昨年に続いて、今年もコロナ禍の夏休み。帰省も昨年に続いて断念。
我慢の夏と言われた昨年には、まさか翌年は更に状況が悪化しようとは、予想できませんでした。
しかし9日間の休み中、家に籠もり続けるのも耐えられず、出掛けることにしました。
県外移動の自粛が叫ばれる中、真面目な埼玉県民が行く所となると、やはり秩父。
秩父に行くのは、やはり我慢の連休だったGW以来。
その時は県の西の果ての小鹿野に行きましたが、今回は南の果ての大滝を目指すことにします。
旅気分を盛り上げるためにはバイクで行きたかったのですが、午後から雨という予報が出ているので、
車にしました。
家から約100kmの道のりを3時間近くかけて、秩父市街からも遥か離れた、旧大滝村に入ってきました。
ここには秩父市立図書館の分館があるのですが、雨になる前にもう少し回っておくことにして、
カーナビの地図で目に入った「栃本広場」とやらを目的地に設定。
山梨県まで続く、立派な国道を進んで行きます。
国道を外れ、狭い道を進むと栃本集落。
断崖伝いに這いつくばる様に広がる村は、秘境中の秘境の趣き。
観光地化はされていないので、宣伝すべきかは微妙ですが、秘境マニアには訪れる価値大いにあり
と言って良いでしょう。
よく見ると、只者ではない雰囲気の建物も点在。
村の中の道は極めて狭いですが、意外に交通量は多め。
なんと、こう見えて現役の国道(こちらも140号)でした。
江戸時代には秩父往還の関所があったそうで、跡が残っています。
広場の方は、集落から更に山を上った所。
熊出没注意の看板にビビりながら散策しましたが、
人っ子一人おらず、眺望も利かず、交通も極めて不便で、正直何のために作ったのか分からない公園でした。
旧国道を東に進み、村を抜けると、不動滝の案内が見えました。
案内に従って脇道を下っていくと、車道が途絶えてしまったので、車を停めて歩きます。
滝は予想外に遠く、往復一時間ほどかかりました。(実はもう少し近くまで車で行ける道もあった模様)
そこまで立派な滝でもありませんが、辿り着くのに思いの外苦労したので、感慨もひとしお。
旧国道に戻り、更に進むと沿道にモダンな建物が出現。廃校になった小学校でした。
そこから北に、県史跡「上中尾の猪垣」の案内が。
何だか分からないまま行ってみると、やはりよく分かりませんでしたが、恐らくこれのことでしょう。
動物除けの石垣です。
再び車を走らせ、新国道に戻り、小さな橋で荒川を渡ると、ようやく図書館に到着。
昼過ぎに来るつもりが、閉館時刻4時の目前になってしまいました。
予報では昼から降るはずだった雨も、この時間になりようやく降り始めました。
かなりの田舎でありながら、駐車場は立体。
近くにある道の駅も、駐車場はこのような造りです。
川伝いに広がる村に、如何に平地が乏しいかの表れでしょう。
役所の支所、公民館と一体になった大きな建物。
その二階の奥に図書館がありました。
扉を開けて入ると、無人で電気も点いていません。
しばらくしたら職員の方が現れ、電気を点けて下さいました。
部屋は意外に広いのですが、
本が並ぶのは基本的に壁沿いのみで、部屋の真ん中には絵本、CD、DVD、雑誌が少々あるのみ。
他には閲覧席として丸テーブルが3つ置かれているだけで、良く言えばゆったり、悪く言えばスカスカ。
床面積に本棚が占める割合の低さは、今まで見た中でも最高レベルではないかと。
文芸書が比較的多めですが、大活字本も、文庫本、単行本もごちゃまぜに置かれています。
「徳川家康」「坂の上の雲」「竜馬がゆく」などの古い長編小説が、文庫でなく単行本で並んでいます。
一般書には、秩父に関する本が目立ちます。
郷土資料コーナーは特に無く、一般の本の各分野に混ぜているようです。
「文芸埼玉」も文芸書に混ざっていました。
CDは2、300枚、 DVDは40枚くらい。
DVDはジブリ作品の他、KADOKAWA「世界名作シネマ全集」が置かれているのが珍しく、目を引きました。
他に目を引いたのは、
ぎょうせい「ふるさと文学館」「日本の民話」「世界の民話」「日本の郷土料理」、
筑摩書房「江戸時代図誌」、富士書苑「大東亜戦史」など、あまり見かけない渋い全集物が多いこと。
蔵書数は約5千7百と寂しめながら、品揃えや配置が個性的で、
かなりガラパゴスな感じの図書館でした。
ここは元中学校らしく、当地に移転してきたのは2018年とのことで、まだ最近のこと。
閉館が4時という早さもさることながら、休館日が土日祝というのも変わり種で、
だからこそ通常の週末でなく、夏休み中に来る必要がありました。
図書館への橋が架かっているのは、ちょうど荒川と中津川の合流地点。
両者で水の色が全然違うのが面白いです。