図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

市立室蘭図書館本館(北海道)

東室蘭に到着しました。
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近代的な駅で、人も多いです。
周辺も予想以上に都会的。

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コンコースからの眺め

支線に乗り換えて、室蘭へ。
昔、ツーリングで来たことはありますが、鉄道で来たのは初めて。
特にこの支線は是非一度乗ってみたかったので、感慨もひとしお。
複雑な地形の半島の先に続く街。
この独特さは、国内に類例が思いつきません。
(強いて挙げるなら、北九州市の若松辺りか?)

室蘭には12分ほどで到着。人は少ないですが、この駅も綺麗です。
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宿泊予定のホテルと図書館、どちらも徒歩数分圏内なので、どちらを先に行くか迷いましたが、
閉館の6時まで30分ほどしか無いので、呑気にチェックインしている暇は無いと判断、
荷物を引きずったまま図書館に向かいました。

この図書館、移転が決まっており、3月末で休館、とのこと。
最後の日を数日後に控える、絶妙なタイミングでの初訪問となりました。(訪問日は3月26日)

市役所の向こう、青少年科学館の隣の図書館に到着。
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外から見た感じ、それほど古くは見えません。
が、中に入ると、一階事務室には、
「62年間ありがとうございました」とのメッセージが貼り出されていました。
62年間!なんという長い歴史。
初訪問の身でありながら、図々しくも感慨に浸ってしまいます。

確かに中は草臥れています。
階段の壁には、図書館の歩みを映す写真が掲示されています。
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二階に上ると、図書室入口。
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ネズミ色のスチール棚がぎっちりと並ぶ館内は、やはり古さを隠せません。
撮影はOKをもらえたので、記録の意味も込めて多めに写真を貼っておきます。

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奥に中二階が

室内に、張り出した中二階があるので、ちょっと怖い階段を上ってみます。
古い全集ものが置かれていました。

閲覧室には石油ストーブが。
図書館のような所には御法度では?と思わないでもないですが、寒さ対策の方が優先なのでしょう。
この日はさほど寒くないので、点いていないようでした。
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いかにも元閉架書庫という風情の奥の間は、床がミシミシと音を立てます。
水漏れ対策なのか、窓枠や床に新聞紙が敷かれていたりして、満身創痍の体。
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三階には郷土資料室があるみたいですが、二階より一足先に閉鎖されていました。
二階にも郷土資料は少し置かれています。
芥川賞作家の八木義徳氏が室蘭の出身とのことで、著作が並んでいました。

新聞室は、アコーディオンカーテンで仕切られた先。
少し開いている隙間から覗くだけ。

雑誌コーナーのカレンダーは、閉館までのカウントダウンをしているかのよう。
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まもなく、閉館の6時。
「ありがとう」と職員に声を掛けて去って行くお客さんが多いです。
62年間の感謝というわけではなく、何となくそういう習慣が根付いているだけみたいですが。

蔵書数は、6年前の情報で16.6万冊。
地域に愛される図書館だったのでしょう。

夜は、夜景を見るため測量山へ。
標高199.6mの山頂までは、ホテルから歩いて30分。
歩いていると汗をかいてきますが、山頂に着くと雪山登頂のような寒さ。
工場夜景が売りのはずの室蘭ですが
事業縮小のためか、あまり工場は目立ちません。

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測量山からの夜景

翌日は朝9時台に電車に乗り、旭川に行く予定でしたが、
室蘭に来たら地球岬は行っておきたく。
朝6時に起きて朝飯前に歩いて往復、ということも考えましたが、
さすがに体力が持たないと思い、11時台の電車に出発を延ばすことにしました。

フリーきっぷを活用して、母恋駅まで一駅だけ乗車。

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母恋駅は昔ながらの佇まい

駅前の道をまっすぐ上っていくと、約35分で地球岬に到着します。
地球が丸く見えるという広い視界、素晴らしい眺望。
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帰りは直接室蘭駅方面へ。
時間はかかりますが、下り道なので楽なもの。

街に戻りました。
鯨が街のシンボルになっているようで、随所にイラストやオブジェがあります。
地球岬からも鯨やイルカが観察できることもあるそう。
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SLを横に従える旧室蘭駅は、今は観光案内所。
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貴重な道内最古の木造駅舎を、なぜ引退させてしまったのかとも思いますが、
現駅舎より500mほど先にあり、町の中心から行き過ぎてしまっているので、
今の方が便利なのは確か。

現駅舎の近くには、港の文学館があります。
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入場無料ですが、展示品も内装も、なかなか見応えがありました。
昨日の八木義徳三浦清宏と、二人の芥川賞作家を生んだそうです。
最近の受賞者では、長嶋有も居住歴があるとのこと。
他にも室蘭ゆかりの人はいっぱいいて、漫画家いがらしゆみこも居住歴あり。
ゲージツ家クマさんこと、篠原正之も室蘭出身だそうです。

ちょっと駆け足でしたが、一泊二日で室蘭の街を堪能。
特に図書館62年の歴史の終幕に立ち会えたのは、貴重な経験でした。
またいつか、新しい図書館にも訪れたいものです。

旭川に向かいます。
9時台発だと千歳線経由でしたが、延ばしたおかげで室蘭本線の全線走破になりました。

室蘭市/市立室蘭図書館