図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

周南市立徳山駅前図書館(山口県)

年末年始は帰省も兼ねて、青春18きっぷでおよそ1週間の西日本旅行
ざっくり言うと、東海→関西→北陸→山陰→山陽と回りました。

最近は、駅の近くの便利な所に立地することも多く、
乗換の僅かな時間を利用して立ち寄りたい図書館も結構あったのですが、時期が時期だけにどこもお休み。
少なくとも12月29日〜1月3日までは、大抵の図書館は休みです。

結局、長い旅の間に寄れたのは、1館だけでした。
それがこちら。

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入口

「駅前」としか書いていませんが、その駅とはJR西日本山陽新幹線も停まる徳山駅です。
正式名称はおそらく「徳山駅前図書館」だと思います。

何がきっかけかは忘れましたが、以前から存在を知っており、是非訪れてみたいところでした。
更に、これまた駅至近の港から行ける、回天記念館にも行ってみたかったので、山口県は徳山に一泊することに。

事前のリサーチによると、なんとここは年中無休!
デパート、スーパー、ファミレスから、ついにはコンビニにすら元旦休業が導入されつつある昨今、
図書館が正月に開いている必要があるのか?という疑問は当然持たれそうで、
実際来るまでは本当に空いているのか、半信半疑でした。

駅北口から外に出ようとすると、早速左手に図書館の入口を発見。
1月4日の夜9時という、普通の図書館好きは活動外の時間でしたが、ちゃんと開いていました。
駅前図書館という名前ですが、駅前というより駅の一部と化しており、道に迷う余地はありません。
外から見ると、「徳山駅」より「駅前図書館」の表示の方が目立っており、逆に駅がどこにあるのか迷う人がいるかも。。

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潰れていて読めませんが、3階上部の白い文字が図書館のネオン

蔦屋書店、スターバックス、図書館がほぼ一体化した館内。
だからこそ可能な年中無休、と納得いきました。
この形態だと、図書館だけ閉める、というのが逆に難しいのでしょう。
(しかし、開店時間は蔦屋とスタバが朝8時なのに対し、図書館は9時半でした。
この時間帯にはどういう様子なのか気になりましたが、旅程の都合で確認できず)

この形態は、佐賀県武雄市から始まり、全国に広まりつつあります。

蔦屋エリアと図書館エリアは一応分かれてますが、明確ではなく、一部入り混じっている所もあります。
蔦屋の棚の本が新しいのは、新刊書なので当たり前ですが、図書館の棚の本も、比較的新しめの本ばかりです。
ジャンルの分類はかなり細かく、万遍なく豊富な品揃え。
背表紙の分類ラベルがなければ、どっちの棚なのか区別がつかないかもしれません。

遅い時間のせいか、スタバのおかげか、利用者はこじゃれた若者が多いです。
そこかしこにソファーがあり、優雅にコーヒーを飲みながら読書できます。

館内の綺麗さ、本の豊富さ、営業時間の長さ、立地の良さ、
どれを取ってもかなりの高レベル!
そして駅前広場とそこから伸びる御幸通は、クリスマスでもないのに見事なイルミネーション。
館内からも、一歩出たテラスからも、堪能できます。
ああ、家の近くにあったなら入り浸ってしまいそう。

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二階テラスから見たイルミネーション

しかし歩き回っている内に、なんとなく違和感を覚え始めました。
図書館として何かが足りない、、そういえば、、小説類はどこに。。?
館内案内図には文学・文芸書コーナーがあるので、それを頼りに行ってみると、置いてあるのは文庫本のみ。
他のコーナーの充実ぶりに比べると、冊数も寂しめです。
司書というより蔦屋店員風のスタッフの方に聞くと、文芸書は中央図書館の方に置いているので、ここは文庫本のみの扱いとのこと。
文庫本を置いていない図書館は見たことがありますが、逆のパターンは初めてです。

更に、、新聞、雑誌コーナーも無い?
新聞はまさに喫茶店の如く、当日のものはバインダーをつけて架けてありました。
雑誌についても、もちろん蔦屋の商品としては扱っていますが、過去のものを閲覧できるコーナーは見当たりません。

今時ならどこでも置いている、蔵書検索用の端末も見当たりませんでした。

もしかして、民間企業経営ならではの商売上の都合?と勘繰りたくもなりますが。。
どうやらここは、
普通の図書館とは客層もコンセプトも一線を画す存在、と考えた方が良さそうです。
規模は大きいものの、中央図書館の補完的役割を担うに過ぎないのでしょうか。
小説の単行本、新聞雑誌が無いのは、私にとってはかなり痛い。
それを差し引いても魅力的なのは間違いないですが。。

中央図書館の方も見ずにはおれない気分にはなりましたが、やはり旅程の都合で叶いませんでした。
歴史も新幹線の駅もあり、多くの巨大工場を抱える重要都市でありながら、平成の大合併であっさり徳山市の名を捨て、
周南市となったこの街。
旅行先というイメージは元々なく、合併で一段と知名度を落とした感もありますが、近年は工場夜景ブームにのっかるなど、
観光地としても売り出そうとしているようです。
この駅前図書館も、その一役を担う存在になりえるでしょう。
またいつかこの街に来よう。。

翌日は船に乗って、対岸の大津島にある回天記念館にも行きました。

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徳山の街と連絡船

回天をご存じない方は、私の敬愛する作家、横山秀夫先生の「出口のない海」を一読されることをお勧めします。

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大津島の回天記念館
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魚雷発射場跡

周南市立徳山駅前図書館