家の本の棚が。

館内はU字型になっていて、その中心には中庭があります。
出てみると、少々雑な作りの木彫りの彫刻が鎮座。テーブルもあり、野外読書も可能。

中庭の前にも、福井ゆかりの作家のコーナーがありました。
こちらは新しめ、対象読者も若めで、宮下奈都、舞城王太郎など。

中庭の左側が、メインの開架エリア。
天井は高く、優に二階分はあります。
その高い天井には、丸い円錐状の天窓が多数。

県立だけに、どの分野も蔵書が充実。
文庫、新書もそれぞれ1万冊はありそう。
コンピュータの本も量、質とも見事。背表紙の色褪せが目立ちますが。

特に陽当たりの強そうな一番奥の窓際の棚には、本ではなく県内の文化や名所を紹介した写真パネルが並べられていました。その数、百枚!
福井県内も結構行ったつもりでしたが、知らない所もたくさんありました。

洋書も充実しています。
英語はもちろん、朝鮮語、中国語の本も豊富。
説明が無いので由来は分かりませんが、浙江文庫なる中国語資料のコーナーも。
他にはフランス語、ドイツ語、ロシア語、ポルトガル語の本は少々ありますが、その他の言語はほとんど無し。

カウンターの横には、全国の専門図書館ラミネート加工されたパンフレットが多数置かれていました。
首都圏のものが多く、他も大体は三大都市圏のどこか。行ってみたい所も多々ありますが、この手の図書館は土日休みが多いのが難点。

蔵書数は堂々の105万冊。
開架棚にまだまだ余裕があるように見えたこともあり、まだ新しいのかと思いましたが、現在の施設は2003年開館とのこと。19年も経っています。

県立文書館は、資料請求して見せてもらう仕組みで、利用するには利用者登録が必要なようですが、
カウンターのある部屋では、「地味にすごい!?明治時代の学びと学校」なる企画展をしていました。
明治時代の教科書や時間割、卒業証書などが展示されていました。

その隣には、「白川文字学の部屋」なる部屋もありました。
福井出身、漢字の研究で知られる白川静氏の足跡、業績を紹介しています。
白川氏の書斎の再現コーナーの傍らには、
白川氏に大いに影響を受けたという、中国史小説を得意とする作家、宮城谷昌光氏の蔵書も置かれていました。
ここまで勉強しないと歴史小説は書けないのか、と感心。

レストラン側からも外に出られました。
小高くなった所から眺めると、緑の芝生、人工池、建物のコントラストが綺麗。

反対側を見渡すと、周囲には田圃が広がっています。

車が無いと少々来づらい場所ですが、福井駅から無料送迎バスも出ているとのこと。
そう言えば少し前には、覚え違いタイトル集の出版でも話題になっていました。好立地とは言い難い県立図書館でありながら、利用者との距離の近さを感じます。
この日も多くの利用者で賑わっていました。

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