図書と旅

旅行と読書が趣味。旅行先で訪ねた図書館の紹介などを綴っていきます。

糸満市立中央図書館(沖縄県)

沖縄本島の南端近く、平和祈念公園にやって来ました。
広大な敷地です。
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戦争犠牲者の名が刻まれた石碑群、県ごとの慰霊塔が並ぶエリア、
などを回っていると心が苦しくなります。
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圧倒されるほど巨大な、平和祈念資料館も見学したかったのですが、
2、30分の残り時間では見切れそうに無いので、今回は断念。
断崖の続く海岸線は絶景ですが、その血塗られた歴史を思うと、素直に景色を愛でるだけではいられません。

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平和記念公園から臨める海岸

旅の最後に、祈念公園の所在地、糸満市の図書館へ。
街の南外れ、国道331号線からは数百mの所ですが、
南国の樹木に囲まれた、狭い坂道を登って行った先というロケーションは、なかなかワイルド。
周囲には、図書館以外何もありません。
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ワンフロアですが、かなり広め。
コロナ対策で、滞在は15〜30分にしてください、との掲示がされています。
明るい館内には、「青春群舞」という琉球舞踊を描いた大きな絵が飾られていました。

大きな郷土資料のコーナーが、勿論あります。
平敷政夫文庫、平敷令治文庫、牧田文庫など、寄贈者の名を掲げた棚が多数。
当地で活躍した学者のようです。

窓から市街地と、その先の海が一望できました。
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換気のため少し開いていましたが、しっかり網戸が付いていました。
亜熱帯の森の中という環境が環境だけに、虫も多いのでしょう。

郷土CD、カセット、ビデオも充実。
ビデオ、DVDは映画も豊富です。
恩納村に続いて、ここにも水戸黄門のDVDが。

入って10分も経たないのに、あと5分で閉館します、のアナウンスが流れてきました。
コロナ対策で、閉館時間が2時間前倒しの17時になっていたようです。
館内には何も書いていませんが、入口の扉には書かれていたようで、見落としていました。

蔵書数は約23万冊。
2017年に開館20周年、との情報が見つかったので、1997年開館でしょうか。
もっと新しそうに見えましたが。

旅の出発前に読んだ本には、糸満の草臥れた公設市場のことが紹介されていたので、
覗いてみたかったのですが、時間が無いので泣く泣く断念。
しかし後で調べたら、今年7月、観光客を意識した真新しい施設に生まれ変わっていたようで。
既に過去の存在になっていたのでした。

今回の沖縄旅行では、4日間で実に10の図書館を訪問。
観光スポットになり得るような、お洒落で個性的な図書館が近年増えている様子は、本土と一緒ですが、
何と言っても特徴的だったのは、どこも郷土資料が充実していること。
これは、沖縄県民の郷土愛の強さ、といった単純な話では無いでしょう。
元々が日本とは別の国であり、郷土即ち祖国であること、
文化、風土、歴史等の背景がそもそも異なること、
地理的に隔絶され、流通に障壁があるため、地場出版社が多いこと、
これらを考えれば必然の結果と思われます。
コロナ対策については各館各様ですが、アルコール消毒液の設置、開館時間や滞在時間の短縮、
本の消毒、など基本的には本土と同様に行われていました。
たまたまかもしれませんが、本土の図書館では結構な確率で見かける、リサイクル本のコーナーは
全く見かけませんでした。

最後は那覇空港から、夜のフライトで帰るだけ、、
だったのですが、機体トラブルにより大幅遅延。
電車の無くなった羽田から埼玉まで、タクシーで帰るという、初体験の贅沢を味わいました。

中央図書館 | 糸満市

南城市立図書館玉城分館(沖縄県)

首里で昼食を摂ったら、時刻は2時。
沖縄を自由に動ける時間は、残り3時間半になりました。
那覇の市場なども見て回りたかったのですが、せっかく車を借りているので、島南部を回ることにし、
市場は断念。

車を出し、南風原の方に向かっていると、那覇市の中央図書館がすぐ横に。
予定外でしたが、ここまで来た以上寄っておこうかと心が揺れましたが、
進入口を通り過ぎてしまったようなので断念。
次に那覇に来た時は、必ず来よう。。

更に行くと、広大な識名園の横を通ります。
ここも見たかったのですが、またいつか来た時に。

是非走ってみたかったのは、知念岬そばの、ニライカナイ橋。
絶景の展望スポットとして良く紹介されているようです。
沖縄には何度も来ていながら知らなかったので、最近出来たのかと思えば、2002年からあるそうで。

海沿いの佐敷の町から山道を登っていくと、高台にも町が開けていました。
4町村が合併して2006年に誕生した、南城市の市役所もここに。
中城村もそうでしたが、沖縄では、山の上に町が造られていることが結構多いようです。
風が通って気持ち良いからでしょうか。台風の時は辛そうですが。。

自衛隊駐屯地の脇を抜けると、いよいよ橋。
橋に入る直前に展望台があったみたいですが、
気付かぬまま通り過ぎてしまったので、写真はありません。
今にも泣き出しそうな空模様でしたが、豪快な眺望が楽しめました。

橋を渡り切るとすぐの所に、南城市の知念図書館があるのですが、この日火曜日は休館日。
やむなくパス。

その先にあるのは、沖縄最高の聖地とされる、斎場御嶽
以前は近寄り難い場所というイメージでしたが、
いつの間にか観光客が押し寄せるスポットになっていたようで。
聖地は聖地らしいままの方が良いのに、と思わないでも無いですが、
見学できるとなると見たくなります。
しかし券売所での案内によると、往復の道を含めて所要1時間とのこと。
軽い気持ちで慌ただしく訪ねるのも気が引ける場所なので、今回は断念することにしました。

代わりに、数百m先の知念岬公園から、これまた聖地の久高島を拝んで溜飲を下げました。

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知念岬から久高島を臨む

その近くの、知念城跡も訪問先候補だったのですが、案内標識が出ていないので、知らぬ間に通過。
やむなくここも断念。
さっきから断念ばっかりですが。。

気を取り直し、火曜日にも開いている、玉城分館に行くことにします。
スマホの地図を頼りに近くまで来たものの、どこから入るのか分からず、行ったり来たりしてしまいましたが、
玉城村役場の裏手にありました。
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公民館の玄関には、しっかりシーサーが鎮座。
その二階の小さな図書館、と言うより図書室です。

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図書館入口

閲覧席はコロナ対策で使用不可になっており、椅子が机の上に大胆に乗っけられていました。

カウンターの前に、玉城分館のGOODな所として、
雑誌が多い、漫画が多い、英語の本がある、DVDの扱いを始めた、
の4点を掲げていました。
確かに、漫画は規模の割に多いと言えますが、
雑誌はせいぜい20誌ほど。DVDも扱い始めたばかりとのことで、かなり少なめ。

それでも、やはりここは沖縄。
豊富な郷土資料が、しっかり壁を埋め尽くしています。

公民館内は、大音量で音楽が流れていました。
何かと思えば、一階で、民謡サークルが踊りの稽古をしています。
沖縄のおばあは、踊りが自然に身に付いているのかと思っていましたが、やはり稽古は必要なようで。

民具室、なる小博物館もありました。
木製の小舟サバニ、昔の漁の道具などが展示されています。
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丸い郵便ポストも展示品。
沖縄では現役で使われているのも結構見掛けましたが、
やがては博物館でしか見られない存在になっていくのでしょうか。

高台を走るここまでの道では、ずっと眼下に奥武島が見えていました。
せっかくなので、ちょっと寄り道。

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奥武島

短い橋で繋がり、島内にお店が立ち並ぶ様は、
関東で言えば江ノ島のよう。
しかし車で外周を回るとほんの数分、江ノ島より遥かに小さな島です。
天ぷらが名物のようで、たくさんの店がありました。

次は、沖縄に来たら目を背けてはいけない、戦跡へ。

図書館紹介-南城市立図書館

那覇市立首里図書館(沖縄県)

那覇の朝が明けました。
ホテルは朝食が付いていないので、近くの喫茶店でモーニングでも、と思っていたのですが、
調べると那覇の喫茶店は、朝10時や11時開店の所が多いみたいで。
沖縄の人たちは夜型なので、朝は遅いようです。

この日は首里を観光したかったので、とりあえず車で向かい、どこか沿道で適当な所に入ろう、
と思ったら結局適当な所は見つからず、首里まで来てしまいました。
やむなくコンビニのイートインで軽く食事を済ませ、まずは首里図書館へ。
モノレール首里駅首里城公園の、中間辺りにあります。

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公民館の中の図書館

駐車場はあるのですが、狭くて台数は限られています。
空きが無かったのか、他の車の前に大胆に停めている人も。。!

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カオスな駐車場と、玄関

東京だったら喧嘩になりそう。
沖縄の「てーげー(大概)」精神の真髄を見た気がしました。

幸い、この時は空きを見つけたので、停められました。
駐車場利用者は、受付でナンバーや予定利用時間を記入。
公民館を兼ねているので、色んな目的の人が来ているようです。

今は那覇市の一部になっていますが、嘗て首里那覇とは別の町でした。
ちょうど、福岡と博多の関係に似ているでしょうか。
首里の人には、こちらこそ正統な都という自負もあると思われ、
図書館もさぞかし立派なものがあるに違いない、と想像していましたが、、
公民館の二階の一室に過ぎず、小さなものでした。

入るとまず、「那覇市世界遺産」と題した展示があり、
識名園の写真などが飾られていました。
那覇市歴史博物館で開催している同名の企画展との連携だったようです。

天井は、白い格子状の仕切の中に電灯が埋め込まれた、洒落た作り。
沖縄らしい爽やかな空気が漂います。

郷土の本のコーナーは、半独立した部屋になっていました。
首里城復元期成会が寄贈した本も置かれています。
昨年、火災で激しいダメージを受けてしまった首里城ですが、その火災からの復元ではなく、
それ以前の再建時の話です。
ほぼ使命を果たして、2009年に解散しているようです。

児童書が多く、床面積の2/3くらいを占めていそう。
「おきなわの本」の棚が児童書の方にもしっかりありました。
紙芝居、英語の絵本も揃っています。

全体的に古い本が多く、背表紙が色褪せているものが目立ちます。
特に南側の窓際の本は顕著。もはや判読困難なものも。
沖縄の強い日差しの故でしょうか。

その窓から外に目をやると、万松院という寺院、そしてその奥には首里城跡の石垣が構えており、
古都の雰囲気満点です。
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開館したのは1984年、蔵書数は約7万6千冊。
大きいとは言えませんが、伝統感とリゾート感が両立する、独特の雰囲気ある図書館でした。

駐車場の混雑ぶりを考えると、長居するのも悪いので、ほどほどで切り上げることにします。
駐車場に戻ると、、
ブース外駐車が、もう一台増えていました。。
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僅かな隙間から車を出せるかトライしましたが、この狭い空間で方向転換はどうにも無理そう。
諦めてしばらく待っていたら、車の持ち主の人が戻ってきたので、無事出庫できました。

首里城公園の公共地下駐車場に車を移し、観光。
首里城の正殿は焼失してしまい、悲しい姿。
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ボランティアによる、赤瓦の漆喰はがし作業をやっていました。

戦後に復元したという石垣は、綺麗過ぎてどうも情緒に欠け、
前日まで見てきた、座喜味中城などに比べると、作り物感を覚えずにおれません。
それでも頂上からの眺めは絶品。
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近くにある琉球王の陵墓、玉陵(たまうどぅん)も見学。
荘厳な石造りが熱帯性の樹木と相俟って、日本にいる気がしなくなります。
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石畳の道を少し散策したら、もうお昼。
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南島の古都の空気を堪能しました。

首里図書館の案内|那覇市公式ホームページ

沖縄県立図書館(沖縄県 那覇市)

那覇は壺川のホテルにチェックインしたのは、夜7時過ぎ。
しかし、ゆっくりはしていられません。
車は出し入れの面倒な機械式駐車場に入れてしまったので、歩いてお出掛けします。
と言うのも、ホテルから徒歩10分ほどの一等地に、夜8時という遅くまでやっている県立図書館があることを調査済みだから。
この日、月曜は開館日で、翌火曜が休館日のようなので、是が非でも今日中に行かなくては。

その場所は、モノレール旭橋駅直結の商業ビル内、その一階にはバスターミナル、
県庁や市役所にも近く、観光の中心の国際通りからも数百mという、超一等地。

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この三階に「沖縄県立図書館」の文字が

こんな県立図書館、他にあるでしょうか。

エスカレータで三階の入口に上り、いざ入館。
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カウンター前のロビーでは、最近流行のSDG'sについて紹介する展示が、大きくなされていました。

「県立図書館のあゆみ」の展示もありました。
県庁敷地内に1910年に開いたのが始まりで、現在のここは2018年開館とのこと。
嘗ては宮古八重山にも分館があったそうです。

沖縄に来てから、コザ名護、と結構大きい図書館も見てきましたが、
ここは県立だけあって、本の数は桁違い。
蔵書数は約90万冊のようで、やはり県内では群を抜いています。

地震対策か、棚板はどれも微妙に奥に向けて傾いています。
閲覧席はコロナ対策で、人が向かい合わないよう、片側のみになっていました。

最上階の五階は、郷土資料室でした。
その前には、先ほどの中城村と同じく、追悼大城立裕のコーナーがありました。
沖縄人の大城氏へのリスペクトぶりを、改めて知らされます。

これも何度も書いていますが、沖縄の図書館はどこも郷土資料が大充実。
総本山の県立図書館は、まさにその集大成です。
ガイドブック類も、昔のものから今のものまで、揃えられています。
今回は買っていませんが、昔は沖縄を訪ねる際には愛用していた、
沖縄・離島情報」も昭和56年版からありました。
普通の図書館では、ガイドブック類などは古くなると処分されてしまうと思いますが、
これだけ集めておくと、いずれは歴史史料にもなり得るでしょう。

他にも、0円で配られるような求人情報誌や、県内各地の博物館の紀要など、
沖縄に関するものなら何でも置いています。
出身者に限らず、沖縄を扱った小説もずらりと並んでいます。

新聞の縮刷版も、復帰前のものから揃っており、沖縄毎日新聞に至っては明治42年から。
視聴覚資料はあまり多いとは言えませんが、沖縄民謡などが揃っていました。

「移民資料コーナー」も大きな面積を占めていました。
沖縄の人々が移住していった各国を、写真で紹介しています。
ブラジル、ボリビア、米国などは比較的知られていると思いますが、
他にもニューカレドニア、フィリピン、キューバなども。

四階には、提携する上海図書館、韓国富川市立上洞図書館の紹介展示もありました。
名護の図書館と同様、アメリカ情報コーナーも。

もう少しゆっくりしたかったのですが、入って30分足らずで閉館時間になってしまいました。

図書館入口の向かいには、100円ショップのダイソーが。こちらはまだ営業中。
置いているものは、埼玉県のそれと変わりませんでした。

モコモコの外套を着たサンタクロースには、場違い感を覚えますが、
もちろん南国沖縄にもクリスマスは訪れます。
街の中心部では、随所にクリスマスツリー、イルミネーションが拝めました。

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旭橋駅前のイルミネーション

その後は、国際通りをぶらつき、裏道にあったお店で、
ゴーヤチャンプルー、もずくの天ぷらなど、沖縄料理に舌鼓。

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国際通り入口

このご時世なので、人は少なめでしたが、南国那覇の夜を堪能しました。

交通アクセス - 沖縄県立図書館

中城村護佐丸歴史資料図書館(沖縄県)

西海岸の読谷村から、東海岸うるま市へ。
と言っても、車でせいぜい30分ほどの本島横断でした。

目指すは、太平洋岸に建つ勝連城跡。
ぽつんと立つ山の上に大きな石垣を抱える様は、遠くからでも視認できます。
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ここも立派な城ですが、入場は無料。
上からの眺めは絶品。

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伊計島まで伸びる、海中道路が臨めます

これで、もう少し天気が良かったら、、と言うのはもうやめておきましょう。
彼方に見える、海中道路も走ってみたい所ですが、空模様も怪しいので、今回は断念。
もう一つの世界遺産、中城城跡へ向かい、山道を登って行きます。

途中、沿道にあった重要文化財、中村家住宅にも立ち寄り。
戦前から残る、伝統的琉球家屋だそうです。
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中村家から中城城跡までは、1㎞ほどの近さ。
昨日から城巡りも4つ目なので、
ここは下から眺めるだけで去ろうかとも思っていましたが、
いざ着くと、やはりじっくり見てみたい欲求を抑えられず。
これまで巡った海に近い城と違い、ここは入口が既に高地で、そこから更に上って行くことになります。

今帰仁座喜味、勝連、そして中城、どこも甲乙つけがたいですが、
高地から四方が見渡せるというスケール感では、ここが一番。

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中城城跡 上からの眺め(東側)

兵庫県竹田城が「日本のマチュピチュ」などと言われますが、
ここの方が遥かにそれっぽいと思います。

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中城城跡 上からの眺め(西側)

お城の所在地は、厳密には中城村ではなく、隣の北中城村
中城村には、月曜開館の立派な図書館があるはず。
山道を下って、海の近くに建つ図書館までやって来ました。

まさにお城のレプリカ。圧倒されます。
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こんな図書館は他に無い!と言いたいところですが、
京都は園部の図書館とちょっと似ています。

玄関を入ると、一階は児童書でした。
絵本が前向きに立てて置かれていて、奥の階段まで歩んでいくと、絵本が次々に迫って来るよう。

階段から二階に上がります。
本棚から木の香りが漂って来そうな、新築感。
沖縄に来てからは毎度毎度のことですが、ここも郷土資料が凄い。
「沖縄に関する本」の棚が7列ほどもあり、二階の本の3割くらいを占めているのでは無いかと。
中城村に関する本」の棚もあります。
福岡県福智町、今夏に訪れた千葉県旭市姉妹都市だそうで、それらの町に関する資料もありました。

漫画もローカルなものから、「わたるがぴゅん!」「トリコ」などのジャンプコミックも置いていました。
作者が沖縄出身のようです。

CD、DVDも半分以上が郷土資料。
沖縄を舞台にした映画DVDが多数。
CDも、沖縄出身アーティストが目白押し。
モンゴル800、MAX、HY、オレンジレンジ喜納昌吉&チャンプルーズ、ビギン、
など、全国区の人がこんなにいることに、改めて驚き。

中城城跡含む、琉球王国のグスク群は、世界遺産登録20周年だそうで、
関連書籍を並べたコーナーがありました。

また、恩納村の図書館にもありましたが、ここでも先日亡くなった、大城立裕特集のコーナーがありました。
全集含め、100冊超えという、力の入りよう。
全国的にはそこまで著名な作家とも言えないと思いますが、
沖縄初の芥川賞受賞が如何に沖縄人の誇りとなり、尊敬される存在だったかが分かります。

室外には、大城氏の人生年表が大きく貼られていました。
読んでみると、なんと、氏はここ中城村の出身でした。
ここでの扱いが、とりわけ大きかったことにも合点がいきます。

三階は、展示スペース。
企画展「中城城跡 新たな発見 この10年の発掘成果展」をやっていました。

再び一階に戻ると、図書館入口の隣には、歴史展示室がありました。
中城城跡の石垣をモチーフにした、石積みパズルが置かれていたのが面白いです。
ちなみに館名になっている「護佐丸」というのは、中城城の城主だったこともある、中世琉球の英雄。
地元では名君として崇められる存在のようです。

この図書館、開館は平成28年とのことなので、4年前。
実際の蔵書数は分かりませんでしたが、蔵書能力は12万冊、とのこと。
長野の阿智村の図書館が、村立としては自分史上最高、と書きましたが、
恩納村とここはそれを超えました。
歴史資料図書館と名乗っていますが、紹介した通り、歴史資料に特化しているわけではありません。
歴史資料館+図書館ということでしょう。

ここは海沿いの平地なので、村の中心地なのかと予想していましたが、
あまり家が建て込んではおらず、周囲は閑散としています。
那覇の方に向かうため、再び坂道を上っていくと、高台の上に町が開けていました。
どうやらこちらの方が中心のよう。
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とても”村”とは思えない、都会的な光景です。
沖縄本島には、こういう村らしからぬ村が数多くあります。

施設案内|中城村|心豊かな暮らし〜住みたい村、とよむ中城〜

読谷村立図書館(沖縄県)

恩納村のホテルを出て、この日は那覇に移動。

途中、まず立ち寄るのは車で約30分、お隣の読谷村
残波岬は、まるで火山の様な荒涼とした光景が広がっていました。

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残波岬

続いて、車で数分の所にある座喜味城跡。
雨も降ってきて、訪れる人はまばらでした。
前日の今帰仁城跡と違ってここは無料ですが、勝るとも劣らない、素晴らしい眺望です。

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座喜味城跡

〆に、お城からまた車で数分、街中にある図書館に向かいます。
読谷は、村としては日本一の人口だそうで、
那覇からさほど近いわけでも無いのに、結構家が建て込んでいて、大都市近郊の様な雰囲気。
人口密度も高そうです。

やがて、図書館に到着。
えらく立派な門構え。
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目の前のバス停は「旧役場前」。
元はここが村役場だったようで、立派な門があるのも頷けます。

ここは火曜日が休館日のようで、この日は月曜日でしたが開いています。
扉の横の返却ポストに「強風、大雨時、返却ポスト使用できません」との注意書きがありました。
読谷は三方を海に囲まれており、しかもやや高台にあるので、台風の時はさぞかし厳しいことになるのでしょう。

玄関から中に入ると、自動の検温機が稼働していました。

あまり大きいとは言えない館内ですが、郷土資料はやはり充実しています。
沖縄民謡の楽譜が何冊も置かれていました。
漢数字と工乙老合などの漢字で音階を表すという、何とも独特な文化があるのを初めて知りました。

CDも、半分は郷土音楽。
読谷まつりのVHSテープも並んでいます。

二階は学習室。
過去の沖縄タイムスや、全集類なども置かれていました。

カウンターの前に、雑誌付録の抽選会のお知らせが掲げられていました。
期間中に貸出をした人が参加対象だそうです。
確かに最近、付録付きの雑誌が増えていますが、こんなのは初めて見ました。
あまり考えたことがありませんでしたが、他の図書館ではどうやって処分しているのでしょうか。

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図書館前の様子。下り坂の向こうに海が

蔵書数は約7万点。
いつできたのかは分かりませんでしたが、
平成29年に村役場移転20周年行事をしていたようなので、
図書館開館も同時だとすれば、23年前と言うことでしょうか。

公共施設:読谷村立図書館 - 読谷村

名護市立中央図書館(沖縄県)

今帰仁村から、山の中を通って名護市へ。
この街に来たのも20年ぶりくらいですが、当時の感想は、同市内の辺野古の印象も含めて、
県北部の中心都市とは思えぬ寂れた街、というものでした。
しかし今回、改めて訪れると、
山際には高層ホテルやマンションが幾つも建っており、意外な活気を感じました。

街の中心から1㎞ほど北、緑に囲まれた高台に、名護市の中央図書館があります。
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赤瓦の、沖縄情緒漂う建物です。

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玄関

中に入ると、まずは地域資料のコーナーでした。
沖縄に来てから訪れた所はどこもそうですが、ここの地域資料も凄いです。
隣のエリアの本棚には、政治、経済、教育、産業、言語などのジャンルが記されているので、
こちらは普通の本かと思いきや、よく見ればこれらも沖縄関連のものばかり。
郷土資料の中だけでも、これだけ分類できるほどの冊数、ということです。

館内のインテリアはと言うと、天井から下がっているのは、
竹のシェードで彩られた電灯に、ゆっくりと回り続ける大きな扇風機。
まるで、バリ島あたりのリゾートホテルです。

視聴覚資料も充実しています。
沖縄芝居のVHSテープなども並んでいました。

最奥には、「アメリカ情報コーナー」なる小部屋がありました。
英語学習の本や、アメリカのガイドブック、留学ガイドなど、多くの本が置かれています。
名探偵コナンの英語版などもありました。

館内に2ヶ所ほど、公開書庫に降りる階段がありましたが、コロナ対策のため閉鎖、とのことでした。
公開書庫なんて滅多に無いので、見られないのは実に残念。。

バルコニーのような中庭のような空間もあり、外に出ることが出来ました。
既に日も暮れて、真っ暗でしたが。

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中庭

館内はとても綺麗で新しそうに見えましたが、
外から見ると、結構古びて見える所もありました。
強い潮風で建物の劣化の早い沖縄のことなので、どちらとも判断しかねました。
が、ネットで頑張って探したら、1999年開館との情報を見つけました。

蔵書数は、約30万冊とのこと。
県北部の中心都市に相応しい、立派且つお洒落な図書館でした。
沖縄市の図書館が、ワンフロアでは九州一の大きさと謳っていましたが、
こちらの方が広そう。
こちらは地下書庫があるので、ワンフロアでは無いということでしょう。

車を出して、市内中心部に向かい、夕食を取ります。
中心地の名護十字路は、すっかり寂れてしまったように聞いていたのですが、
来てみると、そんな感じも無く、お店の灯りが輝いていました。

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名護十字路

名護市立中央図書館 | 名護市役所