図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

福島市立図書館本館(福島県)

宿願だった蔵王のお釜を見ることができ、後は埼玉の自宅までバイクで一目散、、、
ではなく、最後にもう一ヶ所寄り道。
福島市立図書館が珍しく月曜日に開館しているようなので、行くことにしました。

今から30年近く前の学生時代、福島市に住んでいる親戚を訪ねた時、図書館に連れて行ってもらったことがあります。
その図書館が県立だったのか市立だったのか、はたまた大学図書館だったのかは記憶が定かでありません。
今回、それを確かめるという意味も込めています。

国道4号線から西に200mほど入った、住宅や各種施設の建て込む中、
福島駅からも1㎞ほどの距離の所にありました。

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果たして30年前の記憶が蘇るのか?という心配もありましたが、
見るからに古い地味な建物を一目見て、ここは違うなというのはすぐ分かりました。

入口には、震度6以上で倒壊する恐れがあると診断されました、対策は検討中、との貼紙が。
入る前から不安を煽らされたのは初めてです。

中に入ってみても、やはり随所に古さを感じさせます。
前日行った白石市の図書館もかなりのものでしたが、こちらはそれ以上。

しかし、県庁所在地の中央図書館だけあって、蔵書はなかなかの充実ぶり。
日も暮れた夕方6時でありながら、お客さんの数もそれなりに多いです。

一階は児童書のようですが、
入ってすぐの所は、雑誌コーナー。
棚の上の壁に、「婦人雑誌」「趣味」「週刊誌」「タウン誌」とジャンル分けが表示されています。
半分は婦人誌。
男性向けは無いの?と不思議に思いつつ、これまた古さを隠せない階段で二階に上がると、
二階にも雑誌コーナーがありました。
こちらは「スポーツ」「科学・技術」「文芸誌」「芸術」「社会・経済」とのジャンル表示。

視聴覚資料も置いていますが、まず目に入ったのはカセット。
とことんレトロです。

CDも置いていますが、カセット含めて何と、音楽は無し。
ほとんどが朗読物で、一部に落語CDがあるくらいでした。

原発事故関連図書コーナーの棚があるのは、福島ならでは。
その数なんと、500冊以上。
いずれも東日本大震災の後の刊行と思われますが、それでこれだけ出ているのは驚きです。

基本的には殺風景な館内ですが、一部の棚は斜めに配置して、アクセントを付けていました。
また、背表紙のラベルには分類番号等の他、大分類を表していると思われる大きな数字、アルファベットが
1文字書かれています。
これによって仕訳を容易にしているのでしょうか。

三階は、参考図書、郷土資料。
郷土資料の充実ぶりは圧巻。本だけでなく、各種団体の発行した冊子や、新聞スクラップも置いています。
原発事故に関する資料は、ここにも置いていました。

会議室では、「規格外資料展 扱いにくいけど借りられます」なる催しをやっていました。
無人の部屋の机の上に、規格外の本たちが並べられていました。
源氏物語絵巻」「富岳三十六景」は製本されておらず、紙の束。
阿武隈川舟運図」は、長~い一枚の絵。
いずれも原本ではなく、近年出版されたものですが。
「原爆の図」の巨大画集も圧巻でした。

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調べてみると、ここは嘗て県立図書館だったようで、
1984年に県立図書館が移転した後、市立図書館に変わったそうです。
この建物は1958年(昭和33年)に出来たようで、築62年(!)ということになります。
私が昔連れて行かれたのは恐らく、移転後7年ほどの、県立図書館だったのでしょう。

2泊3日の今回の旅で訪ねた図書館は、南東北3県で計7館でした。
歴史と伝統、格式のある図書館が多く、それでいて自動の検温機を導入するハイテクな所もあったりして、
それぞれに個性があり楽しめました。

 

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