図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

市立小諸図書館(長野県 小諸市)

群馬県嬬恋村から、予想外の数㎞のダート路を抜けて高峰高原、
眼下に絶景の広がるチェリーパークラインを通って、信州の小諸へ下ってきました。

ここも、とりあえず設定した目的地は図書館。
しかし、カーナビが示すのとは違う方向を指す、図書館への案内標識が見えました。
カーナビの地図データを数年更新していないので、どうやらその間に移転した模様です。

もちろん標識の方を信じて進むと、真新しい市役所、医療センターと共に建つ、これまたピカピカの図書館がありました。

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中央が図書館、右が市役所、左には医療センター

駐車場は地下にあります。(裏側の道から来ると、地上ですが)
ちなみに駐車場は2時間まで無料、以降1時間ごとにプラス100円。6時間以内なら懐古園の駐車場より安いです。

図書館の中に入ってみると、広くて綺麗。窓も広く、明るいです。
軽く覗いた後、また来ることにして、昼食とお城散策のために一度外に出ました。

小諸の街は、浅間山系から千曲川に向けて、緩やかな坂になっていますが、お城が一番低い位置にあるという、珍しい構造です。
同じ駐車場が地下だったり地上だったりするのも、そのため。
お盆で長期休みの店が多い駅前商店街で、何とか開いている店を見つけて食事。
JRとしなの鉄道共同使用駅小諸駅を陸橋で越えると、目の前がお城です。

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重要文化財の、三之門

前日訪れた箕輪城に続いて、ここ小諸城も日本百名城の一つ。
先日借りた本によると、「堀」部門と「城門」部門で全国5位!という高評価でした。
しっかりとした石垣や、重文指定の門が残っており、箕輪城よりも一般観光客の受けは間違いなく良いでしょう。

500円の共通券を買うと、お城以外にも、
私学校であった小諸義塾跡、小博物館である懐古園島崎藤村記念館、小山敬三美術館、更には市立動物園にも入れるというお得さ。

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小諸城の石垣と堀

炎天下でくたくたになりながらも、一通り見て回って、再び図書館に戻ってきました。
あたらめてじっくりリサーチ。

入ってすぐの所には、近くの縄文遺跡から出た、人骨が展示されていました。
いきなりシュールです。

また、入口の正面には、場違いにバイクが飾られています。
鈴鹿8耐に出た、チーム長野の車両とのことでした。

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図書館内にバイクとは珍しい。。

人骨の奥は、郷土資料。
島崎藤村の本は、数百冊は並んでいます。
出身は木曽の方ですが、件の小諸義塾で教師を務め、名作「破戒」などを記しました。
地元の画家、小山敬三の方はというと、数冊と寂しめでした。
小山田いく、なる漫画家さんも当地の出身とのことで、作品が揃っていました。
ちなみに、それ以外の漫画はあまり置いていません。

本棚の底板はスチールですが、側板は綺麗な一枚板の木製。
棚には、番号が付けられていますが、ジャンルごとに七色に色分けされています。
そして、本の分類法が独特。
旅行の本なら、「長野の旅」「テーマパーク」「いつか行きたい」「一味違った旅」。
登山の本なら、「山は誘う」「野口健」「トレイルランニング」「命を守る」などなど。

一応、図書分類法に基づく数字も付いていますが、その通りに並んでいるわけではなさそう。
また、単行本と文庫本、語学書と辞書などは一緒になっています。

文芸書も作者別に仕切り板が挿入されていますが、無名の(と言っては失礼ですが)マニアックな作家まで用意されています。

窓側の天井は簀の子状になっており、涼しげな演出です。

入口近くの柱に、2018図書館建築賞、とのプレートが貼られているのを見つけました。
この造形美は只者では無いなと思って見ていましたが、やはり只者ではありませんでした。
というか、こんな賞があること自体初耳でしたが。
ネット上に2007年以降の受賞館一覧を見つけましたが、ここ含めて訪ねたことのある図書館が4つも。(当ブログには書いていませんが)
自分の嗅覚もなかなかのものだな、と秘かに自賛。

視聴覚資料も少ないながら置いていますが、かなりお堅めの品揃えでした。
DVDはNHKの番組のものばかり。地元を舞台にした大河ドラマ真田丸」は勿論ありました。
CDもクラシック、落語など中心で、ポピュラー系はほとんどありません。
なぜか、さだまさしトーク集だけは揃っています。

左奥の方には、「しずかなへや」なる部屋が。
普通、図書館は静かなものですが。。
ここの館内には仄かにBGMが流れておりますが、この部屋内では聞こえないようになっています。
中は普通の学習室ですが、大型美術書もここに置かれていました。

その傍には、「ひだまりテラス」へのドアが。
外に出てみましたが、今年一番の猛暑の日の、西陽を浴びまくる時間帯とあっては、勿論誰もいませんでした。

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ひだまりテラスから、街を一望

wikipediaによると、蔵書数は約15万冊。
2015年、ということは移転前の情報なので、現在はこれよりかなり増えていそうな印象です。

事前に調査したのは、閉館日ではない、ということくらいで、予備知識無しでの訪問だったのですが、
来てみると、予想外に力の入った、訪ね甲斐のある図書館でした。
ここを目的地に定めた、自分の引きの良さに感謝です。

大抵の所は行き尽くしたつもりだった群馬、長野東部でしたが、今回は多くの未踏の地を訪れることになり、
充実した旅でした。まだまだ日本は広いです。

施設案内(市立小諸図書館)/小諸市オフィシャルサイト