図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

練馬区立南大泉図書館(東京都)

この日は、所用で保谷の方に行きました。
バイクで40分ほど。
保谷駅前には西東京市の図書館があるのですが、1㎞足らず先には練馬区の図書館もあります。

案内標識が見えたので、それに従って進んでいくと、狭い路地が入り組む住宅街の中にありました。
f:id:n344sj:20201108003108j:plain
23区内の図書館なので駐車場はありませんが、駐輪場はたっぷり。
有難いことに、バイク専用の置き場もあります。

7月には隣町の大泉図書館を訪れたのですが、周囲の雰囲気や外観はよく似ています。
中に入ると、館内の雰囲気もどことなく似ていますが、あちらより一回り小さな印象。

東京都内の図書館のご多分に漏れず、利用者は多めで混み合っていました。
コロナ対策で、椅子や検索機は間引かれています。

DVDは見当たりませんが、CDは2、3千枚ほど置かれていました。
内、ポピュラー系は1/4ほどでしょうか。

事前にGoogleMapのレビューを見ていたら、漫画が多い、とのコメントが多数見られました。
アニメ、漫画の街でもある練馬区、大泉。
その割に大泉図書館の方は漫画が少なかったので、こちらがそれを補っているのかと思い、見てみると、
棚に並んでいる漫画本は1500冊くらいでしょうか。
多いと言えば多いですが、驚くほどでも無い、と言ったところです。
ラインナップは「ドラえもん」「こち亀」「美味しんぼ」「ワンピース」「はだしのゲン」など、
”定番商品”といった感じ。
大泉に住むという、松本零士氏の「銀河鉄道999」も文庫版で置いていました。
よく見ると、抜けている巻が目立ち、貸出し中のものが多いようです。
それらも含めれば所蔵数としては2、3倍はあるのかもしれません。

二階は青少年館。
学習室、体育館などがあり、この時は卓球教室をやっていました。

f:id:n344sj:20201108003622j:plain
玄関前は、円形劇場風のスペース

練馬区の昨年度の資料によると、蔵書数は約7万。大泉図書館の1/3ほど。
開館したのは平成5年(1993年)とのことです。

周囲は普通の住宅ばかり。お店の類はありません。
少し歩くと、周辺には小さいながら農地も結構あったりします。23区の最果ての地です。

f:id:n344sj:20201108003432j:plain
柿の他、キウイも生っていました

図書館案内 | 練馬区立南大泉図書館

瀬戸市立図書館本館(愛知県)

小牧の街を出て、次に訪れたのは、この日の本命の瀬戸。
以前車で通過したことはありますが、街をよく見たことは無かったので、
じっくり訪れたいと思っていました。

まずは図書館を訪問。
昔からの街の中心地は名鉄尾張瀬戸駅の辺りですが、そこから1㎞ほど西、
新市街とも言うべき新瀬戸駅瀬戸市役所前駅のエリア、
つづら折りの急な坂を登った高台にあります。
せいぜい数100mの区間ですが、峠攻めの気分で登っていくと、図書館に到着。
駐車スペースの路面も斜めなので、ブレーキのかけ方が甘いと、悲惨なことになりそう。
眼下には陶生病院という、陶器の町らしい名前の巨大な市立病院があります。

壁は一面、陶器で出来た壁画。瀬戸焼なのでしょう。
f:id:n344sj:20201105010324j:plain

中に入った正面にも、やはり壁画がありました。
カウンター前には、瀬戸の生んだ将棋界のニューヒーロー、藤井聡太二冠の特設コーナー。
実に20冊ほどの本が並んでいます。

左手には、新聞雑誌室。
右手は広大な児童書のスペース。ここはゆったりとしていますが、
一般書のエリアはと言うと、窮屈に並べられたスチール棚に本が押し込まれています。
通路は、人とすれ違うのもままならないほどの狭さ。
目の焦点が近すぎて、本の背を眺めるのが辛いほど。
上階へ続く階段も、まるで工事現場のようなスチール製。
まさに書庫のよう、と思っていると、
上階の扉の裏には「書庫」と記されていました。

恐らく、元々の開架スペースは現在の児童書エリアだけで、
やがて本が増えすぎてお手上げになり、閉架書庫だった所をそのまま開放してしまったのでしょう。

その分、蔵書はかなり充実しています。
コンピューター関連も、新しくて専門的な本がそれなりに置いてあります。

参考室は、郷土資料が充実しています。
ここにも藤井聡太特設コーナーがありました。
関連の新聞記事も集められています。

瀬戸焼の街らしく、陶磁器の本、雑誌、写真集のコレクションは圧巻。
同じく焼物の町、信楽の図書館を思い出させます。
アジア、欧米の陶磁器に関する本もありました。

岩波、講談社三一書房の新書はここの廊下に置かれていました。

視聴覚資料はDVD、CDがありますが、数は多くありません。
CDは落語、民謡、昔の歌謡曲などで、ポピュラー系はほとんどありませんでした。

蔵書数は約30万冊とのこと。
1970年に開館したそうで、老朽化が進んでおり、
先ほどの小牧市と同様、移転も検討されているようです。

図書館を出て、中心地の尾張瀬戸駅の方に向かいました。
街中には陶器窯の煙突や、おしゃれなカフェが点在。
せと銀座通り商店街は、レトロ感満載のアーケード。ここも多くの地方都市と同様、やはりシャッター街
f:id:n344sj:20201105010150j:plain
雨の月曜日なので観光客が少なかったというのもあるにしても、
その衰退ぶりはちょっと目を覆うものがあります。
閉められたシャッターに、このような展示がありました。
f:id:n344sj:20201105010013j:plain
停滞するこの街に彗星の如く現れたヒーロー、藤井二冠。
街のあらゆる所に彼の偉業を讃える掲示があります。
彼が現れていなかったら一体この街はどうなっていたのだろうか、と思ってしまいます。

f:id:n344sj:20201105010227j:plain
アーケードの外も、レトロな商店街が続きます

街の中心から東に1 km ほど離れた所にある、窯垣の小径も、実に味わい深い。
f:id:n344sj:20201105005924j:plain
ただし、この辺りはとにかく道が狭いので、車の運転には細心の注意が必要です。

この後は、明智光秀の故郷、明智の里にも行きたかったのですが、もう日が暮れてきたので断念。
中央道で埼玉までの家路を急ぎました。

ちなみに、尾張瀬戸の駅ビルの中にも図書館分館があったようで、覗いておけば良かったとちょっと後悔。

交通アクセス - 瀬戸市立図書館

小牧市立図書館本館(愛知県)

京都から埼玉に帰る途中、愛知県は名鉄小牧駅前のホテルに一泊。
小牧と言えば、東名高速道路の終点であり、名神高速道路の起点、
ナンバープレート「尾張小牧」の地であり、
そして県営名古屋空港がある、と交通の街という印象でした。

f:id:n344sj:20201105002827j:plain
ホテルの部屋からの眺め。眼下の工事現場に何が出来るかと言うと。。

観光地のイメージはありませんでしたが、
小牧駅前には「歴史ロマンあふれるまち」とのフレーズが掲げられていました。
しかし、駅の周辺はまっすぐの広い道路に沿って、真新しいビルが整然と立ち並んでおり、
その光景はまるで最近街開きしたかのようで、全く歴史を感じさせません。

小牧駅の先には、高架の鉄道線がループを描いていました。
f:id:n344sj:20201105002929j:plain
鉄道車両がこんな急カーブを曲がれるのかと不思議に思いましたが、
調べてみると、これは名鉄線ではなく2006年に廃止された桃花台新交通、通称ピーチライナーの残骸でした。
営業していたのは僅か15年間という、超短命路線。
この鉄道遺産も間もなく撤去される予定とのことで、これは写真に収めておかなくては。
f:id:n344sj:20201105003020j:plain

駅前からお城までは西に1㎞ほど。車を走らせると、沿道に徐々に神社仏閣が増えてきて、
歴史の街らしい雰囲気が漂ってきました。
まず、お城の手前にある図書館に寄ります。
休館日は月に1日のみ、夜も8時半まで開館しているというサービスの良さから、
新しい図書館を想像していました。
いざ来てみると、デザインは斬新ですが、かなり古そうな建物です。
f:id:n344sj:20201105003142j:plain

正面の階段を上り、二階から中に入ります。
見上げると、中央部は吹き抜けで、そこの天井はガラス張り。しかしそこかしこに補修の跡があり、老朽ぶりは隠せません。
そして西側の細いガラス窓の先には、小牧城天守閣が覗いています。
なかなか計算されたデザインです。

歳を重ねているだけに、蔵書は豊富。蔵書数は18万冊ほどのようです。
洋書コーナーも充実していて、英語以外にも中国語、台湾語の本が多いです。
絵本も多く、上記以外にも韓国語、タイ語、ドイツ語、フランス語、スペイン語ポルトガル語のものがありました。

三階には、参考郷土資料室がありました。
ここだけでも並の図書館レベルの広さで、愛知県の資料が充実しています。

一階に下りると、トイレ、整理室のみで、本は置かれていませんでした。

この建物は1978年の開館だそうで、思ったほど古くはありませんでした。
しかし、どうやら来年春には新しい図書館に移転する計画だそうです。
ホテルの窓から、目の前に工事現場が見えていたのですが、そこが実は新図書館の建設予定地だったようです。
二階の壁には、黒瀬道則氏の制作、寄贈の絵画が飾られていましたが、この絵も無事移転されるのでしょうか。

f:id:n344sj:20201105003242j:plain
駐車場側から

あいにくの雨ですが、お城のある小牧山に向かいます。
秀吉と家康が争った、小牧・長久手の戦いの舞台となった名城。
標高100mにも満たない小さな山ですが、濃尾平野の中にポツンと立つ天然の山に、
戦国武将が目を付けるのは必然でしょう。
平和な現代ではもちろん攻撃を受けることも無いので、苦も無く山頂に到着。
今の天守閣は戦後に個人が建てたもので、市に寄贈された後、中は歴史館になっていました。

f:id:n344sj:20201105002157j:plain
山頂の天守

麓にもれきしるこまきなる博物館があり、入場料は2つ合わせて100円の安さ。
それでいて、ハイテクを駆使した展示は中々見応えがありました。

看板に偽りなし、小牧はまさに「歴史ロマンあふれるまち」でした。


http://www.library.komaki.aichi.jp/library/komaki.html

滋賀県立図書館(滋賀県 大津市)

母を京都駅まで送り、その後は宿を取った愛知県の小牧を目指します。
途中、関ヶ原辺りに寄ってみたい気もあったのですが、時間的に間に合いそうになくなってきたので、
明るい内に行けそうな、滋賀県立図書館に寄ることにしました。

名神高速の瀬田東IC、及び新名神草津田上ICの近く、
龍谷大、滋賀医科大、立命館大などが集まり、隣には県立近代美術館もある文教地区です。
滋賀の県庁所在地は大津市ですが、京都に近過ぎるのか、地理的に端過ぎるのか、
県内の拠点を交通至便な草津市に置く会社も多いと聞きます。
その両市の境界付近、一応所在は大津市という、絶妙な立地でもあります。

高台にあるので、琵琶湖が一望できるかと期待していたのですが、
生憎それは叶いませんでした。
しかし、それを補って余りある、美しい景観が拝めました。

駐車場に車を停め、少し上っていくと、広大な日本庭園。
まだ11月に入ったばかりなのに、紅葉が見事です。
f:id:n344sj:20201103230700j:plain

日本庭園を抜けると、続いて西洋風庭園。
図書館が見えて来ました。
f:id:n344sj:20201103231210j:plain

ようやく正面玄関に到着。
結構歩きましたが、ここもご覧の通りの美しさ。心躍ります。
f:id:n344sj:20201103230850j:plain

中に入ると、中央は広大な吹き抜けになっていました。
美術館のような造りです。
ここはホールになっていて、コンサートが開かれることもあるそうです。

奥には、庭を眺めながらソファで寛げる、新聞・雑誌コーナーがありました。
しかし置かれているのは週刊誌、車、スポーツ誌などで、種類も多くなく、
あまり県立図書館っぽくありません。

二階に上がると、ここにも雑誌コーナーがありました。
本体はこちらだったようで、実に4、500種類はあります。
(公式サイトには700誌と書いていました。。)
学術系、行政系の雑誌が多く、実に「県立」的。

滋賀県と友好提携しているという、中国湖南省の交換雑誌も40誌ほども置かれています。
滋賀県と言えば、もちろん琵琶湖。
提携先に”湖”南省が選ばれた理由は、聞くまでもありません。

一般書も、県立の名に恥じない豊富な蔵書。
コンピュータ関連の本も量、質とも充実しています。
私が去年仕事のために買った、マイナーな(と思っていた)本が置かれていて、ちょっとびっくり。
総記の所だけでなく、電気工学の所にも置かれていました。

大部分は英語ですが、洋書も豊富でした。

ハヤカワ文庫、創元推理文庫も異様なくらい揃えられています。
全巻あるのかもしれません。

郷土資料室も、さすが県立、と目を見張るものがありました。
「滋賀資料」のコーナーには、各種行政資料、報告書、各市議会議事録などがずらり。
また、中江藤樹なる江戸時代の陽明学者が、郷土の偉人らしく、彼を扱った本が多数ありました。
古い本が多く、昭和18年、19年といった戦前刊行のものまであります。

滋賀資料に負けない幅を占めているのが、「水資料」のコーナー。
やはり滋賀県、とことん琵琶湖頼り。。
治水、生物、釣り、など水に関するあらゆる分野の本が揃っています。
洋書もありました。

館内随所に塑像、陶芸などの芸術作品も置かれていて、
建築そのものや周囲の庭園とも相俟って、実にアート的な図書館。
我ながら、実に良いチョイスでした。

公式サイトで見つけた概要資料によると、
蔵書数は、約145万冊。中々聞くことのない数字です。
県立図書館の開設は、昭和18年
。。ということは、中江藤樹の本は、最初の開設時に仕入れられたモノということか。。
現在の地に移転したのは昭和55年(1980年)とのこと。
40年も経っているとは思えない綺麗さでした。

図書館へのアクセス | 滋賀県立図書館

亀岡市立図書館中央館(京都府)

九月に続いて、また関西に来ました。
京都の園部で祝い事を済ませ、母、兄一家と共にどこか近くを観光することに。
そこで選んだのが、お隣亀岡市のお城。
街は亀岡ですが、なぜか城の名前は亀山城。(亀岡城とも呼ばれるようですが)

宗教団体の大本が所有、管理しているという珍しい城で、
存在は知っていたものの、敷居が高く感じられてこれまで敬遠していましたが、
入場料を払えば普通に見学できるというのを兄に教えてもらい、行くことになりました。

まずは受付のある「ギャラリーおほもと」でお勉強。
現在放送中の大河ドラマ麒麟がくる」の主人公、明智光秀が築城し、丹波攻めの拠点にしたとされています。
宗教団体が管理するに至った経緯もよく分かり、納得。

そして、城内を散策。
明治維新後の荒廃や大正、昭和初期の宗教弾圧による破壊を経たそうですが、石垣は見事に復元されています。
f:id:n344sj:20201103215133j:plain
ただし、観光客に解放されているのは一部のエリアで、大部分は立ち入り出来ませんでした。

大阪に住む兄一家とお別れしてから、お城に行く途中に前を通った、図書館を訪問。
これから京都駅まで送る、母にも付き合ってもらうことになりました。

お城のほど近く、古い家並みが残る、狭い道沿いにあります。
嘗ては街のメインストリートだったと思われますが、閉まっている店が多く、道行く人もまばら。
しかし、町並み散策なのか、団体ツアー客も歩いていました。

f:id:n344sj:20201103223142j:plain
図書館前の道

前には、亀岡に因んで亀の像が。
f:id:n344sj:20201103215815j:plain

駐車場は、手続きをすれば2時間までは無料。30分までなら手続き不要とのこと。
母も連れていて長居はできないので、30分以内に出ることにします。

f:id:n344sj:20201103223100j:plain
図書館

中に入ると、まず目に飛び込んで来たのはDVDの棚でした。
教育資料的なものが多く、映画は少なめです。
その裏はCDでした。こちらもさほど数は多くありません。

カウンターに向かって左手は、新聞・雑誌コーナー。
右手には、明智光秀の本を集めたコーナーがありました。
館内にも「麒麟がくる」のポスターが貼られています。

亀岡駅からお城に向かう道の突き当りには、光秀の銅像もありました。
丹波地方は今まさに、光秀一色です。

カウンター傍には「除菌中」と掲げられた棚がありました。
返却された本は、しばらくここに置かれるようです。
何らかの殺菌処理をしているのか、ただ放置しているだけなのか不明ですが、恐らく後者でしょう。

本棚は背が高く、上段には手の届かない人も多そう。移動式の踏み台が随所に置かれています。
その代わり通路は広めです。

奥の壁は、美術全集で埋め尽くされていました。これは壮観。

文庫本の棚は、ちょっと説明が難しいですが、、各段が2段の階段式になっており、
段の上と前に本が並んでいます。
高さ方向を詰めても本が取り出しやすい構造で、ちょっと感心。

二階は、児童書と郷土行政資料。
児童書は入口付近に配置されていることが多いので、ちょっと珍しいです。
郷土資料室には、大本の創始者出口王仁三郎に関する本や、ここにも明智光秀の本があります。
東洋文庫もなぜかここにあります。

ネットで見つけた平成27年度の図書館年報によると、図書館が出来たのは昭和42年、
現在の場所に開館したのは昭和55年とのことです。
蔵書数は約13.5万冊。
歴史ある街に、歴史を刻みつつある、重みを感じさせる図書館でした。

それにしても、出口王仁三郎を題材にした短編小説を、割と最近読んだ気がするのですが、
作者もタイトルも一向に思い出せず。。もやもやが募ります。

中央館|図書館施設案内|亀岡市立図書館

福島市立図書館本館(福島県)

宿願だった蔵王のお釜を見ることができ、後は埼玉の自宅までバイクで一目散、、、
ではなく、最後にもう一ヶ所寄り道。
福島市立図書館が珍しく月曜日に開館しているようなので、行くことにしました。

今から30年近く前の学生時代、福島市に住んでいる親戚を訪ねた時、図書館に連れて行ってもらったことがあります。
その図書館が県立だったのか市立だったのか、はたまた大学図書館だったのかは記憶が定かでありません。
今回、それを確かめるという意味も込めています。

国道4号線から西に200mほど入った、住宅や各種施設の建て込む中、
福島駅からも1㎞ほどの距離の所にありました。

f:id:n344sj:20220313152746j:plain

果たして30年前の記憶が蘇るのか?という心配もありましたが、
見るからに古い地味な建物を一目見て、ここは違うなというのはすぐ分かりました。

入口には、震度6以上で倒壊する恐れがあると診断されました、対策は検討中、との貼紙が。
入る前から不安を煽らされたのは初めてです。

中に入ってみても、やはり随所に古さを感じさせます。
前日行った白石市の図書館もかなりのものでしたが、こちらはそれ以上。

しかし、県庁所在地の中央図書館だけあって、蔵書はなかなかの充実ぶり。
日も暮れた夕方6時でありながら、お客さんの数もそれなりに多いです。

一階は児童書のようですが、
入ってすぐの所は、雑誌コーナー。
棚の上の壁に、「婦人雑誌」「趣味」「週刊誌」「タウン誌」とジャンル分けが表示されています。
半分は婦人誌。
男性向けは無いの?と不思議に思いつつ、これまた古さを隠せない階段で二階に上がると、
二階にも雑誌コーナーがありました。
こちらは「スポーツ」「科学・技術」「文芸誌」「芸術」「社会・経済」とのジャンル表示。

視聴覚資料も置いていますが、まず目に入ったのはカセット。
とことんレトロです。

CDも置いていますが、カセット含めて何と、音楽は無し。
ほとんどが朗読物で、一部に落語CDがあるくらいでした。

原発事故関連図書コーナーの棚があるのは、福島ならでは。
その数なんと、500冊以上。
いずれも東日本大震災の後の刊行と思われますが、それでこれだけ出ているのは驚きです。

基本的には殺風景な館内ですが、一部の棚は斜めに配置して、アクセントを付けていました。
また、背表紙のラベルには分類番号等の他、大分類を表していると思われる大きな数字、アルファベットが
1文字書かれています。
これによって仕訳を容易にしているのでしょうか。

三階は、参考図書、郷土資料。
郷土資料の充実ぶりは圧巻。本だけでなく、各種団体の発行した冊子や、新聞スクラップも置いています。
原発事故に関する資料は、ここにも置いていました。

会議室では、「規格外資料展 扱いにくいけど借りられます」なる催しをやっていました。
無人の部屋の机の上に、規格外の本たちが並べられていました。
源氏物語絵巻」「富岳三十六景」は製本されておらず、紙の束。
阿武隈川舟運図」は、長~い一枚の絵。
いずれも原本ではなく、近年出版されたものですが。
「原爆の図」の巨大画集も圧巻でした。

f:id:n344sj:20220313152716j:plain

調べてみると、ここは嘗て県立図書館だったようで、
1984年に県立図書館が移転した後、市立図書館に変わったそうです。
この建物は1958年(昭和33年)に出来たようで、築62年(!)ということになります。
私が昔連れて行かれたのは恐らく、移転後7年ほどの、県立図書館だったのでしょう。

2泊3日の今回の旅で訪ねた図書館は、南東北3県で計7館でした。
歴史と伝統、格式のある図書館が多く、それでいて自動の検温機を導入するハイテクな所もあったりして、
それぞれに個性があり楽しめました。

 

福島市立図書館(本館) - 福島市

天童市立図書館(山形県)

山形市を出て、もうひとつ月曜日に開いていることを調査済みの、天童市の図書館を目指します。
山形から北へ約10km、30分ほどバイクを走らせて到着。

将棋の駒の産地として有名な天童。
街中には将棋の駒をかたどった物が溢れています。
実は温泉街でもあり、市内中心部には温泉旅館、ホテルが立ち並んでいます。
市役所、図書館もその近く。

f:id:n344sj:20201021233159j:plain

図書館正面

この写真ではちょっと分かりませんが、外の柱に空いている穴は、将棋の駒を模した五角形でした。

いざ、図書館の中へ。
入口は自動ドアですが、コロナ対策で真ん中を工事現場のようなバーで分け、
入口と出口の動線を分けていました。

カウンター前の「あたらしくはいった絵本」の棚を見ると、
「ウイルスとのたたかい」「はたらくヒーローたち」(コロナと戦う医療従事者の話)
「こいぬのルナ、コロナウイルスにたちむかう」といった絵本が。
コロナが絵本の世界にも影響を及ぼしているとは。。
子供にステイホームなどの意義を教えるためには、こういった絵本が有効なのでしょう。

なかなか歴史ある図書館の様で、蔵書は充実。
ただしCDは少なめでした。

郷土資料は、特に充実しています。
かなりの幅を占めている「山形県関係資料」の棚には、
出羽の即身仏に関する本も多く、パラパラと見たその中身には衝撃を受けました。

「将棋」コーナーも勿論あり、100冊を超える本が並んでいます。
少年棋士を描く漫画「3月のライオン」も揃っていました。

よく見ると、窓は五角形。
将棋の駒を模しているのでしょう。

f:id:n344sj:20201021233320j:plain

将棋駒形の窓。建物自体も?

ただ、この街を歩いていると、目に入る五角形のものが全て将棋の駒を模しているように見えてしまいますが、
よく考えたら、普通の家の形なのでは?と思うものも。。
でも、この窓はやはり意識しているでしょう。

この図書館、開館は昭和48年、現在の地に移ったのは昭和58年とのこと。
やはりそこそこの歴史がありました。
蔵書数は約20万冊。
休館日は第三火曜日と年末年始だけのようで、稀に見る働き者です。

天童駅前には将棋資料館があるのですが、月曜日のこの日はお休み。
ここには昔一度行ったことがあるのですが、様々なバリエーションの将棋盤、駒が展示されていて、
面白い所でした。

温泉街の中に、栄春堂という将棋駒製造実演所兼売店があります。
この中に、小さな将棋駒博物館がありました。
f:id:n344sj:20201021233436j:plain

温泉街にある栄春堂

中国、韓国、タイ、イタリアの将棋(チェス?)や、
平安時代に出来たという、300枚以上もの駒を使う大将棋など、
将棋資料館で見たのと同じような面白い展示物が見られ、満足しました。

 

天童の街を後にし、次に目指すは、この旅のメインイベント。

嘗て何度も近くまで来ながら悪天候などで辿り着けなかった、蔵王のお釜。
遂に念願叶って、到達することができました。

f:id:n344sj:20201021233519j:plain

カメラ代わりに持ってきたiPhone5は、実は寒さにとても弱いことが判明。
すぐ電源が落ちてしまうので、肌に押し付けて温めながら、何とか撮影。
天気は昨日の方が良かったかもしれませんが、平日で道路も空いていたので、
まあこの日で正解だったのかな、と思うことにします。  

 

天童市立図書館概要 | 天童市立図書館