図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

桜井市立図書館(奈良県)

奈良から埼玉へ、一日かけて車で帰ります。

せっかく紅葉シーズンに来たので、恐らく奈良一の紅葉の名所、多武峰談山神社に寄っていくことにします。
この日は月曜日。図書館巡りには鬼門の日ですが、奈良県には開いている所もそこそこあるようで、多武峰のある桜井市もその一つ。
奈良盆地の東の端の桜井市、図書館は街の南外れ、まさに談山神社に向かう途中にありました。

駐車場側

ワンフロアですが、かなり広め。
入口を入ると、左手は児童書、右奥が一般書。
天井に鉄骨の張り巡らされた、体育館のような三角屋根で、本棚は木の香漂う新築感。
奥に「生涯好學之喜」なる大きな額が掲げられています。
月曜日の朝という時間ながら、人もそこそこ多くいます。

3列に並ぶ本棚の側面には、お勧めの本が紹介文と共に置かれていました。
中央の列は文芸書。文庫、ノベルズ、全集、大活字本が全部ごちゃ混ぜに置かれています。
アイヌ文学までありました。

洋書もあります。
その近くには「Book Cafe 赤い表紙集めました」なる特集コーナーが。
見事に赤い本が集められています。最近の本だと「元彼の遺言状」など。

郷土資料はかなりの充実ぶり。
奈良県の歴史に関する本、奈良県の芸術に関する本、桜井の歴史に関する本、桜井の宗教に関する本、など細かく分かれています。
奥には、保田與重郎コレクションなる棚があります。桜井生まれの文芸評論家とのこと。
続いて、樋口清之コレクション。こちらも桜井出身の文学、考古学者。「梅干と日本刀」が大ベストセラーとか。
それぞれの専門の本、参考図書のような古い全集もの、が置かれています。
中央には、辻本キミエ文庫なる棚が。この人は誰なのか分かりません。巨大な画集、児童書などの入ったガラスケースは、鍵がかかっています。
小部屋のように仕切られたスペースもあり、保田の写真、自筆の掛け軸がガラスケースの中に展示されています。

ビデオ、DVDのコーナーもありました。
DVDは段ボールで作ったケースのみを陳列しており、奈良県に関する文化資料が中心。
ビデオは古い映画が中心。

ガイドブックのコーナーには、東洋文庫も混ざっています。下手すると明治時代の本も含んでいるこのシリーズをガイドブックに分類するとは、かなり独創的。

CDはカウンター前にありました。数百枚とやや寂しめ。
隣は、人権に関する本。関西らしさを感じます。

コンピュータの本は専門的なものは少なく、これもやや寂しめ。
雑誌は150誌ほど。「ならら」「やまとびと」「月刊奈良」などのローカル誌も揃っています。

神社側

蔵書数は約19万冊。現在の施設は1999年の開館。
談山神社の他にも、日本最古とも言われる大神神社、安倍文珠院、長谷寺など、多くの歴史的建造物を抱える桜井市。その誇るべき歴史に相応しい、実に骨太な図書館でした。

図書館のすぐ横には、小さな神社があります。等彌神社。

小さな、と思ったのは浅はかだったようで、中に進んでみると、思いの外立派。ここもまた桜井市が誇る歴史的資産の一つでした。
数日前まで紅葉のライトアップもしていたようです。

ここで満足してしまいそうになりましたが、初志貫徹で車を出し、談山神社へ。

京都のオーバーツーリズムが連日ニュースになっていますが、紅葉のピークをやや過ぎたためか、平日だからか、所詮奈良だからか、大した混雑はなくゆっくり観ることができました。

もちろん、京都の紅葉名所にも全く引けを取りません。

桜井市立図書館へようこそ!