戸田市の小さな図書室を後にして、川口の中心地にやって来ました。
駅近くのショッピングモールで昼食後、川口市の中央図書館へ。
JR川口駅の真ん前という超一等地。
商業施設も入っているこのビルの、5~6階にあります。
前の広場には、工夫の像が。
「働く歓び」像は、鋳物のまち川口を象徴する、鋳物職人だそうです。
その横には、キューポラの像が。
キューポラとは、鋳物工場の煙突なのかと思っていたら、溶解炉だったようです。
なお、図書館が入るビルの名前も「キュポ・ラ」。
キューポラの立ち並ぶ光景はすっかり見られなくなりましたが、
そのアイデンティティはしっかり受け継がれているようです。
図書館は、商業施設の上にあるように見えますが、中では微妙に分離されており、
4階の本屋さんから直接上がることはできません。
公共施設エリアに移動してから、エスカレータで上へ。
上階のロビーの窓からは、駅と駅前の様子が一望できます。
いざ、図書館内へ。
5階から7階まで一気に吹き抜けになっており、実に開放的。
奥に進んでいくと、本のタイトルが書かれたファイルが大量に棚に並んでいます。
何かと思えば、点字の本でした。
点字図書館でない一般の図書館で、ここまで点字資料が充実しているのは初めて見ました。
館内のエレベータで7階へ。
メディアセブン、と名の付いた施設になっています。
今一つどういう施設なのか分かりませんが、普段はワークショップなどが開かれている模様。
コロナ禍の今は、リモートワークなどを想定した貸しスペースを行っているようです。
階段で6階に下ります。ここは再び図書館。
CD、DVDが充実しています。
ビデオも置いてあると書いているのですが、見当たりませんでした。
川口には鋳物だけでなく、和竿という伝統工芸もあるそうで、
川口和竿の製作道具が展示されていました。
郷土資料のスペースは、かなり大きく取られています。
過去の市議会会議録、県議会会議録がずらり。よく見ると衆議院、参議院の会議録まで。
「鋳物技術講習会テキスト」なる、川口らしい希少な資料も。1960〜70年代のもののようです。
文学の所には、埼玉ゆかりの作家、薬丸岳、森村誠一、折原一などの著作に、
県が舞台の「のぼうの城」「サイタマノラッパー」、渋沢栄一を扱った小説も多数置かれています。
洋書の充実ぶりも目を見張りました。
英語は勿論、中国語、韓国語もかなりの数。
ここまではそれほど珍しくありませんが、
ポルトガル語、タガログ語の本が数百冊あるのは、かなり特徴的。
川口にブラジル人やフィリピン人が特別多いという話は、聞いたことがありませんが。。
ただし、それ以外の言語は極少ししかありませんでした。
語学についての本も、なかなか豊富です。
異文化共生に力を入れているのでしょうか。
コンピュータの本もかなりの数。
マニュアル本が多いものの、専門的な本もちらほら含まれています。
iPhone、Androidについての本は、電気通信のコーナーにありました。
交通のコーナーを見ると、MaaS(Mobility as a Service)と名の付く本が5、6冊もあり、
技術トレンドにも敏感な様子が窺えます。
雑誌は何箇所かに分かれて置かれており、全て合わせれば数百誌になりそう。
駅前の商業施設の上という立地に、綺麗な内装と充実した蔵書、
浦和にあるさいたま市の中央図書館によく似ています。
開館は2006年とのことで、こちらの方が1年先。
蔵書数は3年前の情報で、約52万冊。視聴覚資料は2.3万点。
これらの数字もまた、浦和のそれを上回ります。
これは凄い!あそこの上を行くとは!市立図書館としては、県内一ではないかと。
駅とショッピングモールを結ぶ道には、「SL青葉通り」なる名前が付いているようです。
よく見ると、SLの車輪やフロント部分を模したオブジェが沿道に並んでいます。
調べたところ、この道はビール工場への専用線の跡で、嘗てはSLも走っていたそうな。
映画「キューポラのある町」の風景と同様、今では想像することも困難ですが。