図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

北区立中央図書館(東京都)

東京北区にある「青天を衝け」大河ドラマ館が、12月26日までと聞いたので、行ってみました。
埼玉県深谷生まれ、日本の資本主義の父、渋沢栄一の生涯を描いたドラマ。
最初は、埼玉県民としての義務感から見ていたのですが、埋もれがちな渋沢翁の業績を世に知らしめた、なかなかの快作だったと思います。
特に終盤は、序盤中盤と比べ展開が早すぎ感はあったものの、その分内容が濃く、かなり惹きつけられました。

ドラマ館のある飛鳥山の近くの図書館を探してみると、出てきたのは北区の中央図書館。
昔のレンガ造りを活かした建築で知られる、東京の名物図書館の一つと言って良い所です。
駐車場、駐輪場の側から回ると、普通の現代建築。
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あれ、こんなだっけ、と思いながら、中へ。
ここから入ると、二階。二階はこども図書館でした。

一階に下り、外に出ると、レンガ造りが現れました。ただ、それだけでは手狭で、増築されたようです。
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赤レンガ部分は、元は陸上自衛隊の倉庫とのこと。
館内随所に倉庫時代の機構が残っていて、解説が付いています。

雑誌は、外国語のものも含め、200誌ほどはあります。
新聞も100紙くらいあり、蜂の巣のような形の棚に入っていました。
文庫本も大量。

公開書庫というエリアもあります。
背の高い本棚が、ピッチも狭く並びます。
こちらにも文庫本あり、コンピュータ本ありと、あらゆる分野の本がありますが、通常の棚よりやや古い本がこちらに回っているようです。
北海道立図書館がほぼ同じ運用であったことを思い出します。

CD、DVDも豊富。
CDは1万枚近くはありそう。DVDは2、3千枚でしょうか。

ここの自慢は、ドナルド・キーンコレクション。
近くに住んでいたキーンが、レンガ造りのこの図書館を気に入って、蔵書を寄付したとのこと。
原稿の複製も展示されています。
書斎を模したような本棚には、三島由紀夫川端康成谷崎潤一郎など、交流のあった作家の本が、作家別に並んでいました。
古い洋書も多数。

近くにはパソコンの本のコーナーがありました。
これも量、質とも文句なし。

洋書も多数ありましたが、ほぼ英語。
ドラゴンボール」「のだめカンタービレ」「スラムダンク」など漫画の英語版もありました。

ミステリー作家、内田康夫コーナーがありました。北区出身のようです。
嘗て文士が集って住んでいたという、田端文士村コーナーには、二葉亭四迷佐伯図書館で知った野上弥生子などの本があります。

その先が、北区の部屋。
渋沢栄一翁関連書籍コーナーには、数百冊もの本があります。
地域の歴史の本も多数。
関東大震災東京大空襲の本も揃っています。
「東京震災録」全四巻は、大正15年から昭和2年にかけての刊行物。
都電についての資料や、渋沢が設立に関わったという王子製紙の社史もありました。

蔵書数は、一般書が約36万冊、児童書が7万冊。
開館は2008年。先日訪ねた伊万里市民図書館と同様、日本図書館協会建築賞も受賞していますが、あいにく館内撮影は不可でした。

飛鳥山へは、ここから徒歩10分ほど。向かって行くと、飛鳥山の背後にスカイツリーがそびえています。
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途中にあったのが、王子神社。この日初めて存在を知りましたが、鎌倉時代からの由緒ある神社のようです。
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夜桜を見に来たことのある、音無川親水公園の渓谷。水は枯れていました。
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その隣が飛鳥山公園ですが、都電も通る大きな道路が間に横たわり、横断歩道が無いので、遠回りを強いられます。これは不便。

王子駅の陸橋を渡り戻ってくると、モノレール「あすかパークレール」で公園へ。
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歩いて登っても大差ないくらいの速度と距離ですが、無料というのが凄い。車窓から王子の街がみるみる広がっていきます。
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大河ドラマ館の開設されている、北区飛鳥山博物館に来ました。
もう年の瀬だというのに、紅葉が綺麗。
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オープニング画像の展示に、
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ドラマで使われた衣装なども飾られていました。
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大河ドラマ館は、栄一の故郷深谷にも作られており、そことのセット券を買ったので、年明けには深谷に行かなくては!

公園の南には、渋沢翁の像がありました。吉沢亮とは似ても似つかないことは、今更言うまでもありません。
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渋沢史料館は閉まってしまいましたが、旧渋沢庭園は出入りできました。
渋沢邸の建物も一部残っています。
晩香廬は洋風茶室。
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青淵文庫は書庫であり、接客の場としても使われたとのこと。
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それぞれ、翁の喜寿、傘寿のお祝いとして企業から贈られたもの、というのがまた驚き。

飛鳥山には何度も来たことがあったものの、渋沢栄一に特別関心も無かったので、桜の名所の一つとしか思っていませんでしたが、、
今は、渋沢栄一の生きた地、として完全に見る目が変わってしまいました。

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